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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第3章 王都
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第34話・会いたい

つたない文章力で申し訳ございません。

ご評価、ありがとうございます。

身に余る光栄です。


「俺は、探さなきゃいけない人がいます。」


一服したところで、今回の目的を彼女に話した。

彼女と話して、もし本当に俺が嫌になったのなら・・・

もしその時は、俺は彼女をシェラリータへ帰してやるつもりだ。


「それはもしや・・・赤髪の女の子の事ですか?」


話を聞きながら、俺にティーカップをすすめてくるイリスさん。

中に入っているのは、紅茶だろうか?


「知っているんですか?」


重ね重ね言うが、俺は目の前の修道女のイリスさんとは、初対面である。

なぜさっきも、俺のことを知っている風だったのか??


「あ、いいえ。 先ほどの会話から察したのです。」


ばつが悪そうに、顔を赤らめて俺から視線をはずすイリスさん。

なるほど。

あの人だかりの中にいたのか。

あんな公衆の面前で、トンデモ無いことをしてしまったと思う。 

これは反省だ。


「彼女に・・・とてもヒドイことを言ってしまったんです。 せめて謝るだけでもしたい。」


許されるかどうかはわからないが、これっきりというのだけは、どうしても避けねばならない。

きっと、一生後悔するだろう。


「俺は・・・もう彼女に会う資格なんてないのかもしれません。 あんなに今まで気遣ってくれていたのに、あの時、彼女を追いかけることすらしなかったんですから・・・・」


声が先細り、最後のほうはほとんど声に出ていなかったかもしれない。


そうだ。 あの時俺は、泣くノゾミを追いかけるのを一瞬ためらった。

そして彼女は自分の意思で、俺から離れていってしまった

もう、この件は片付いてしまっているのかもしれない。

イリスさんは、こちらをジッと黙って見つめている。

こんな男の弱音を最後まで聞いてくれるなんて、いい人だ。


「それは違うと思いますよ?」


イリスさんは澄んだ声で俺をさとすように言った。


「え?」


涙でグシャグシャになった顔をそのまま上げる。

俺は今、きっとすごい顔をしていると思う。

実に、情けない気持ちになる。


「遠巻きに見ていましたけど、あの女の子が怒っていたのは、あなたではなく自分自身だったように見えましたよ?」


・・・・・・何を言っているんだ、この人は?

ノゾミが自分の姿を見て、怖がるはずないじゃないか。

この人が言っていることがさっぱり理解できない。

さっきまでとは打って変わり、にらむような視線を彼女に送る。


「ああ、語弊ごへいがありましたね。 彼女が怒りの感情を抱いたのはカイト様のことなどではなく・・・ご自分の心、自分という存在が怖くなったように見えました。」


ノゾミの心?

ノゾミの存在の恐怖??

どういうことだ。


「これは私の口からよりも・・・・・カイトさん、私に付いて来てください。 立てますか?」


そう言って、ベットに腰掛ける俺に、右手を差し出してくるイリスさん。

この人は俺を、どこへ連れて行こうとしているのだろか?

心のケアとか?

もしや洗礼!?

牧師さんなんかに『悔い改めよ』とか言われても、ちょっとビミョーなのだが・・・・

本物の神様、見ちゃってるし。

あの駄女神様をあがたてまつるとか、何の冗談かと言いたい。


「私の後に付いて来て下さい。 ここは広いので、はぐれてはいけませんよ?」


イリスさんにうながされるまま、巨大な廊下を歩んでいく。


俺はいったい、どこにいたのだろうか?

進んでいく廊下は、高さは三階建ての家ぐらいあり、幅も十メートルぐらいはあるかもしれない。

すると、前を歩いていたイリスさんが俺が聞くよりも早く、説明を始めてくれた。


「ここは、アーバン法国一の大聖堂です。 そしてここは、恵まれない方々のための治療院となっています。 あなたのように素性の知れない、主にケガ人や病人などを受け入れる施設です。」


大聖堂とやらがよく分からなかったが、やはり、ここは教会とかのたぐいらしい。

教会では、布教活動や神の教えを説いたりするほか、

ここでは、貧しい者たちに医療を授けたり、仕事を斡旋あっせんしたり、子供に教育をほどこしたり・・・・

そんな活動をしているらしい。

こういった慈善活動などから、信者とかを増やしているんだろうな。

そんなことを考えていたら、イリスさんがひとつの扉の前に立ち止まった。

すると、イリスさんがここで待つように俺を手で制して、俺たちが出て来たのとほぼ、同じデザインの彫刻がある扉の中へと入っていった。


中には誰がいるのだろう?

俺のように傷心している人が、俺のようにイリスさんに心を癒してもらっているのだろうか?


するとしばらくして、イリスさんが俺を部屋の中へと手招きしてきた。

入れということだろうか?

しかし、俺が入って大丈夫だろうか?

こういう気持ちのときは、俺だったらしばらく、そっとしておいて欲しいものだが・・・・・・


「この中に、あなたに会わせたい方がいるんです。」


俺の心臓が、ドクンとはねた。

まさか・・・・・・

いや、こんなところに居るはずがない・・・・・・

しかし、こんなところでいつまでも、突っ立っているわけにはいかない。

自分の目で、確かめよう。


イリスさんに開けられたドアをくぐり、中へ入るとそこには・・・・・・・・








ポカンとした表情を浮かべる、ノゾミの姿があった。








昨日の夜、徹夜に近い感じで最初のほうの話を、約二倍ほどの量に加筆修正しました。

別に読まなくても、今後の展開上問題ありませんが、読んでもらえるとうれしいです。

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