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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第11章 鉄道の延伸計画
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第264話・再会

これからも、楽しんで書いていこうと思います。

内容に関する不都合な点や、感想などがありましたら、どんどんお寄せ下さい。

王都に、ギルド総督会への出席のためにやって来た、ベアルの大公様。

それも先ほど終り、今は付き従う2人の女子と談笑(?)しながら、少しだけ街中を散歩している。


「カイト殿様、ちっとも面白くありませんでした。」


「それは、残念だったね。」


知らないよ、そんな事。

ギルドの総督会に面白みを求める、ダリアさんがまずもって、おかしいのだ。

ご苦労さまです。

ダリアさんが期待していたような結果にならなくて、本当に良かった。

あの後に受けた『頼み』というのは、ボルタにもベアル同様に、商業ギルドを作るということ。

それだけだった。

商業ギルドというのは、流通物品の商取引を統括する、商人達の協同組合。

その主な業務は、物品の卸業から各商会間の取引の円滑化、駅馬車手配代行などなど・・・

俺にはあずかり知らぬ業務が、多くあるようだ。

ボルタに出来たら、多分、いい結果につながるのだろう。


「屋敷へは、帰らないのですか?」


「うん、ここのギルドで申請したい事があってね。」


大したことではない。

建設工事時の護衛依頼を、ギルドへ提出しに行くのだ。

鉄道建設中に、盗賊や魔物が出てこないとも限らない。

その対策である。

ちなみにアリアからの許可は、既に取り付けてあるので、その点は何も心配はない!


「あ、そうですか。」


そっぽを向き、大きな欠伸あくびをする彼女。

分かっているよ、自分の出る幕がないから、興味がないんだよね。

でもそうやって悪態をつかれると、地味に傷つくので、やめて下さい。

まあ、そこはダリアさんだから、しょうがないのかな・・。


「すぐに済むし、終ったら昼ごはんでも食べに行くかい?」


「ホゥ、それはつまり、何をしょくしてもよろしいと?」


口からよだれを、ダラダラ垂らすダリアさん。

興味ある話題になった途端、コレだよ。

まったく、しょうがない人だ。

俺の横を歩いている人の意思確認も、念のためしておこう。


「あなたも、ご一緒にどうですか?」


「いや・・・残念ながら時間がないので、私はご一緒できそうにありませんな。」


隣を並んで歩いているマントを風なびかせた男性が、大きな笑い声を上げる。

彼は総督会にて、あの場に居た人物の1人。

関連の用事で冒険者ギルドに行かねばならないらしく、俺と一緒にいくことになったのだ。


「それにしても君・・いやあなたが『慈愛の大公様』だったとは! 噂はかねがね聞いていますよ。」


「もうその、敬語は止めて下さい。 顔から火が出そうです。」


「はっははは、これは失礼!」


誰だよ、『慈愛の大公様』って。

顔を真っ赤にして、にらみを利かせた視線を、横の男性へと送るカイト。

彼の名は『ガジェット・サグロン』だ。

とても大事なことなので、もう一度いう。

彼の名は、『ガジェット』。


「シェラリータでギルマスをしているはずのガジェットさんが何故、ここにいるんですか?」


「どうして、そんなビミョーな顔をするんだね? 久しぶりの感動の再会ではないですか。」


この男性は、シェラリータでギルドマスターをやっている人物。

なんでも冒険者ギルドの中では、そこそこ重要なポストにつく人物だったよう。

今回の総督会でも審議員の1人として、他のギルドの人たちと肩を並べていたのだそうだ。

ビックリだよ。


「どうして最初に、言ってくれなかったんですか?」


「いや、私はとっくに気がついているものと。 それにもかかわらずカチコチになっている君の姿が愉快でして。 いやはや申し訳ないことをしました。」


冗談じゃない、こっちはちっとも愉快なんかじゃありませんでしたよ。

笑われている自分が、なんとも言い表せない。

あの時は本当に、胸が張り裂けてしまいそうだったのだから。


「ねえお兄ちゃん、このおじさん知ってる人?」


「まあな・・・。」


ヒカリが彼に指を差して、疑問を口にする。

彼女たちは、ガジェットさんとは初対面だ。

ダリアさんも同調して、しきりに首を縦に振る。


「私の名はガジェットだ。 大公様とはふるい付き合いなのだよ。」


「そうなんだ?」


「つまりこの方は、カイト殿様の、少ないご友人の1人というわけですね?」


し、失礼な!!!

なんという事を言うんだろうか、ダリアさんは。

泣くぞ、このヤロウ。

確かに俺は、この世界で『友』と呼べるヒトは、少ないけどさ。

もう少し、言い方というものがあるだろう、君ィ!??

