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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第9章 次のステージへ・・・
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第209話・恐怖のお時間

これからも、頑張っていきます。

かんそうなどがありましたら、どんどんお寄せください!

「お~よく来た、余のスズキ公よ。 疲れてはおらぬか?」


「国王様、ご健壮のようでなによりにございます。」


王宮へ到着早々、電光石火のごとく『玉座の間』へと通されたカイトたち一行は、国王からまず、ねぎらいの言葉をたまわった。

あまりの電撃謁見であったため、事前に国王様と話す内容の打ち合わせなどは、できずじまいだった。

グレーツクの話題が、のぼらない事をここに願う。


久しぶりに会った国王様の顔は、何やらいいことでもあったかのように、つやつやと輝いているように見えた。

かたわらに控える王妃様も、こちらへ笑顔を向けてくる。

対するカイト達は、もちろん儀式上、平伏の体勢である。

『許し』も頂いていないのに、顔を上げる事はできない。

後ろにいる現在、使用人に変装中の、ヒカリも含めて。


「突然の呼び出し、何かと忙しいスズキ公には迷惑であったやも知れぬな?」


「いいえ、とんでもございません。 国王様からの直接のお呼び出し、身に余る光栄でございます。」


一転、少し曇ったような表情を浮かべてくる国王様。

正直な話、迷惑であったが、それをこの場で言ってはいけない。

当たり前のことではあるが。

国王様もこの表情をとると言う事は、気にしてはいたようだ。

その上での、この謁見えっけん

一体、国王様から『話』とは、どういったものなのか。


「・・・・堅苦しいな。 おい皆の者、ちと席をはずさぬか。」


定型の挨拶あいさつにわずらわしさを感じたのか、国王は両脇に立ち並ぶ騎士や、国の重鎮貴族たちに退室を求める。

国王直々の命令ともあって、異議申し立てる者は無く、順次、部屋を退室していく。

見ているこっちは、どうにも申し訳ない気分になる。

国王のこの勅に従い、かたわらの王妃様も席をはずそうとするが、それを彼みずからが、制止する。

今部屋にいるのは、国王様と王妃様のほかは、俺とアリアに、ヒカリだけ。

この面子めんつで、話をするのだろうか?

・・・緊張するな・・・・・・。


「さあスズキ公よ、邪魔者はいなくなったぞ! 早くおもてを上げよ!! アリアもよく来た、ここを家とでも思って、ゆるりと過ごせ!!」


「・・・国王様、それは如何いかがなものかと・・・・」


ツヤッツヤの顔で、満面の笑みを浮かべながら、久しぶりに見た愛娘まなむすめの来訪を大歓迎する国王様。

傍らの王妃様も思わず、苦笑を浮かべている。

自分に付き従う国王様に忠誠を誓う者たちを、『邪魔者』扱いである。

言葉のニュアンスから本気で言っていない事は分かるが、それを俺達の前で言うのはどうかと思う。

・・本気じゃ、無いよな?


