第30話・領主様の影
つたない文章力で申し訳ございません。
やっと、王都到着です!!
罪人扱いとなる盗賊たちは、この二番目の城門から先の王都内へ入ることは許されないのだという。
これから盗賊たちは裁判にかけられ、牢屋に入れられたり、奴隷になったりするらしい。
俺ができることは、もう無い。
その際、盗賊の討伐証明証を番兵さんからもらった。
これをギルドにもっていけば、相応の報酬をもらえるらしい。
しかし・・・・・
ボウッ!
「えっ、カイト!??」
手のひらから出した炎で、討伐証明はタイマツのように燃える。
どうしても、金を受け取る気にはなれなかったのだ。
驚くノゾミを傍目に、灰塵に帰した討伐証明を見やるカイト。
「人間だけど、人間じゃない、か・・・・」
番兵さんが言った一言が、頭に引っかかる。
日本ではこんなことは無かった。
罪人にだって人権はあり、身分が保証されている。
何をしてしまったとしても、人間は人間なのだ。
しかしこの世界は違う。
罪人は害獣。
それ以上でも、それ以下でもない。
そんな存在に人権なんかは無い、というのだ。
理屈は分かる。
が、現代日本で生きてきた俺には、どうしても分からない感覚だった。
あの切ってしまった男は、果たしてどうなるのだろうか・・・・・?
そんなことを考えていたら、馬車が止まった。
渋滞か?
そうして前方に目をやると、今まで見たどれよりも高く、堅牢で立派な王都の城壁が聳え立っていた。
しかし今までとは違い、その巨大な門は閉じている。
すると、門の横にある詰め所から、さっきと同じような格好の番兵さんが出てきた。
「旅のお方、申し訳ございません。 今日は陽が落ちて、もう王都内に入ることはかないません。
明日、日の出とともにお開けしますので、今日はこの外壁内の宿泊所へお回りください。」
なるほど、王都には門限があるらしい。
ここの外壁と呼ばれる場所の宿泊所は、一泊限りで無料となるらしい。
こうして、足止めを食らってしまった人たちのために。
その証明書を、番兵さんが一人一枚ずつ、渡してくる。 これが宿泊クーポンとなる。
これは、二回続けては発行されない。
要するに、二日続けてここに無料で泊まることはできないという事。
不正防止のためであろう。
実によく配慮されている。
まだ日没から早い時間だからということもあってか、どこの宿も空いている。
その中でも、一番立派そうなところに商人さんたちは決めたようだ。
その前に・・・・
「では皆さん、大変申し訳ないのですが、ここで解散となります。 もう王都も目の前なので、ご自由になさってください。 ですがその前に、大変心苦しいのですが、ここまでの運賃を徴収させていただきたいと思います。 運賃は、銀貨五十枚となっております。もちろん、小金貨などで払っていただいても一向に構いません。」
ん? シェラリータの領主様が渡してくれたのは確か、銀貨千枚なのだが・・・
ノゾミとあわせても、減るのは銀貨百枚ほど。
明らかにもらった金額が、多すぎたのではなかろうか?
領主だから、貴族用の運送料しか知らなくて、それを俺に渡したのか?
あ・・・ありえる・・・・。
しかし、俺が払う番になって、さらに驚愕させられる事を商人に告げられた。
「ああ、カイト様とノゾミ様の分は既に出発の際に領主様よりいただいているので、結構です。」
「「・・・・へ?・・・・」」
俺とノゾミの声がハモった。
俺があの領主様にお願いしたのは、王都への旅費である。
それはいい。
そこで俺は、銀貨千枚という、明らかに多すぎる旅費をもらった。
・・それもいい。
よくないけど、今更だ。
そしてあの領主様は俺たちの旅費を、既に払ったという。
それは良くない!
・・・・・何を考えているんだ? あの領主様は。
それと、と商人さんが手紙のようなモノを懐から取り出した。
まだ何か、カミングアウトがあるのだろうか?
「こちらは、王都に着いてから、あなたへ渡せと言われたものになります。」
開くと俺宛の、手紙のようだった。
ノゾミも興味があるのか、隣から覗いてきた。
だが、すぐに渋い表情になる。
ノゾミは文字が読めないもんね、彼女は頭がいいし、教えれば文字を読むことは出来る様になるだろう。
おっと、話が脱線してしまった。
要約すると、手紙には次のようなことが書いてあった。
『旅費はもう払ったから、心配するな。
銀貨千枚は、シェラリータの件のお礼だからあげる。(※返金不可)
また来てくれると、もれなく更にお礼増加!!
それと、商人にはあることを要請しているから、道中なんかあったなら確認すること』
死ぬまでシェラリータヘ足を向けて寝られないような内容だった。
だがここまで読んで、商人の人が嫌に顔をニヤニヤさせているのに気がつく。
なんか想像がついた気がする。
「・・・・・なにかあるんですかね?」
「はい。当方としましては、今回の盗賊の一見はカイトさんに大変お世話になりました。
つきましては、あなたの役回りが『客』から『護衛』へと変わりますので、おふた方の旅費は返金。
加えて報酬を払わせていただこうと思います。」
「いりません。」
即答した。
護衛といわれても、商人さんたちには数人の死傷者が出ている。
盗賊の腕を切り落としたのだって、俺が狂乱戦士のようになったからだ。
とてもじゃないが『護衛』などと言えたモノではない。
討伐証明を燃やしたことにもあるように、今件に関するお金は受け取れないと思っている。
だが商人は、追い討ちをかけるように俺に告げた。
「これはシェラリータの領主様からの直々のご命令でもありますので、それを反故にしたとあっては、
私は『商人ギルド』から脱退させられ、以後、この世界では商売ができなくなってしまいます。」
「!!」
すごい切羽詰った状況なのに、商人の顔を見れば、ニコニコしている。
確信犯だ。
これは絶対確信犯だ。
まさに『前門の虎、後門の狼』である。
いや、今のこれは嬉しい状況なはずなのだが・・・・・
悩む暇も与えられず俺は、それを承諾する事にしたのだった。
今、今後の展開を考え中です。
設定資料、大事ですね・・・。
反省してます。




