第260話・ギルドからの召喚状
更新が遅くなって、申し訳ございません。
一つの伏線(?)回収の話になります。
「カイト様、お手数ではございますが、王都へ行ってください。」
「えーっと、今から石神様を迎えに行くところなんだけど・・・」
魔石の鉱脈を造っていただくために、石神様をバルアに置いてきて早いもので数日。
先ほど念話が入り、魔石の鉱脈が出来た旨を伝えられた。
そんなわけで、今の俺はアレをグレーツクに返してくるという、重要な責務を負っている。
「今ちょっと忙しいんだ。 あとでじゃダメかい?」
「緊急ですので。」
ダメらしい。
また王様からの、要請か何かなのだろう。
俺がどうこう言う権限は、無い。
ごめんなさい石神様、迎えはまた今度で。
「王宮からだとすると・・・今度はどんな用件が来ているの?」
鉄道工事の遅延に関しては、どうか、お目こぼし下さい。
「いいえカイト様、今度は王宮からではございません。 ギルド総督会からですわ。」
「ギルド・・? え・・、あぁーーーーーーー!!!」
『ギルド』という言葉に、一瞬何のことか分からなかった。
皆さんは、覚えているだろうか?
カイト達が、ギルドの誘致活動を行っていたことを。
この領地内には冒険者ギルドが無く、商隊の護衛や資材収集などで不都合が生じがち。
べアルにギルドを造っていただくため、ギルド総督会という場所に、ギルドの誘致を行ったのが、約一年前。
まさに忘れた頃に、話がやって来たという感じだ。
「こちらが、カイト様宛の総督会からの招待状でございます。」
「おお!!」
アリアから渡される、真っ白な一通の封書。
中には、数枚の事務的な書類が入っており、その中でいくつものサインが書き込まれた重厚な紙が一枚入っていた。
雰囲気的に、これが招待状なのだろう。
「封書到着後3日以内までに、馳せ参じるようにとの事でございます。」
「それまた急な・・・」
というか、ずいぶんと無理難題を突きつけてきたものだ。
ここから馬車を使ったとして、王都までは早くとも半月以上はかかる。
俺は転移が使えるから、何ともないけど。
「カイト様のお力は、諸国でも有名な話でございます。 それのデモンストレーション的意味合いもあるのかと。」
「・・・いつの間に。」
転移で来ること前提で、召喚されているらしい。
俺の知らない場所で、俺がどのように語られているのか。
聞きたいけど、聞きたくないな。
身から出たサビってやつ??
「こちらが今回の、冒険者ギルドの誘致のために用意した資料になります。 頑張って来て下さいませ。」
「え、アリアは来ないの!?」
「・・・・カイト様、何度も言いますが私はあくまで、あなたの妻であり、それ以上でもそれ以下でもないのですよ?」
「それはそうだけど・・・」
不安だ。
行ったこともない場所で知らない人に囲まれるというのは、どうしても恐怖感のようなものがある。
せめてアリアが隣にいるのなら、少しは軽減できると思ったのだけれど、世間様が許してくれないらしい。
どうして出来るアリアの立ち位置ばかり、こうも弱いのだろうか??
「しっかりなさって下さいカイト様! あなたはベアル領の大公様なのですよ!」
バン!と肩を叩いてくる彼女。
グンナリしている俺に、カツを入れてくれているよう。
人に頼ってばかりじゃ、確かにダメだよな。
「そうだな、今回は俺1人で頑張ってくるよ。 きっと誘致を成功させてくる!!」
「それでこそ、ベアル領の大公様ですわ!!」
アリアに焚き付けられ、なんとかヤル気になったカイト。
・・・そんな風に自信に満ちていた時も、ありました。
◇◇◇
「大公殿下、お茶をお持ちしました。」
「・・うん、ありがとう・・・・」
同封されていた地図を頼りに1人、王都をブラブラ。
そうして着いたのは、王宮の近くにあるレンガ造りの大きな建物。
日ごろの手入れが行き届いているのか、どこもかしこもピカピカだ。
一年近く前に来たときにも、思ったことだが、本当にスゴイ。
凄いんだけど・・・
「申し訳ございません殿下。 当方の事前の調べが足りず、お好みが分かりませんでしたので、ご希望に添えていないかもしれません。 もしよろしければ、お好みのものなどをお聞かせ願えれば。」
「いや・・・別に気にしなくていいよ。 好みとか、特にないから。」
何この、VIP待遇。
1人のメイドさんが、何から何までの世話をしてくれる。
凄すぎて、むしろ落ち着かないんですけど。
入り口の人に、招待状を見せた途端に豪奢な部屋に迎えられ、すぐこの待遇。
総督会の要員の準備の間、俺に待ってもらうために通されたようだが・・・
まるで王様にでもなった気分だ。
分かってますよ、俺には過ぎた対応だって事ぐらい。
でもこちらが下手に出ると、かえって逆効果になってしまうんです。
さんざアリアに説明を受けたので、教えられたとおりの態度をとっていく。
俺なりにだけどね。
「それでは大公殿下、私は扉の前に控えております。 ご用件などがあれば、お申し付け下さい。」
「どうも・・。」
音もなく、礼をして退室していくメイドさん。
ふう、緊張した。
屋敷でのコレは慣れたけど、相手が知らない人だと、未だに緊張する。
しかも大公『殿下』って・・・
そんな俗称をつけられて呼ばれたのは、これが初めてだ。
なんだか、自分の事ながら笑える。
「・・・とと、そんな場合じゃない!」
俺にはすべきことがある。
これから始まる、ギルド総督会。
俺の領地に冒険者ギルドを造っていただくために、俺は『誘致』を行わなければならない。
そのために用意した(概ねアリアが)諸々の書類は、手元にある。
これらを魔法で、コピーの要領で同じものを複製していく。
参考資料として、集まった皆さんにお配りするのだ。
中学校で学んだ、プレゼンを応用するのだけど・・・・
「どうか、うまくいってくれ・・・・。」
魔の森近くにある、ベアルという領地。
冒険者ギルドは、どうしても必要だ。
そしてそれが上手くいくかは、おれ次第なのだ。
その責任の重さにカイトは、その肩を重くしていった・・・
数々の用事の上に、パソコンまで止まってしまう始末・・。
話を書くのが、このごろ滞りがちです。
申し訳ございません。