「アリアよ、ときにスズキ公との生活で不自由な事などはないか??」


「国王様、お元気そうで何よりでございます。 おかげ様で私は、毎日充実した毎日を送っております。」


俺の横にいるアリアは、親である国王に向かって、そう報告をする。

確かに彼女は『充実した』日々は送っているだろうな。

現に今、俺はルルアムと入れ替わった状態だし。

今はヒカリのおかげで、見た目はいつもの俺だけど。

ごめんな、アリア。

心の中で精一杯、妻に対して懺悔ざんげをするカイト。

これでカイトの愚考の数々が少しでも、直れば良いのだが。


「それは結構な事だ。 ミカナもそう思うだろう?」


「ええ、もちろんよ。 カイトさん、いつもアリアをありがとうね?」


「と、とんでも無い!! いつもアリアには、助けられてばかりで・・・」


動揺から、口調が地に戻るカイト。

今回のこの事件に関しても、アリアの助けが無ければ俺は、王宮へ来れなかったかもしれない。

今や俺は、アリア無しでは生きられなくなっている。

アリアが今、居なくなったら俺は死ぬ事になるだろう。

言葉通りの意味で。


「ところで、そちらの使用人は誰かしら? この王宮から連れて行った子じゃないのは、確かよね??」


俺の返答に満足そうに顔をうなずかせた王妃様は、現在俺達の後ろに居るヒカリへと、視線を移す。

諸事情あって、彼女は今、屋敷のメイドさん達と同じ格好をしている。

立場を言えば、『カイトの身の回りの世話係』のような位置づけとして。

彼女は、俺に『幻惑魔法』を掛けてくれている。

この魔法でついでに、声も変えてもらっている。

これはそこそこ高度な魔法なので、掛け続けなければすぐに、ほこんでしまうのだ。

それが無ければ今、魔力を封印された形の俺は、国王様の眼前でルルアムの姿をさらす事となる。

そうなれば、大事では済まない。


そんな事もあって、先ほど国王様が『人払い』をした際も、彼女を残したのだ。

だが国王様たちは、そんなこちらの事情なんか、知るわけが無い。

『人払いした後も残る、それだけカイトに忠誠を誓う、自分達が全く知らない使用人』

ヒカリは今、そう映っているのだと、考えられる。


さて、どう説明したものか?


「彼女は『ヒカリ』と申しまして、三年ほど前にカイト様がベアルで孤児となっていた子供を、屋敷に招いたのでございます。 今は主に、カイト様の政務などのお手伝いをこなしてくれております。」


「そ、そうなんですよ!!」


思わぬところから、助け舟が入った。

俺より先に、アリアがヒカリの説明をしてくれる。

まさか『森で拾いました』なんて言えないよね。

怪しさ満点過ぎだから。

そこから彼女が『魔族』だとバレる危険だってゼロではないのだ。

アリアは機転も利くな。

分かっているとは思うが、俺はそんな機転など無い。

今さらながら俺って、彼女の夫として、釣り合っているのだろうか??

不安だ。


「ふ~ん、カイト君って、案外と女たらしなのね。」


「何!? 我がアリアを悲しませる者はいくらスズキ公であったとて許さぬぞ!??」


「ちょ、ちょっと待ってください! 何でそんな話になるんですか!!」


自慢じゃないが、俺はアリア以外からは告白などされた事は一度だって無い。

だから国王様、そんな親の敵みたいな視線を、こちらへ向けないでください、マジで怖いです。

アリアも視線を床に向けていないで、助け舟を出してくれ。

俺はお前以外から告白された事はないのだ!!

それは分かっているだろう!??


カイトは、今目の前に居る『ヒカリ』という存在と『ノゾミ』という存在を、完全無視した。

それはなにも『人外だから』とかいう差別意識によるものではない。

見た目が幼いため、カイトの琴線に触れない。

ただそれだけの事である。

カイトの周りにはなぜか幼女が多いが、別にカイトは、ロリコンではないのだ。

彼女達のいわゆる告白は、カイト的には子供の『大きくなったらパパと結婚する』みたいなカテゴリーに入れられていた。

これまで幾度と無く、心がすれ違い続けるわけである。

早くカイトは、爆発とかをした方が良い。


「ふう、まあ良い。 それよりスズキ公よ、今回呼んだのは他でもない。 少々頼みがあるのだ。」


「た、頼み、ですか・・・私にできる事なら・・・・」


かしこまるカイト。

いやな予感がした。

頼むからここで、グレーツクの話が飛び出しませんように。



カイトに今できる事は、ただ、祈ることだけであった・・・。

形式上、お互い態度が堅いですが、国王様たちは彼らが来て、万々歳です。

特に、久しぶりに会えたアリアが、実に幸せそうだったので。

バルアの件は、内心残念がっているようですが・・・

この先もタマに、こういうことはあるかもしれません。

主にアリアに会いたさに、発作を起こした王様が。

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