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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第9章 次のステージへ・・・
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第202話・過去の出来事

昨日は用事があり、更新が出来ませんでした。

これからも、こう行った事は間々、あると思われます。

更新を完全に忘れているわけではないので、どうか、お待ち下さい。

三年前、カイトの伴侶はんりょとなった当時、この国の王女だったアリア。

そのアリアは、心に大きな傷をかかえている。

当時彼女が、一番慕っていた『姉』と称される従姉いとこの存在。

その女性に、アリアは裏切られ、そして殺されかけた。


その女性が、ルルアムだ。

彼女はアリアを利用して、国を乗っ取ろうと考えていた。

その過程でアリアが邪魔になり、消そうとする。

そして、カイトから思わぬ攻撃に遭遇する。

この一件で彼女が受けた報いは、かなり大きなものであった事に間違いは無かった。

彼女は王女暗殺未遂の罪で捕縛され、そして貴族の身分を剥奪され、身分は『奴隷』へと成り下がった。

その上、怒ったカイトに心を壊され、『心のトゲ』をすべて抜かれてしまった。

かくしてルルアムは、ほぼ『別人』になった。

これにて『事件』は、すべてが終わったように見える。


しかし被害者のアリアの怒りと悲しみは深く、そして根強い。

それはアリアが、『収納』されていたルルアムの姿を見たときに分かった。

ここまで大事おおごとになってしまったルルアムに対し、彼女は当時、情状酌量じょうじょうしゃくりょうなどはせず、ただ連行されていくルルアムの姿を見送った。

その後の裁判にも、出廷はしたものの、事件に関する発言は、実に少ないものだった。

極力、関わりたくなかったのかもしれない。

カイトに対しあんなに優しくて、よく発言をする彼女。

彼女の中に渦巻く『感情』は、未だえていないのだろう・・・・


「カイト殿様、つまり一体、何をおっしゃりたいのですか?」


ルルアムの決意を聞かされて後、『アリアの感情』の説明を行ったカイト。

前置きが、長すぎる。

ごうを煮やしたダリアさんが、話の『根幹』を聞いてきた。


「つまりさ、現状ではアリアの前に、ルルアムを出すのは危険じゃないかって事。」


「・・・が、頑張りますわ! 決してアリア・・・様に正体を気づかれないように・・・!!」


ルルアムの意気込みに、かぶりを振るカイト。

俺が言っているのは、そういうことではない。

アリアは、勘が鋭い。

たぶん中身が変わっていれば、一言だけ言葉を交わしただけでも、見抜いてしまう事だろう。

それも中身は、長い期間、したい続けていた者。

彼女が、気付かない訳が無い。

そんな再会は、どうしても避けなければならない。

きっと、話がこじれてしまうから。

いつかこの二人は、頃合を見計らって引き会わせるつもりである。

だが今は、その時ではない。


「なるほど、カイト殿様の事情は飲み込みました。 ですがそれですと、外見がルルアムさんになっているカイト様がお会いするのは、さらに良くないのでは?」


「そこなんだよな~~!!」


再び頭を抱えるカイト。

『ルルアムに、アリアを会わせるわけには行かない。』

ならば、入れ替わってルルアムになってしまっているカイトが会うなど、言語道断であった。

きっと、さらに話がこじれる。

分かってはいる。

分かってはいるが、ルルアム本人にそのリスクは、背負わせたくなかった。

これは、元をたどればカイトのせいでもあるので。


しかし何やら『急用』があるようで、明日までに『俺は』ベアルへ帰らねばならないようだ。

それまでに、この状況をどうにかしなくてはならない。

どうにかして、この事態を乗り切らねばならなかったが、最良の手段は、まったくと言っていいほど見当たらない。

まさに、八方塞がりの状態だった。


本当に困った。

せめて見た目だけでも『変身』ができれば・・・・

『変身』?

そういえば昔、この国の大帝に呼び出されたとき、ヒカリをアリアに見せるように・・・

したよな?

そうだよ、アレを使えれば・・・!!


