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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第13章 ベアル改革・・?
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第286話・もう一つの計画 その1

これからも、楽しんで書いていこうと考えています。

感想や気になる点などがありましたら、遠慮なくお寄せ下さい。


最近、グレーツクとの交易がヤバい事になっているらしい。


グレーツクでは先だって、軽便鉄道のようなものが敷かれたのは周知の通り。

この鉄道は鉄鉱石の運搬用であり、それ以外の用途は無い。

その甲斐あってか、鉄鉱石などを積むための商船が前より、多く往来するようになった。

モノの往来が頻繁になり、最近は大陸中から交易品が集まるようになったとか。

その関係で、船の運搬力に限界が訪れているのだ。


「という事情があって、船が欲しいんだ♪」


「へぇ?」


カイトの報告に目を輝かせ、水を得たうおのようにテンションを上げるダリアさん。

ずっと前に船造りにハマって以降、商船建造は彼女に一任している。

彼女が言い出したことだし、毎回ワリと楽しんでやっている様子。

だが今回は、いつもとは趣旨が異なる。


「いや、今回は作らなくていい。」


「えぇ!!」


あからさまに『がーーーん』というテロップを背後に浮かべ、落胆するダリアさん。

船造りからはずされるのが、そんなにイヤなのか?

さっきまでの喜々とした表情がウソのように、顔を薄暗くさせて小さな体が、更に小さくなっていく。

待て、そのままイジけられては困る。


「ダリアさんはすごいよ。 大嵐でも沈まない、世界随一の船だって商人たちが喜んでいたよ。」


ピクッと反応を示す、彼女の小さな体。

マンザラでも無いらしい。


「人間ごときに褒められても、ちっとも嬉しくはありませんが・・、これからも我が芸術をとくと、ご覧に入れましょう。」


「今後もその意気で、頑張って欲しい。」


掌握完了。

ノラゴンを手玉に取るのは、チョロいぜ。

このまま畳み掛けてしまう。


「だから今回も、ダリアさんに手伝って欲しい。 ダメかい?」


「あ!? あ・・・」


話の途中で、転移でグレーツクへとやって来たカイト。

急の事で、ダリアさんは少し混乱している様子。

最近は慣れたからか、片手間でも魔法が発動できるようになったのだ。

俺だって、少しは成長する。

どうせダリアさんのこと、今日はダルいとか言って付いて来ない可能性があった。

なので、簡易的な実力行使を使わせてもらったのだ。


「連れて来ておきながら、わざわざ尋ねるのですか?」


「フフ~~ン♪」


口を尖らせ、軽く抗議をしてくるダリアさん。

だが帰るとは言わないようだ。

あらかじめヒカリには事情を伝えており、ベアルで留守番させているので問題ない。

自信たっぷりに、カイトはダリアさんの前を歩み始めた。


「これから何をされるのですか。 奥様に殺されても知りませんよ?」


「アリアにはもう言ってある。 向かうところは・・、これから分かるよ。」


疑問を口にするダリアさんをよそに、カイトが向かっているのは渓谷の一角。

くだんの鉄道研究所だ。

既に話は通してあるので、たぶん準備を始めていることだろう。

魔法を使うとギセイが出る危険があるので、ここからは徒歩の移動だ。

その間にと、ダリアさんが疑問を投げかけてくる。


「ところでカイト殿様、話は変わりますが、昨夜はどうでしたか?」


「・・・ナンノコトダイ?」


言っている意味がワカラナイナ。

俺は昨日、メルシェードと仕事して早めにネタンダヨ?

なんて、あさっての方向に思考を持っていこうとするが。

当のダリアさんは全てを見透かしているように、苦笑を漏らした。


「隠してもムダです。 昨夜、件の女魔族が屋敷に訪ねて参ったこと、知っているのですよ?」


「・・・。」


グウの音も出せない。

忘れようとしていたのに、思い出させるなよ。

ええ来ましたよ、彼女の言うとおり確かに。

『アキレス』とか言う魔王軍の将軍を預かる、ミーハーな感じの女魔族が。

1万5000の配下を連れてきたいと抜かしやがったので、問題を起こされる前に早々に、お引取り願いましたよ。

自分で帰しといてアレだが、俺は関わり合いになりたくない。


「『ただで』帰した訳ではないようですね?」


「・・・だから、心を読むなったら。」


ダリアさんが心を読んだとおり・・・。

あのアキレスさんとやらは、どうしてなかなか帰ってはくれなかった。

配下にしてくれるまでは、1000年でもここへ通うとか言ってきたのだ。

そんな事をされては、迷惑どころでは済まない。

つまるところ、俺の方が妥協だきょうさせられてしまった。


「死にそうな覇気で頼み込んでくるから、こっちが折れたんだ。 今はベアルには居ないよ。」


帰れないからと言って、魔族1万5000を受け入れる余裕はウチの領には無い。

そこで彼女らには、諸国巡りをして頂くことにした。

1万5000も居るのなら、俺の知らない世界の隅々まで見てこれるだろう。

ここの以外の国々も、興味が無くは無い。


世界中を観光して、ときタマその、土産話でも聞かせておくれってね。


いや・・・やはり来なくても良いかなァ。

話が一方的過ぎてヒカリの事は聞きそびれるし、本当にサンザンでした。


「魔王旗下1万5000の軍勢をも手中に収められるとは、私といえども成し得ませぬ。 さすがは我が友、カイト殿様でございますなあぁ・・・!」


俺の感情など関係ナシに、喜び勇む彼女。

口角を上げ、爬虫類のような双眸そうぼうで、こちらをカッと視線を送ってくる。

元々だけど、可愛い顔が台無しです。


「ダリアさん、雑談は終了。 着いたよ?」


「・・・もうですか? 出来ればもう一周して、聞きたいことが・・・」


「あとで。」


忙しいんだから、もう一周なぞしていられるかい。

渋るダリアさんを押して、鉄道研究所の建物の中へ入ると、そこでは件のおっさんズが、机を囲んで、何やら談議をしていた。

1人が俺たちに気が付くと、彼らは一斉にこちらへ首を回す。


「遅いぞ小僧! ヒトにやらせておいて、自分は遅刻か!??」

「社長様出勤とは、良いご身分だな!」


「昨日はイロイロあって、夜遅かったんですよ!?」


挨拶もそこそこに、彼らは俺へ抗議申し立ててくる。

いつも、俺だって言われっぱなしにはならないぞ。


「カイト様、おはようございます。 本日はようこそ、はるばるお越しくださいました!!」


「やぁルルちゃん、久しぶり。」


声に気が付いた唯一の研究所職員が、部屋の奥から姿を現す。

ルルアムちゃんは、素直でいいなー。

おっさん達も素直になってくれれば、もっと可愛げが在るのに。


「何をニタニタと、しまらねぇ顔してんだ、気持ち悪いぞ小僧?」


・・しまった。

いつの間にか、大いにバカっぽい顔をしていたらしい。

両手で顔を叩いて今一度、気合を入れなおす。


「それでカイト殿様、私に頼みたいこととは??」


「そうだった!  ダリアさんにはね・・、一番重要な役回りを任せたいと思っているんだ。」


静まり返る、研究所の室内。

そういえば彼女にだけ、これから何をするのかを言っていなかったけ。

というか俺が言ったら、来なかったもしれなかったからね。


「これから始めるのはね・・・」


重々しい口調で、カイトは話を切り出すのだった・・・・


秋晴れって、気持ち良ぃですよね~。

(誰に言うでもない、戯言ざれごと

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