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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第10章・鉄道の前に
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第231話・懐かしきシェラリータ?

これからも、頑張っていきます。

感想などがありましたら、どんどんお寄せ下さい!

俺が治めるベアル領の北側に位置する、シェラリータ領。

数年前に俺が日本から転移して来た際に、初めて訪れたこの世界の街だ。

横に居るノゾミとの初めての出会いも、ここであった。

街の地図は、頭の中に入っている。

それに従い、朝食が食える場所を探しに出たわけなのだが・・・


「どこだよ、ここ・・・・」


城門から入ってすぐ分かった事なのだが、シェラリータの光景は、すっかり様変わりしていた。

昔は2~3階建ての低めの建物しかなかった街には、巨大な建物が林立していた。

みたところ住居のようで、そこかしこから生活感が漂う。

日本出身のカイトには、それは『アパート』のように見えた。

ようは辺りの光景がカイトの記憶の中の風景とは、まったく別モノとなっているのだ。

区画整理でもあったのか道も若干、変わっているような・・・・

これも、よく分からない。

簡単に言うと、彼らは『迷子』になっていた。


「カイト、ここ本当にシェラリータなの??」


「・・・のはずなんだけど・・」


ここに来て、ちょっと不安になってきた。

もしかして俺は、転移先を間違えたのではないか・・・

いや、それはないな。

門番の兵士が、『ようこそシェラリータ領へおいでくださいました!!』とか言っていたし。

ここは間違いなく、あのシェラリータだ。

・・・のはずだ!!


「カイト殿様、美味な朝食と言うのは、まだなのですか?」


「・・・少々お待ち下さい。」


ダリアさんが、お腹が減ってピリピリしていらっしゃる。

悩むヒマすら、彼女は与えてはくれないようだ。

ここに『メイドに低姿勢の、どこかの領主様』という構図が出来上がる。

普通に考えられる立場を思うと、謎過ぎる光景だ。

当人達は、とくに何とも思ってはいないのだが。


「もう少し、進んでみようか? ラウゲットさんの邸宅は、街の中心にあったはずだし・・・」


カイトの提案に、無言で付いて来る3人。

なんか、しゃべってよ・・・。

ほとんどアテもなく、街をさまよう一行。

そのうちの2人が、貴族である事もあり、周りからは注目を集めていた。

もともと仕事などで人が居ない時間である事もあり、その人数は少ないのが幸いした。


「お兄ちゃん、この『しぇらりーと』ってどんな縁があるの?」


「お、聞きたいか?」


そうか、ヒカリにはまだ、詳しく話した事が無かったっけな。

道すがら、彼女には俺とシェラリータの話をした。

ここで冒険者になった話、ノゾミと出会った話、俺の失敗などなど・・・

ヒカリは、興味津々(きょうみしんしん)で話を聞く。

ダリアさんのブチまける殺気は、ガン無視する。


そんな事をしているうちに、いつの間にか彼らは、街の中心地へと到着する。

この辺りは、先ほどのように様変わりしているようなことは無く、数年前とほぼ同じ様相をていしていた。

なんだか、とても懐かしい。

店の看板などは、変わっているように見受けられるが、おおむね建物などには違いは無かった。

もちろん、食事を出している宿屋なんかも・・・


「げ。」


視界の中に、すごく見覚えのある宿屋が・・・

しまった、ここはアイツの宿屋の近くだった。

ふむ・・・道を間違えてしまったようだな。


「ダリアさん、あっちに『水の精霊亭』っていう宿屋があって、そこの出す朝食はうまいよ?」


「左様ですか、ならば即刻まいりましょう。」


カイトたちは回れ右して、急ぎ足でその場を後にした。

その宿屋の看板には、こう書かれていた。

『蒼き炎竜亭』と・・・



◇◇◇



「ふぃ~~、食った食った!」


腹ごなしを済ませたカイトたちは、精霊亭を後にする。

これから、この街の領主様へ会いに行くのだ。

その前に朝食を済ませる事ができて、よかった。


「屋敷の人間には及びませんでしたが、なかなか美味でございましたね。」


「サラダもあった!」


味にうるさいダリアさんの、お墨付きも頂いた。

連れて来て、本当に良かったと思う。

ノゾミは例によって、サラダ大盛りを頼んで食べた。

実に、満足そうである。

ヒカリは・・・・幸せそうだな、何も言わなくていいか。

俺ももちろん、満足だ。

奇異の目にさらされた事など、気にしない、気にしない♪


「腹ごなしも済んだところで、そろそろ伯爵様に会いに行こうと思うんだけど、良いかい?」


カイトの質問に、一様に頭を縦に振る3人。

まあ、もともとそれで来たわけだし、異存などあるはずも無いか。

よしアリアには悪いが、用事を早目に終らせて、今日はうまい物でも食って休もう!

決定!!


「それじゃあ、ラウゲットさんの邸宅に向かって出ぱぁー・・・・」


「おや? 見た顔だと思っていたらあんた、カイトじゃないかい??」


「・・・・・え゛?」


聞き覚えのある、女性の声。

そして特徴的な、その話し方。

・・・何よりこの街で、俺の名を知っている人間。

嫌な予感がする。


ぎぎぎっと、油を差し忘れたロボットのように首を後ろへ回すカイト。

そこには姉さん・・・もとい『蒼き炎竜亭』の看板娘、エリカさんの姿があった。

まとう快活そうな雰囲気は変わらず健在だが、前より見た目が大人びたような感じがする。

いや、今はそんな事は至極、どうでもいい。

正直な話、避けていた人物に会うとか、どんな不幸だよ神様・・・

思わず直立不動で固まってしまうカイト。

手には、食材を入れた紙袋が抱えられている。

買い物のため、外に出ていたようだ。

なんと間の悪い・・・・


「やっぱりあんた、カイトだろ!? なあそうだろ!??」


「あー・・え、何のこと? 人違いじゃない??」


あさっての方向を向きながら、そそくさとその場を後にするカイト。

正直、面倒くさい。

きっと絡まれて冷やかされて、今まで起こった全部を聞かれるに決まってる。

今日の俺は、カイトではなくて『ベアル領主』なんだよ、うん。


「まあ待ちなって、うまい料理でも出してやるからさ♪」


「ほうそれは興味深い! カイト殿様、是非向かわせていただきましょう!!」


「・・・・。」


ガッツリ、名前を呼ばれてしまった。

宿のエリカさんは、『我、確信を得たり』といった笑顔を振りまいてくる。

俺たちの退路は、この時点で埋められてしまったようだ。

ダリアさん、空気を読んでくれよ・・・・


カイトの切実な願いむなしく、彼らは『蒼き炎竜亭』へとUターンするのだった・・・・・

エリカさん、久しぶりの登場・・・

他の方々も、一応、この先登場させる予定です。

(※ちょい出し含む)

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