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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第2章 シェラリータ
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第27話・ゴレア

つたない文章力で申し訳ございません。

これからもがんばって書いてゆきます。

シェラリータの街を離れて、早いものでもう二週間。


特に何か起こるでもなく、馬車は王都へと着実に進んでいっていた。

そして今日は、道中にある唯一の街、ゴレアにて、宿へ泊まる手はずになっているらしい。


今まで通ったのは、せいぜい小規模な集落程度で、水のちょっとした補給などをさせてもらうにとどまっていた。

当然そんな場所に宿とかはないので、そういった場所では近くで野営をしていた。

最近、ずっと地べたに寝ているせいか、体が痛い。

魔法で自分とノゾミだけ、どうにか・・・ということも出来なくは無かったが、他の人に申し訳ないのでしていない。

久しぶりにベットで寝られるうれしさに、俺を含め、御者さんや同乗している人たちの顔も心なしか明るい。

御者さんも今日ばかりは、夜もゆっくりと寝られるだろう。

なにせ、夜の不寝番をしなくてよいのだから。

ゴレアの街はそこそこ大きい街のようで、御者を勤めていた商人さんたちは、ここで王都で売る品の

仕入れもするらしい。


人も同様で、数人の人たちがここで、下りることになっている。


ガタゴトと揺れる馬車が通る道もいつしか石畳で舗装されたものになり、ずっと途切れることのなかった

森の木々も、陽がてっぺんより少し傾いたぐらいのころには切れて、田畑が果てしなく続く耕作地帯となった。

まっすぐ続く道の先には、徐々に高い、城壁らしいものが見えてきた。

久しぶりの街らしい街に、俺は安心感を覚えた。



   □    □    □


つい先ほど、西側の城門から街へと入った。

それと同時に、ここまでシェラリータから一緒だった同乗者の何人かが、御者さんにお金を払って、

俺たちとは別れた。

街はそんなに大きくはない。

建物の一つ一つも、シェラリータのそれより、圧倒的に小さく見えた。

ゴレアの街は、畑作で発展した町であり、領主の他に貴族もらず、農民の家のほかは商人の支部の建物や食堂など、本当に必要最低限ほどしかなく、街を囲う城壁のほかは、特筆するような施設なども存在していなかった。

今の時間は夕方で、このまま案内された宿へ向かってもいいし、少し夜までの間、街をぶらついても

良いといわれた。

ノゾミに視線を向けると、街を見てみたくてウズウズしている雰囲気であった。

最近ノゾミの性格に、変化が出てきたような気がする。

シェラリータに居たころならば、すぐに宿へ引きこもったはずである。

ま、元気なのはいいことだ。


この街はこの国で、一番治安がよいらしい。

理由は簡単。

住人一人ひとりが、街の住人のほとんど全員と知り合いで、悪事をしても、すぐにバレてしまうからだ。

こういうコミュニティを大切にしたところは、実にいいところだと思う。

で、取引とかも、住人同士が直接物々交換とかで行うらしく、普通の村ですら存在する市場が、この街には無いのだという。 

だから、お金が余り流通していない。

でも服や生活に必要な道具類は、街の商会などから直接買い付けているらしい。

お金は、住人が売った野菜などのお金から、引かれるようになっているのだとか。


・・・・日本のクレジットカード事件みたいなことにはならないのだろうか?

無いお金を使っちゃうとか。 実に心配である。

そうか。

そこの所はきっと、商人が住人の持っている金額を把握しているのだろう。

いや、でもそうなると、次は横流しとか・・・・

・・・・・うん、よそう。 

考えだしたらキリがない。

考えてみたら、俺にはまったく関係が無いことだし。

要するに、物理的にお金を所持している住人がほとんどいない。

お金になる調度品ちょうどひんを持っている人も少ないので、盗賊もこの街は狙わない。

・・・・ていうかやっぱり居るんですね、盗賊・・・・・・・・・・・。


とにかくそんな関係で、ぶらついてみたは良いが特にできることも無く、街を一周するにとどまった。

隣に居るノゾミは、ちょっと不機嫌そうである。

何も出来なかった事に、ガッカリしているのだろう。

ノゾミのこういうときは、頭をなでてやると途端に、機嫌を直す。

例に漏れず、今回もそうする。


そうすると決まって、白い肌をりんごのように真っ赤に紅潮こうちょうさせてこちらを上目遣いに見上げてくるのだ。

か・・かわいい・・・・。

これだからいつもでてしまうのだ!!


結構な時間、外に居たようで宿に着く頃には空は、紺色に染まってきていた。

さて、久しぶりの携帯食料以外の食事である。

嫌でも期待してしまう。

ノゾミも俺の表情に呼応して、嬉しそうにする。

そして・・・・・・・・・・・・


    □      □      □


今、俺は粗末な簡易ベットのようなものの上で、大の字に転がっている。

一メートルぐらい離れたところにあったベットを、俺のすぐ横に移動させて、ノゾミも寝る準備をする。


・・・はっきり言って、宿のご飯はそんなには美味しくなかった。

シェラリータのそれと、比べてはいけないのかもしれないが、俺の胃袋は『不満だ!!』と、声を

あげている。

携帯食料のいつものマズいメシよりは、マシだったとしか言えないとか・・・・

なんか、地味にショックだ。

今更ながら、シェラリータの『蒼き炎竜亭』が恋しい。

またあの宿の、うまいメシが食いたくなってきてしまった。


・・・・今更だけど。


とりあえず、明日からはまた当分の間は、この簡易ベットですら寝れないので、今のうちにとくと、その寝心地を堪能たんのうしておくこととしよう。

今日は、よく眠れそうだ。


俺はすぐに、夢の中へと意識を落としてゆくのだった・・・・・・・・・・・








ゴレアのお金事情

 ・住人の、商会などへ売った作物の代金は、街にある、商会ギルドの個人庫へと自動的に入金される。

 ・住人が買い物をした場合、ここから代金分のお金を引き落とす。

 ・街の商人は定期的に商会ギルドへ赴き、こういった処理を行うこと。

 ・商人は原則、街の住人が買い物している場合は商会ギルドへ連絡を取り、逐一ちくいち残金を住人へと申告すること。

 ・これをせずに、住人とトラブルに陥った場合、罰則規定がある。


                                 となっています。


横流しとか、トラブルはほとんど今まで起きた事がないんだそうです。

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