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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第13章 ベアル改革・・?
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第290話・ウチの秘書

ここまで書いて、つくづく思うこと。

 人生でゲームをほとんどしたこと無いくせに、『ステータス』表記を始め、ゲーム的な事を前半で多くしすぎて、現在トンでもない事になっています。

いわゆる背伸びしすぎってヤツ。

つつがなく使えれば、とっても便利な機能(?)ではあるんですがね・・・・


グレーツクから帰って数日。

魔王の侵攻がウソだったように、カイトは平和な日常を送っていた。


「お兄ちゃん、出来たよ! ホラホラ!!」


「やぁ、いいモン作ったね。」


首だけ振り向き、カイトは出来た首飾りを見せ付けるヒカリに笑顔で応えた。

ベッドの上ではにかむ彼女は、高らかに首飾りを掲げて見せる。

黒い糸に、小さな赤い石が通されており、身に着ければヒカリにぴったりだろう。

カイトは笑顔を見せた後、手元へと視線を戻していった。


「さっきから何をしているの?」


持っていた首飾りを横へ置き、首を傾げてみせるヒカリ。

カイトは仕事の手を止める事無く、それに答えた。


「駅馬車組合に出す要請書・・・つまりお願い事かな? 今度完成する鉄道の運行委託を要請するんだ。」


「ふーん?」


先ほどより更に角度をつけて、首を傾げるヒカリ。

こういう時、口下手はソンである。

興味をなくしたように彼女は、俺から背後のダリアさんへと視線を向けた。


「ダリアさん付けてみる? 可愛くなりそう!」


「・・・折角ですが私は、ご遠慮させていただきます。」


欠伸をかみ殺しながら、ヒカリの申し出を断るダリアさん。

『可愛い』と言われのを気にしてか、キゲンは良ろしくない。

こういうあからさまの態度は、確かに可愛い。

などと考えていると俺の心を読んでか、睨みを利かせた視線を、こちらへと向けてくる彼女。

なんだよ、その目は。


「・・・あのさ、睨むヒマがあったら仕事しろよ?」


「何のことですか?」


なんたる職務怠慢。

誰だよ、こんなのを使用人にしたのは!?

