第21話・赤毛の少女
拙い文章で申し訳ございません!!
これからもがんばって更新していきます。
魔の森の一角は、信じられない有様になっていた。
木々は薙ぎ倒され、空を仰ぐことができるようになっている。
そこに、先ほどまでの小さなトビウサギはいなかった。
いたのは・・・・・・・超巨大な、トビウサギ(おそらく、のぞみ)であった。
大きさは、五メートル以上はあるのではなかろうか?
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?・・・」」
カイトとエリカは、その信じられないような光景に、しばし唖然とした。
先ほどまでは、のぞみはせいぜい、手のひらより一回り大きい位の、大きさだった。
間違いなく、手乗りサイズ並みであった!!
・・・・ここは大事なことなので、二度言った。
「は・・・・・おまえ、のぞみ!? 何で巨大化してんだよ!?」
これが、成長とかによる巨大化でないことは一目瞭然だった。
見た目がなんというか・・・幼いのである。
見た目は変わっていない。
ただ、その大きさが変わっただけであった。
問題なのは、その大きさが尋常では無いことである。
そもそも、トビウサギは成長して成獣になっても大きさは、せいぜい小型犬並みであり、五メートル以上になんか成長しない。
「どうしたって言うんだい、これは!? あんた・・・『ノゾミ』なのかい??」
すると、その巨大なトビウサギの体は発光し始め、徐々に縮んでいった。
そして光が収まると、赤毛の色白な少女がうずくまっていた。
・・・素っ裸の。
『う・・・・・うああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
女性にまったく免疫のない、カイトであった。
□ □ □
『蒼き炎竜亭』の二階にある一室が今現在、カイトが泊まっている部屋である。
その部屋の中にはカイトとエリカ、それに先ほどの赤毛の幼女がいた。
目によくないので、子供のころのエリカの服を貸して貰い、彼女に着せている。
「なんだかね、よく分からないんだけど、おいしそうな石があってね、食べたら急に体がおおきくなっちゃったの。 カイトがあわててたから、説明したいなって思ったらこの姿になっていたの。」
そしてどうやら、この少女は間違いなく、『のぞみ』らしかった。
森で遊んでいる最中、『美味しそうな石』を見つけ、どうにも本能的に止められず、拾い食いをしたら、巨大化。
彼女の思考に合わせ、姿かたちが人間の、それになったらしい。
・・・美味しそうな石ってあるのだろうか?
そしてそれを食うと、人間になったりするのだろうか?
・・・・うん。 考えるのはよそう。
異世界だからあるんだよ。 そういう事ぐらいさ。
カイトは、思考を放棄することにした。
「なるほどね~~。 そういう事かい。」
エリカが何かを理解した風にのぞみを見据え始めた。
彼女には、何かが分かっているらしい。
むろん、起きたことがまったく理解できないでいたカイトは、驚いた表情を浮かべた。
「は!? 何が起きたのか分かったのか!?」
カイトがそう問うと、エリカは逆に驚いた顔をして、カイトのほうを見た。
この世界の住人なら分かるものなのだろうか。
だがあいにく、俺がここに来たのはまだ、たったの一ヶ月ほど前である。
この世界の常識は俺にとって、非常識だ。
「間違いないとは言えないけどね、この子は恐らく、『魔石』を拾い食いしちまったんだと思うよ?
魔石は見た目は紫色の石だし、生物を誘う、『魅惑』とやらがあるらしいからね。」
魔石とは、生物の核に存在する、命の源のようなものらしい。
魔力の強い、大型の魔物などに多く見られ、この現物は非常に高額で買い取ると、ギルドのどこかの報酬の欄で見た事がある。
人間などにも例外なく存在自体はしているらしいが、なにぶん小さすぎて見つけられた魔術師はいないのだとか。
これを食ったりすると、魔力が増えたり、暴走したりする。
巨大化も、これが原因と見られる、とのことだった。
そんな目に見えるほどの大きい魔石を、俺のペットが拾い食い。
・・・・なんか惜しい。 惜しいことをした気がする。
俺の横で、苦笑を浮かべたエリカ。
たぶん、俺と同じ事を考えているのだろう。
対して状況が理解できていないらしい、のぞみ。
コクリ、と首を傾げている。
かわいい・・・
幼い顔立ちと、ゴスロリの服が相まって、破壊力が増していると思う。
だめだ。
こうなってしまった以上、エリカに任せようとかしたけど、イヤだ。
彼女に俺のそばから離れろとか言おうとしたけど、ムリ!
傍において目一杯、愛でたい。
「やっぱ、カイトも男だねえ・・・・」
失望とも取れる、表情をするエリカ。
失礼な!!
俺は愛玩動物を愛でる気持ちで、この子をそばに置くと言っているのだ。(実際、そうだし)
だからけして、やましい気持ちなどない。
無いったらない。
どうやら予想通り、のぞみも、俺といることを望んでいるようなので、話はスムーズに進んだ。
だが、食費とか何とか・・・
うーーん、やっぱりお金が必要そうだ。
どうにかしないといけない。
ちなみにのぞみは、元のウサギに戻れるのか、やらせてみたら戻らなかった。
巨大な、あの森で見たヤツになった。
これは周りに人がいるときは、人間になってもらうほかなさそうだ。
子供とか思われたらつらい・・・・・
この世界の人たちって、俺ぐらいの年齢でも結婚して、子供がいる場合があるなどと聞いた。
貴族では、五歳で婚儀を結ぶ者もいるとか!!
これは、早すぎではなかろうか、と思う。
ついでにチョーどうでもいいが、のぞみに着せたあのゴスロリ服は、宿の女将さんが昔、エリカのためにこしらえてくれたものらしい。
「ありがとー」と、はしゃぎまわって近所に自慢しまくり、そのまま城門の外まで突撃を敢行したと、女将さんが教えてくれた。
その当時の光景が、目の前にありありと映し出されるようである。
・・・・・やっぱり、どうでもいいけど。
次話より、のぞみ→ノゾミ
と表記致します。
よろしくお願いいたします。