彼女のことは、本日は無視しよう。


「ガジェットさんは、これから何をするんですか??」


「今回の件で、ギルドへ報告をしに行かねばならないのだ。 ややこしい話をしなければならないから、時間がかかる。」


それぞれの職業、責任が生じているというわけか。

ギルド設立関係で、彼らには人材手配など、イロイロあるのだろう。

おれ、そういうの苦手。

なんでそんな俺が、領主なんかやっているのか、世界の七不思議だ。

「ふぅ・・・」とためいきを漏らすカイト。


「お兄ちゃん、大丈夫?」


「心配しなくていいよ。 ただの気疲れだから。」


ギュッとヒカリが、服の裾をつかんでくる。

一つ一つのしぐさが可愛い。

彼女は本当に俺を心配しているので、口には出さないけど。

いつまでも、そのままで居ておくれ。


「いやはや、慕われておりますなァ。 この2人は、従者ですかな?」


「ヒカリは家族です。 あっちのメイド姿の方は、どちらかと言うと居候いそうろうです。」


「はっははは! 領主邸に居候とは!!」


間違ったことは言っていない。

従者の代わりとして連れて来ている覚えはあるが、厳密にはダリアさんは従者にアラズ。

彼女的にも、俺が主人などとはカケラも思っていないだろう。

ヒカリは言わずもがな。

そんなに、おかしい事だろうか?


「カイト君は面白い。 大きな地位を得ても、何も変わっていませんな。」


「それは、どうも・・・。」


よく分からないが、相槌を打っておく。

イロイロあったけど、2人の事は大好きだ。

このまま、この状態が続いてほしいという俺の考えは、自分勝手に過ぎるだろうか?

そんな話をしているうちに、いつの間にか俺達は、王都のギルドへと着いていた。


「もっと君と話をして居たかったが、約束があるのでな。 またいつか、どこかで会おう。」


「はい。 お元気で。」


ここでガジェットさんとは、お別れである。

手を振りながら、彼はギルドの奥へと入っていく。

俺もギルドへ依頼を出す手続きを、しなければならない。

建物内の様子を確認すると、端のほうにある窓口へ、まっしぐらに向かう。




「すみません、臨時の依頼を出したいのですが。」


「はい、ではこちらの用紙に・・・ぅ!?」


俺の姿を見て、大きく目を見開かせる、受付の女性。


「お久しぶりです。」


「ああ、あの・・あぅ・・・!??」


動揺しすぎて、声が出せないよう。

でも、俺も彼女も、互いを覚えているのは確か。

彼女は、俺がこの王都でノゾミと冒険者をやっていた頃、お世話になったヒトだ。

幾ばくかして、深呼吸をして落ち着きを取り戻した彼女。


「すみません、取り乱してしまって・・。 そういえば大公様になられたのでしたね、おめでとうございます。」


「いえ・・・あの時は、とんだご迷惑をお掛けしました。」


彼女は、俺の事情を知っている。

王都を離れる際、ご挨拶に伺ったのだ。

あの時は完全に、仕事の手が止まってしまっていたな。

だいぶ心配を掛けてしまっていたようだし、今でも彼女には、頭が上がらない。


「今日は少々、特殊な事情がありまして。 建設現場で護衛を雇いたいのです。」


「長期ですね? 依頼の場所はお決まりですか??」


「建設現場に応じて、移動の予定です。」


身分証明を済ませ、依頼の手続きを進めていく。

依頼報酬いらいほうしゅうなどの段取りは、既に決めてあるので、スムーズだ。

依頼を出す際の保証金として、余裕を持って金貨2枚を懐から出す。

これで、依頼の受付は完了だ。


「迅速に処理いたしますので、少々お待ち下さい。」


紙の束などを片手に、彼女はギルドの奥へと引っ込んでいく。

なんでも提出された依頼を、他のギルド支部へも流し、情報共有するのだとか。

待っている間、俺達は他の冒険者に混ざって、ギルドの中に常設されている丸テーブルへと腰を下ろす。

他の職員が俺のために待合室を用意してくれたようだが、それは丁重に断った。

ダリアさんは席につくと、キョロキョロと周りをうかがい始める。


「まるで宿屋のホールのようですが、ここがギルドですか?」


「そういえばダリアさんは初めてだったね。 ちなみに料理も注文できるよ?」


「ホウ、それは妙な・・・。」


目をキラキラ輝かせ、こちらを凝視する彼女。

昼食の場所は、決定のようだな。


「すみません、メニュー表をください。」


「「「え!???」」」


ギルドの中を、驚愕に似た声が、響きわたる。

皆様方、おくつろぎのところ大変、お騒がせします。


登録を待っている間、カイトたちは、ここで昼休憩をとる事にした。




最近忙しく、更新が滞りがちになってしまい、申し訳ございません。

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