「ダリアさん、『幻惑の魔法』か何かで、俺とルルアムの見た目を変えられないかな!? これなら丸く収まる!!」


入れ替わったままなのは、仕方が無い。

放っておけば一ヵ月後には治るのに、命がけのリスクは背負しょえない。

俺だけならまだしも、この一件にはルルアムという第三者も絡んでいるので。

ならばその期間、誰にもそのことを悟られなければ良い。

今の俺は、仏像に掛けられた術のせいで、いつものように魔法は使えない。

だがドラゴンのダリアさんは、魔力も非常に高い。

カイトと同じことができるような気は、十分にした。

期待に満ち満ちて、瞳を輝かせるカイト。

だがダリアさんは、そんな彼をしっかりとした眼差まなざしで見据え、右手の人差し指を立てた。


「一ヶ月間・・・ですか?」


「・・・・・。」


そうだ、うっかりしていた。

そもそも『魔法』には、有効期限がある。

期限が切れてしまえば、当然掛けていた魔法は、解けてしまう。

それを防ぐには、その都度、魔法を掛け続けなければならない。

それも、いつ解けてしまうか分からないので四六時中、隣に控えていなければならない。

メイドとしての仕事があるダリアさんに、それは不可能に近いモノがあった。

こちらの都合で四六時中、彼女を縛り付ける事はできないのだ。

仮に強引にそれを行使すれば、逆に屋敷の人間に怪しまれてしまう事だろう。

そこから何かが、ばれてしまう事は、十分にありえた。

それでは、本末転倒である。


話がまた、フリダシに戻ってしまった。

顔をうつむかせるカイト。

ルルアムも、何も言ってこなくなった。


「ねえ、お兄ちゃん。 私に手伝える事ってある?」


困惑した表情を浮かべながら、ルルアムの体の手(つまり俺の手)を引っ張るヒカリ。

そう言ってくれるのは、非常に嬉しかった。

だが、こればっかりは他の手段を考えるほかは無い。


「ありがとうヒカリ。 そう言ってくれるだけで、だいぶ気持ちが軽くなったよ。」


そう言って、彼女の頭をなでるカイト。

いつもはこれで満足げにするにだが、今日はどこか、不満げな様子だ。

やはり体が違うと、感触などが違うのだろうか?


「お兄ちゃん、前に私に掛けた魔法があったでしょ? アレを教えて! 私が一ヶ月間、お兄ちゃんに掛け続ける!!」


「なに!?」


ヒカリの決意に、驚きの声を上げるカイト。

ダリアさんやルルアムもこの切り返しは予想外だったのか、大きく目を見開いている。

言葉のニュアンスから、ヒカリが『幻惑の魔法』のことを言っていることは、この場の全員が理解した。

その彼女の提案は、かなり現実的なものであるといえた。

もともとヒカリは、文字通り四六時中、カイトの元にいるので、傍にいても誰かに怪しまれる心配はない。

しかも彼女は魔族なので、内包する魔力は、かなり高い。

『幻惑魔法』を一日中掛けるのは、教えさえすれば、出来るようになるであろう事は、容易に想像が付いた。

まったく思いも付かなかった、突破口である。


「ありがとうヒカリ。 悪いけど一ヶ月間、頼まれてくれるかい??」


「お兄ちゃんの役に立てるなら、わたしも嬉しいよ。」


そう言ってくれると、俺も嬉しい。

ヒカリの笑顔は、まさに天使の微笑ほほえみだ。

こうなれば、後はヒカリに魔法を教えてくれる人物の人選だけだが・・・

これはもう、目星はついている。

今度は魔法の講師の方へ、顔を向けるカイト。


「ダリアさん、俺は感覚だけで魔法をやってたから教えられない。 ヒカリに『幻惑魔法』を教えてもらえない!?」


「かしこまりました」


うやうやしくルルアムなカイトに一礼をするダリアさん。

カイトと違い、ダリアさんは『魔法詠唱』など、知識が豊富なので、誰かに魔法を教える事ができる。

まさに、適材適所だ!!

これで、どうにかなる!

たかが一ヶ月。

これさえ切り抜ければいいのだ!!

心の中でガッツポーズをとるカイト。


だが・・・・・・


一連の緊急事態に、カイトはすっかり『そもそもなぜ、仏像は術を掛けてきたのか』と言う事を完全に忘れてしまっていた。

このままでは、祟りのピンチである。

『自業自得』

現在のカイトはこの言葉を、地でいきそうな勢いがあった。

なんだかトントン拍子。

って、そんな事が続いた試しはありませんね。

カイト達はこの先、どうなるのでしょうか?

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