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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第3章 王都
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第28話・盗賊襲撃

不評だった部分を中心に、大幅に改稿作業中です。

しばらくの間、話間に矛盾が多く生じると思われますが、ご了承ください。


感想などありましたら、どしどし寄せてください!!

朝から、ノゾミの震えがとまらない。

頭をなでてやっても、少しも気持ちが休まらないという。


麻に目が覚めて少し経ってから、ノゾミの顔色が一気に悪くなり、体を震わせはじめた。

最初は寒いのかと思ったが、そうではないらしい。

『敵意』のようなものを感じると、こうなるのだという。


だが今、ここには俺達、商隊一行と、その同乗者しかいない。

野生動物や魔物なら、もうとっくに襲われているはずだ。

ご飯のときもいつもは、俺と飽きもせずにしゃべり続けるのだが、今日は辺りをうかがうようにキョロキョロと見回し、落ち着きがない。

しばらくすれば収まるかとも思ったが、隊が移動を始めてからも、震えは夕方になるまで続いた・・・・

なにか、良くないことが起きる予感がしてならない・・・




「今日は、こちらのあたりで野営となります。 明日には王都の郊外まで出られますので、野営はこれで最後となります。 皆さん、今日まで気を引き締めましょう!」

御者さんのその言葉で、同乗者の人たちも降りて、御者さんの野営を手伝うために、馬車から降りる準備をする。

今日は、ノゾミのために俺はとりあえず、馬車の中にしばらく居ることにした。

そのときだった。

「ぎゃああああああああああ!!」

御者さんの一人の、悲鳴が聞こえてきた。


馬車から降りようとしていた、同乗者たちが動きを止め、顔がこわばる。

馬車の外では、他の御者や、商人たちが手に武器を持って、先ほど悲鳴が聞こえた方向へ駆けつけていく。

「盗賊だー!!!」

そんな事を商人さんたちが、鬼気迫る勢いで叫ぶ。


考えるまでも無く、何かあったに違いない。

俺も冒険者だ。

あまり戦いたくはないが、こういったときには冒険者は、戦わねばならないと、出発のときにシェラリータの領主様などから言われている。

何より、びくびくして馬車の中に同乗者たちと一緒にいるなどということを、ノゾミの前でやりたくない。

アイテム・ボックスからは念のため剣を出し、あらかじめ黒いさやから刀身を出す。

俺が馬車から急いで出ようとすると、不意に左手がつかまれた。

振り返ると、ノゾミが涙目で俺の名前を呼んでいる。

大丈夫だから。 と、頭をなでてやって、馬車から飛び降り、御者さんたちが向かったほうを見た。



そこには、冒険者風のガラの悪い男たちを相手に短剣で応戦する、ボロボロの御者さんたちの姿があった。



・・・・・・・今、一人の御者さんか、商人さんが倒れた。 

その体は血に濡れている。

今、目の前で起きていることがにわかには信じられない。

人が、人を切る。

俺はその凄惨せいさんな光景に、動きを止めてしまった。


そこに、商人を今、一人片付けたザンバラ髪の目つきの悪い男が、俺に剣を向け、奇声を発して走り寄って来た。

戦いになれていない俺は、足をすくめてしまう。


「カイト、危ない!!」

男と俺の間に突如、ノゾミが立ちはだかった。


そのすぐ後、ノゾミの背中から剣が生えてきた。


彼女の背中からは、ジワリと赤い液体がにじむ。

一瞬、目の前で何が起きたのか、本当に分からなかった。

・・・ノゾミが・・・刺された・・・・?


ノゾミの体が地面へとゆっくり倒れ、その向こうからさっきの目つきの悪い男が、姿を現す。


「馬鹿な女だ。 歯向かわなきゃ奴隷として生きながらえたってのによ。」

下品な笑みを浮かべるその男。


だが、俺の耳には何も入ってこない。

世界が暗転したようだ。

世界が静寂に包まれ、視界が暗くなる。

唯一視野に入ってくるのは、その小さな体を地面に横たえる、ノゾミの姿だけ。


「ああ、お前の連れか? なら安心しろ。 いますぐおまえもこいつの行った冥土に送ってやるからな。

まったく俺ってやつは本当に優しいな! ウヒヒヒヒヒ!」


・・・死んだ? ノゾミがこいつに・・・この男に殺された。

ノゾミとの今までの二ヶ月以上の暮らしが頭を、走馬灯そうまとうのようにめぐる。


次第に俺の心を、ドロドロと炎のようにがす、黒いものが支配していった。

そして気がつくと、俺はその男に向かって剣を振りかざしていた。


「うああああああああああああ!!!」


ガギン!!


「うわ!?何だこいつ?? ま、待て!! ぎゃあああああああああ!!」



◇◇◇


いつの間にか、戦闘は終わっていた。


盗賊たちの多くは戦意をなくし、今は商人たちが積荷から出した縄で縛られていっている。

あの後、数人の男の手にあった剣を叩き切ってやった。

すると、その男たちはあっという間に戦意をなくし、俺に命乞いのちごいを始め、現在に至る。

そこで俺はやっと、正気を取り戻した。

商人や御者にも数人の死傷者が出ており、彼らはその対処で忙しそうにしているのが、視界に映る。

そして俺の愛剣は、その色白の刀身を、盗賊の血で赤く染め上げていた。


「カイト、大丈夫?」


俺のことを心配するように、ノゾミが、俺の横に腰掛ける。


ノゾミは、生きていた。

あの時は、殺されたと思ったが魔石のおかげで傷がすぐにはふさがり、服に血のあとや刺された際に出来た穴はあるものの、体は無傷であった。

死んだとばかり思っていたので、動いたときは本当にびっくりした。

目一杯、彼女を抱きしめてやった。


彼女を串刺しにした盗賊は、その腕を切り落としてやった。

再び彼が、盗賊などということは恐らくしないだろう。


「これで、良かったのだろうか・・・・?」


「?」


しかしそれにも拘らず、カイトの心は厚い雲に覆われていくのだった。



戦闘シーンがどうも苦手のようで・・・・・・

努力して、書けるようにしたいと思います。

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