第33話・したい事
拙い文章力ですが、頑張ります。
書き直しなどの影響で作品の文字数が、他の話を比べて圧倒的に短くなっております。
ご了承ください。
まぶたを開けると、無骨なレンガ造りの部屋にあるベットの上で寝かせられていた。
体中にあったはずの傷は、今は跡形も無い。
「ここはどこだ?」
確か最後に俺は、街のど真ん中に倒れていたはずである。
だとするとここは、誰かに連れてこられたどこかであると思ってまず、間違いない。
辺りをうかがう。
特に何も無い。
ベットはあるが、俺のほかに寝かせられている人間はいなかった。
ここへ俺を連れてきたのは、恐らく・・・・
すると、部屋の扉がガチャっと開いた。
中に修道服のような紺色の服を着た、一人の女性が入ってきた。
彼女は俺を見て、一瞬驚いた後、すぐに何事も無かったように平静を取り繕った。
「お目覚めになりましたか?」
「あ、あの、ここは??」
カイトの質問にニッコリと微笑むと、修道服を着た女性はカイトのベッドの隣に椅子を持ってきて、そこへ腰掛けた。
「ここはマイヤル教のアーバン大聖堂です。 ここへ倒れていたとすると、もしやあなたは王国からの難民ですか?」
「なんみん?」
首を傾げてみせるカイトに、どうやらそうではないらしい事を悟った彼女は、咄嗟に話題を切り替えた。
この世界にも、イロイロあるようだ。
「あなたが教会の入り口に倒れていましたので、勝手ながらお連れしました。 お体のほうは大丈夫ですか?」
カイトは体中の痛むところを見てみると、そこには包帯が巻かれていた。
俺はすっかり、迷惑を掛けてしまったらしい。
「すみません、ご迷惑をおかけしてしまったようで。」
「いえいえ、お役に立ったのなら何よりです。 ところで・・あそこでは何をしていらしたんですか?」
そう、それだ!
俺は今、連れのノゾミを探しているのだ。
起き上がろうとした俺だったが、まるで目眩のような錯覚を覚え、同時にベッドへ頭を落としてしまった。
「ああ、いけませんよ? ちゃんと寝ていないと。」
そう言って待つように言い残し、彼女は足早に部屋を出て行き、戻ってくるときには小さな盆に暖かなスープと、パンを持ってやって来た。
「これはマイヤルの神のお慈悲です。 神は弱きを助け、すべてを救済します。 どうかお気になさらず召し上がってください。
「い、いただきます。」
新興宗教的なセリフにドン引きしつつ、カイトは出された軽食へ手を伸ばした。
美味しい。
考えてみれば昨日の昼から、何も食べていなかった。
その上で人探しして、チンピラ相手に大立ち回りすれば、立ちくらみを起こすのも当たり前だ。
駄女神は信じないけど、俺、マイヤルの神は信じます。
食事が済んで一服すると、カイトは彼女へことの経緯を説明し始める。
王都へ来る道中、馬車が盗賊に襲われたこと。
そして番兵さんの言葉に、少なからず動揺を覚えたこと。
連れのノゾミと、大ゲンカしてしまった事・・・・
それらを静かに聞いた修道女は、慈愛に満ちた口調で、カイトに向き直った。
「そうですか・・・あなたは優しい方なのですね。」
「優しい? 俺が??」
「そうです、私は盗賊相手にそこまで心を痛める方を、これまで見たことがありません。 決してその気持ちを忘れないようにしてください。 きっとそのケンカしたと言う方も、許してくれますよ。」
・・・そんなことを言われるとは思わなかった。
この人は、その筋の人なのだろうか?
人の悩みを聞いて、それを一緒に解決してくれる・・・的な。
おかげでノゾミに会うことへの引け目が、一切なくなった、
「それにしても、こんなに物腰の柔らかい方だったとは・・・・ もっと恐い方かと思っていました。」
ん、どゆ事??
「えっと・・・・前にも一度、お会いしたことなんて、ありましたっけ?」
失礼かもしれないが、無神論者の俺は、日本でも教会なんか行ったことはない。
まあ、神っぽいのは一応、そこに居たわけなのだが・・・・・・・・
すると、目の前の彼女は顔を横に振って、「いいえ、こっちの話です。」と、屈託の無い笑顔を俺に向けてきた。
なんでもないのなら、いいか。
「申し遅れました。わたしは、聖女のイリス・ムアイと申します。 どうぞイリスとお呼びください。
もし差し支えなければ、あなたのお名前をうかがってもいいですか?」
「ああ。おれはカイト・スズキです。 こちらこそよろしく・・・」
これが、俺と聖女イリスさんとの出会いだった・・・・・・・
この修道女の役割、考え中です。
話を書く上で、やりやすくていいのです。




