第26話・馬車で向かうは桃源郷?
つたない文章力で申し訳ございません。
また先ほど、描いている途中でなぜか画面が消えてしまい、泣く泣く書き直しました。
これからもがんばってまいりましので、応援、よろしくお願いいたします。
ガタガタと、馬車が大きく揺れる。
現代日本の、快適な乗り物に乗りなれている俺にとって、乗り心地は非常に悪い。
隣にいるノゾミ(人型)は、先ほど馬車の内壁に後頭部を強打してしまい、今は頭を両手で押さえてうずくまっている。
涙目でこちらをにらんできたので、頭をなでてやると、機嫌を直したのか俺にピッタリと体を寄せてくる。
周りの、馬車の同乗者の大人たちがこちらに、微笑ましいものでも見るかのような視線を向けてくる。
ノゾミの胸元には、先日発行してもらったギルドカードが提げられている。
ノゾミが人型である以上、身分証明証が必要になってくる。
そこで一番手軽な、冒険者登録をさせた、ということである。
・・・よく考えたら、ステータス確認などでノゾミが身バレする危険があったのだが、幸いにも、それはなかった。
今後も、気を付けねばなるまい。
魔石食った関係か、かなりの実力があることが分かり、ギルドマスターから怪訝な顔をされたが、無事、ノゾミは冒険者として登録することができた。
・・・Cランク冒険者として。
また、今来ているノゾミの服は、シェラリータの街にある、例のオカマの服屋で購入したもので、黒を基調とした、カジュアルな服を着ている。
色白のノゾミと対称的で、実によく似合っている。
ちなみにそれとはまた別の、赤や白などの服も着替えとして購入してあり、それらはすべて、俺のアイテム・ボックスに容れてある。
街の武器屋のおじさんや、『蒼い炎竜亭』、それにギルドの人たちへのあいさつも済ませた。
お世話になったからな。
あいさつはコミュニケーションの基本である!!
そして今、カイトとノゾミは、王都へと向かう馬車に乗っている。
魔物災害の後、暇だったカイトはシェラリータの街でこの世界の調べ物をしていた。
そしてあるものに、目を奪われた。
丸太に車輪を付け、垂直に棒が立っている、ある書物の挿絵に。
なんだかそれは、SLに見えなくもなかった。
それは、この国の王都の、観光ガイドブックみたいなものに載っていた。
気になった。
すご~~~~く気になった。
この世界に鉄道がないと知って、絶望に打ちひしがれ、いろいろ枯れてしまった彼の心に、それは、
十分な活力と気持ちの高揚を覚えさせた。
これがなかったら、魔石のことなんか思いつかなかったかもしれない。
カイトに目標ができたのだ。
「王都に行って、このSL((らしき))をみるんだ、と・・・・」
というわけで、シェラリータの街の領主様には、魔石のことを教える代わりに、あることをお願いした。
「王都に行きたいので、旅費をください。」
・・・・なぜあの時、領主様が「何言ってんの、こいつ?」みたいな顔をしたのかが未だに分からない。
旅は結構お金がかかるので、それを出し渋っているのかと思ったがそうではなかった様子。
むしろ、「それだけ?」って感じだった。
カイトとしては、魔石の件は自分の失態の尻拭いをしただけだし、それでもあわよくば王都にいくお金がほしかったので、ちょっぴり期待していたりした。
が、そんなことを領主たちが知る由もない。
手に届くところにある、ものすごい莫大な利益を、ほぼ無料でポイッと投げ捨てたようにしか
少なくとも領主には見えなかった。
・・・そんなこんなあって、領主が旅費として渡してくれたお金は、銀貨が千枚ほど。
結構重いので、今は武器とかと一緒にアイテム・ボックスにしまっている。
「そんなに王都までって、旅費がかかるのか?」と思ったが文明レベル的に旅は、日本よりすごいお金がかかるのかもしれない。
日本だったら、銀貨千枚もあれば、ヨーロッパに百回くらいいける気がするが。
あ、日本では銀貨、使えないんだっけ。
王都へは、馬車でも一ヵ月半ほどかかるという。
その間、野宿や街での宿泊を挟んで王都に向かうのだとか。
いわゆる、俺の乗っている馬車は経由便であった。
道中何回か、中規模な街を通るらしい。
馬車は5台で、一台が客用、四台は荷馬車であった。
なるべく早く、王都に着くといいな~。
そんなことを考えていたら、いつの間にか夕方になっていた。
シェラリータの街を出たのが昼過ぎくらいだったから、少しは進んだのかな?
夜の移動は危険なので、明るい今のうちに御者さんたちが、野営の準備をしている。
黙って見ているのは忍びないので、近くに落ちている木の枝とか拾い集めて、御者さんたちに渡す。
少しは薪の足しになっただろう。
カイトもこの辺り、少しはこの世界の生き方にも、慣れてきたようだった。
客の何人かと、御者さんたちがちょっとした料理の準備をしている。
料理といっても携帯食料を人数分配って、干し肉をあぶったのと、水に何かしらを溶かしたうす~いスープだけなのだが。
・・・・うん、いつ食ってもまずいな、これは。
ご飯が終わったらすることもなので、先ほど馬車から出された、シーツと枕を借りて(枕は太い木の枝っぽい)寝る準備をノゾミとする。
その折、一緒の馬車だった大人たちに囲まれて、どこへ何をしに行くんだとか、この女の子は許嫁かとか、質問攻めにあった。
・・・明日から、毎日こうなのだろうか?
王都につくころに、SLを探す体力が残っているといいな。
さすがの俺も、夜は飯を食ったらすぐに寝たい。
しばらくもすると、疲れが出たのか大人たちも指定された場所で寝着いていく。
指定された場所、というのは女性が馬車の中か馬車の下。
男性が木の根元とかである。
御者さんたちは、火の近くで、交代の不寝番をするらしい。
夜遅く、ご苦労様です。
俺も寝るため、近くの木の下へと向かった。
すると、ノゾミがついてきた。
知らない人の傍では、警戒して眠れないのだという。
あ~~、そうか。 ノゾミは今は人型でも、もともとは・・・(以下略)
仕方がないので、俺はノゾミと一緒に、木の下で寝ることにしたのだった。
そこで、感覚魔法を周りに展開するのを、忘れない。
(防犯ブザー代わりになる。)
「ふあああ・・・・・」
大きく欠伸をしたカイトは、すぐに夢の中へと落ちて行った・・・・
王都には、何かしらあるかもしれません。
昔、勇者と呼ばれる存在が召還された実績もあるようですので・・・・・
まあ、なんか考えておきます。
※9/9、加筆修正しました。




