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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第2章 シェラリータ
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第20話・衰退の街

つたない文章で申し訳ございません。

何とか、いつもの尺で書くことができました。

魔物災害発生から早いもので、もう一ヶ月。


結局カイトが浄化魔法で魔物たちをほふってしまった事など露知らず、

シェラリータの街では、冒険者たちによる討伐隊が編成され、魔物討伐へと向かった。

もちろん、その中にカイトの姿もあった。


・・・が、当然のごとく、この討伐隊出動は空振りに終わった。


最初の数日間こそ、「どこか別の方面からやってくるのではないか」とか、「魔法で遠距離から、殲滅せんめつはかっているのでは?」と、街の空気は張り詰め、より一層、警戒けいかいを強めていた。


それも、もはや一ヶ月前。

これだけ何もないと、街の住民たちは「やはり一ヶ月前の『天の光』で、魔物たちは一挙に駆逐されてしまったのではないか?」、との見解けんかいになった。


さて、ここで問題になるのは魔物たちが、一匹残らず駆逐されてしまった、ということである。


シェラリータの街が栄えていた大きな要因は、「魔の森も近く、良質な魔物の素材がふんだんにある」

ということに尽きる。

これの討伐、及び素材売却でまずは冒険者が。

次にそれの買取で多くの商人達が。

さらには、その者たちの通行料が。

この街を大きくしていた。

それは街の多くの公共サービスや、治安向上のための財源になっていた。


その栄えていた要因の、「魔物」が一匹もいなくなってしまったのだ。

浄化魔法によって浄化されてしまった土地に、小型や中型の魔物は当分の間、住めなくなる。

その結果、その上に立つ強大な魔物がいなくなる。


街にあった、ギルドが依頼達成は不可能な状態におちいってしまったのである。

討伐も、素材回収も、護衛も・・・・

当然、そうなれば仕事の無くなってしまった冒険者たちは、街を離れざる負えない。

ギルドは、素材の卸業も行っている。

その、卸すものが無くなってしまった。

売るものがなくなってしまった街からは、商人もいなくなる。

街は衰退の一途をたどらざる負えない状況に、なってしまったわけである。


もちろん、カイトも例外ではない。


冒険者だったのだから、稼ぐ手段が無くなってしまったのだから。

だが、ちょっと街を離れるというのは、ためらわれた。

こうなった原因は少なからず、カイトにある。

本人もそれは自覚していた。

このまま、街を離れるのはあまりにも無責任である。


かといってできることも大変限られており、ジリ貧状態であった。


この日は、カイトは街の外のいつもの草原へ来ていた。

依頼で、ではない。

ごろごろと転がって、ついでに『のぞみ』を外の空気に当ててやるためである。

最近は『のぞみ』も、カイトがこうして寝ている間、森に繰り出していた。

軒並み危険生物が駆逐されてしまった森は、トビウサギにとって、安心出来る遊び場であった。

今日もそのつもりで、森に入ったところで『のぞみ』には好きにさせた。


草原に着くと、思わぬ先客がいた。


宿のエリカである。

一ヶ月前では、宿での仕事の忙しさから、昼真っ盛りのこの時間は料理の仕込みやベットメイキングなど、することは山ほどあり、こんなところで地面に体を預け、空を見上げている暇などなかった。


だが前述のとおり、この町は人が徐々に少なくなり始めており、当然、そういった人を相手にしていた宿泊業界は大打撃を受けており、廃業した宿もちらほら出始めている。


そんな街の惨状さんじょうは露知らず、この草原には今日も心地よい風が吹き渡っていた。


「隣、いいかな?」


「ん・・・?  ああ、あんたかい。 ここの草原は街のみんなの物さ。 私の許可なんか、らないよ。」


「んじゃ、失礼して・・・・」


エリカは、カイトに気がつくと、手をひらひらさせてジェスチャーで、「気にしない」とアピールした。

カイトも頭のところで両腕を組み、草原にあお向けに寝転がった。


「ここには、小さい頃よく、近所にいた冒険者のおじさんに連れてきてもらってさ、最近は忙しくてちっとも来れていなかったけど、たまにはこうしてのんびりするのも良いもんだね。」


「・・・・そうか」


「そのおじさんは、私がとおの頃に依頼に失敗して死んじまって、遺体すら戻ってこなかったんだけどさ・・・」


「・・・・・。」


エリカに返す言葉が見つからない。 自分も冒険者だ。

明日死んでいたって、おかしくはない。

冒険者稼業中に死亡し、何も見つからないなど、この世界ではさして、珍しいことでもなかった。

まあ、俺も先日、そうなりかけたし?

・・・いろいろあって、寿命までは死なない事になっているのだが、今ここでそれをエリカに

話したところで何もならない。


「なあ、あんたも他の冒険者たちの同じようにこの街を離れるのかい?」


「それは・・・」


前述のとおり、依頼のないこの町で冒険者として生きていくことはできない。

街も閑散かんさんとしてきており、就職もまず、無理だろう。

仮に出来たとしても、すぐにその職場も、この街からは撤退てったいしてしまう事だろう。

カイトはこの街に来たときに、ギルドからもらったお金でこの街に残って何とか食いつないでいたが、それが底をつく前に、早急にこの街を離れねばならない。

いつまでもこの街にいたところで、さっきも言ったが、良い事など何も無かった。


カイトが答えにきゅうしていると、森の一角で


ズンッッッ!!!!


と、大きな地響きが起こった。


あのあたりでは、『のぞみ』が遊んでいたはずである。

嫌な予感に、カイトの背中を嫌な汗がじっとりと濡らす。


「のぞみ・・・・っっ!!」


「ちょ・・・カイト!?」


言うが早いか、カイトはガバッと起き上がると、現場へ全力疾走していった。

エリカもそれを追う。


この森で、その後に地響きが起こることはなかった・・・・











果たしてうさぎの『のぞみ』は大丈夫なのか!?

そして街はどうなってしまうのか!?

次話に続く!!

まだ何も考えてないけど・・・・・・

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