・・・って俺か。


「少し休んだら、出て行けよ? クレアさんに絞られても知らないからな??」


「はーい。」


仕事などどこ吹く風と、ベッドの上に寝転がるダリアさん。

居候いそうろうは図に乗るって、本当だな。

追い出されても、俺はもう知らんぞ。

俺のベッドの上でオヂサンのように『あ゛ー』っと羽を伸ばすダリアさんは、酷く疲れているようにも見えるが、ドラゴンに限ってそれはないと理解を改める。

最近は徹夜で船造りに参加させていたし、少しはお疲れ気味なのかもしれないが。

なお決して、職務怠慢を擁護ようごするワケではない。


のどかな空気が流れる私室だったが、そこへ、コンコンと戸をノックする音が響いた。


「失礼します。」


「や、お疲れ様。」


持っている紙の束を、カイトへ手渡すメイド。

彼女はメルシェードと言う、屋敷の使用人の一人である。

紆余曲折あって屋敷で雇うことになり、馬鹿すぎるカイトの秘書となるべく教育を受け、今やっと彼の元へやって来たのである。

本日付けで、彼女ははれて大公様つきとなった。


「メルちゃんのおかげで、俺も仕事がはかどるよ。 ありがとう。」


カイトの感謝の言葉に対し、何も言わずに深々と礼をする彼女。

サマになってるなー。

職務怠慢ドラゴンに、ぜひ彼女のツメの垢を煎じて飲んでほしい。

メルシェードは俺から視線を外すと、ベッドに横たわるダリアさんへ、さげすむ様な冷たい視線を送る。


「ダリア、クレアがあなたを探しておりましたよ?」


当然彼女は、ダリアさんがドラゴンであることは知っている。

その上でこの態度を取れる、彼女は貴重な存在だ。

なお俺がその1人である事は、今は棚上げしておく。


ダリアさんはぬーっと、スローモーションな動きでベッドから起き上がると、とても気だるげにこの部屋を後にしていった。

うん、動きが完全にオッサンだ。

見た目が可愛げな幼女なだけに、見ている側としては、スゴく残念な気分にさせられる。

絶対に、そんな事は言わないがね。


「メルちゃん、よくダリアさんを帰したね。」


「私は、何もしておりません。」


首を横へ振り、謙遜するメルシェード。

あのアリアですら手を焼いたダリアさんを、鶴の一声で撃退したのだ。

カイトの中で最強伝説はオッサンダリアから、彼女へと委譲される。

これはステータスなどに、何らかの関係があるかもしれない。

今まで人道上、少なからず気が引けていたが思い切って、彼女のステータスを覗いてみる。

すると・・・


名前    :メルシェード

年齢    :18

種族    :人狼族  

レベル   :15

HP(体力):600

MP(魔力):12000

STR(筋力):5000

DEX(機敏):400

スキル   :奴隷上がりメイド・万能


フツーが分からないのだけど、どれもアリアと比べて数字は10倍以上。

これはスゴイ事なんじゃないだろうか!?

例えば、えーっと・・魔力とか1万を超えてるし・・・?


「あのカイト様、なにか・・・・?」


「何でもない、気にしないで。」

 

他人のステータスを見るのは犯罪だとか、アリアも言っていた。

バレる前に切り上げた方がよい。

ところで朝からずっと俺の横にいるが、『秘書』って具体的に何をする役なのだろうか?


「メルちゃんはさ、俺の何をするの? 仕事の補佐とか?」


あとは、秘密任務で俺の動向を探れとか?

下心みえみえのカイトの質問に対し、彼女は淡々と説明する。


「私が言いつけられていますのは、あなた様のスケジュール管理にお出掛けの際の身支度、衣服の管理に給仕と、大公としての知識による補佐、それに身辺の警護でございます。」


「・・・・へ、へぇ・・」


あまりに任されている業務が多くて、カイトの方が目を回しそうになった。

1人で任されるには、業務が多すぎはしまいか。

顔を引きつらせるカイトをよそに、メルシェードは尚も畳み掛ける。


「私はあなた様に、一度命を助けられた身です。 この命をしてでも、あなた様に奉公させていただく所存です。 どうかお気になさらず。」


「あーうん、でも命はいらないから。 あくまで無理の無い範囲で・・・ね。」


俺は君に、そこまでの事をした覚えは無いのだけれど・・。

この子は見かけによらず、かなりの情熱型パションタイプのようだ。

熱く語るって言うより、あくまで信念を胸に秘めって言う方向で・・だがね。

俺が矢で射られたら、本当に前に立ち塞がるような気がするよ。

そんな事、考えたくも無いが。

俺が今できることは、そうならない事を天に祈ることぐらいであった。


さて、仕事に戻ろう。


見本を元に作った、駅馬車組合への要請書は書きあがった。

これが受理されれば、アリアの言っていた『鉄道建設などに係る費用』が大幅に減少させられるだろう。

内容は『交通運輸の、領内における直轄運行について』

ザッと説明すると、『俺が作った鉄道は俺のもので、そこで汽車を走らせる代わりに使用料等を払ってください』などという感じの内容だ。

受理されるかは疑問にしか思わないが、やるしかない。


次にする事は、グレーツクまでの鉄道連絡船の、最終案の吟味。

両港には、どのような施設を整備するのか。

船の仕様はこれで良いのか。

運行に係るマニュアルの草案などなど・・・

するべきことは、たくさんある。

1つのことを成すのには、多大な苦労があるのだ。

そしてこれは、カイトの得手分野外の『船』であったため、彼自身、1人で考えるには相当の無理を感じて始めていた。

いや・・・そういえば適任者が居るじゃないか!??


「メルちゃん、早速だけど相談に乗ってくれない? グレーツクまでの定期航路で、この設計で良いかどうかを決めあぐねていてさ。」


「カイト様、私はあくまで使用人ですので、お力になれるかどうか・・・」


知識は要らないのだ。

カイトはあくまで一般的な考えが・・・。

乗客や荷主側に立ったら、どんな機能が欲しいかなど、この世界の人間が考える一般的な事を聞きたいのだ。

快く了承したメルシェードはカイトと共に、数十枚にも及ぶ資料へと目を通すのだった・・・



一年位前にも書きましたが、一般的な人間のステータスは以下です。

なお、亜人族に関しては不明。


名前    :****

年齢    :31

種族    :人族  

レベル   :31

HP(体力):400

MP(魔力):150

STR(筋力):750

DEX(機敏):180

スキル   :人それぞれ


※あくまで上記は、人間の平均です。

あしからず。


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