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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第9章 次のステージへ・・・
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第201話・こじれる一方で・・・

これからも、頑張っていきます。

感想などがありましたら、どんどんお寄せください!!

これからの行く末に絶望し、意気消沈しているカイト。

その彼(?)に、ダリアさんは続けざまに補足説明を行った。


「カイト様、ご心配には及びません。 この術は、徐々に自然の中へ霧散むさんしていく性質があるようです。」


「霧散?」


ダリアさんの彼らに掛けられた術の補足説明によると、この術は、自然消滅していくモノらしかった。

術が自然消滅すれば当然、この『入れ替わり』も解消される。

つまり放っておけば、その内なおるらしい。

今回掛けられた術式は高度で強力な反面、長続きするようなものではないようだった。

それを聞いてホッと、肩の荷が軽くなった気がする。


「ですがそれでも、この調子では治るまで、一月ひとつきは掛かるでしょう。」


「一ヶ月も・・・・」


ダリアさんの『鑑定』による診断に、頭を抱えるカイト。

『自然消滅するなら、それまでこの街で身を隠していればいい』と言う考えは、見事に打ち砕かれた。

一応、どれだけの時間が掛かるか分からないので、カイトはアリアに『しばらく家を空ける』と言付けはしておいている。

だがそれでも、さすがに一ヶ月も屋敷を空けることはできないであろう。

もし空けたら、それはそれで後が怖い。

『何があったのか』と問い詰めれるのは、火を見るよりも明らかだ。

もう一度ダメ押しで、彼女に聞いてみることにする。


「ダリアさん、マジでどうにかならないかな? 俺は魔法が使えないんだ・・・」


地面に手をついて懇願するカイト。

ドラゴンの彼女なら、『ムリ』とは言ったものの、何か手段ぐらいなら知っているような気がしたのだ。

可能性があるのならば、それにかけたい気持ちはあった。

だが『そうではない』と、再び首を横に振るルルアム。


「カイト殿様、実はこの術は、今の私でも解くことは可能なのでございます。」


「そうなの!? なら・・・・」


期待に満ちた表情を浮かべるカイトに、またも首を横に振るダリアさん。

現状で、解くことができる。

では何が、ダメだというのだろうか??


「カイト殿様、お二方に掛けられた術は、魂までに作用する強力なものでございます。 これを私の魔法で無理やり引き剥がせば、最悪カイト殿様たちの魂は破壊されてしまうのです。 この意味は、お分かりですね?」


「・・・・・。」


魂が破壊される。

それはつまり、死ぬと言う事。

『存在する可能性』というのは、あまりにもハイリスクなモノだった。

いくら最強のカイトでも、魂が壊れては死んでしまうと、ダリアさんも判断したのだろう。

そもそも何もしなくても『一ヶ月たてば治るのだから』ダリアさんはカイトに、否定の言葉を述べたのだ。

どうせ短期間で治ると分かっているのに、命がけで無理に行使しても危険なだけである。


だがそれでは、問題が残る。

今のカイトの姿は、まぎれもなくルルアムのものだ。

このまま屋敷へ帰ることは、当然出来ない。

アリアの心には、傷がある。

このままの姿で出会ってしまえば、それをえぐってしまう事につながるだろう。

それだけは、なんとしてでも、避けたい。

だが『入れ替わり』が治るのは、一ヵ月後・・・・

弱ったな~~~・・・・


「んうぐ・・・・・けほ! ・・・・カイト様、ご無事ですか!?」 


「あ・・・起きた? おはよう。」


「あ・・・え!? 私がもう一人!?? ど、どうしてですか!?」


目を覚ましたルルアムに、苦笑混じりに挨拶するカイト。

やっと意識を取り戻したルルアムは、周りを見回し、目の前にいる『自分の姿』の存在に驚きおののく。

彼女にも、この訳の分からない状況を説明しなければならない。

どうオブラートに包んで、なるべくショックを与えないように伝えるか。

弱ったな~~~。

(既に大きなショックを受けてはいるのだが。)



◇◇◇



「そ、そうだったのですか・・・・それは、弱りましたね。」


「ああ・・・」


これまでに起きた事態を、手短に説明したカイト。

かくかくしかじかと。

仏像に掛けられた術が、誤作動した事。

魔法が一切使えない事。

もちろん、放っておけば一ヵ月後には治ると言う事も。

もう少しとり乱すかと思っていたが、特にそんな事は無かった。

おかげでとても、説明の進行が早かったのだ。

おまけにルルアムはその場にいたので、一から説明をしたダリアさんたちに比べて、かなり状況の説明はしやすかった。

とはいえ、本当にわけの分からない事態。

状況を理解したものの、彼女も困惑は隠しきれないようすだ。


「カイト殿様は明日には、ベアルへと戻らねばなりません。 事態は、非常に切迫しているのです。」


「あ・・・明日にですか!?」


ダリアさんの補足の説明に、目をむくルルアム。

こんな事態の上での、このありえない(夢であってほしい)現実。

しかもダリアさんから詳しい話を聞くと、王様から何やら、『封書』が届いたよう。

何この、アリエナイ位、手際のいい不幸。

イロイロな事が起きすぎて、彼女の頭の処理能力を著しく超えてしまったようだ。

頭を抱え、どうにかこの事態を飲み込もうと努力をしている様子。


「お兄ちゃんがそのままで、帰るのはダメなの?」


目を腫らして赤くなっているヒカリが、『その状態で帰ったら?』と進言してくる。

もちろん、状況を屋敷などの皆に説明した上で。

だがそれは、アリアの(以下略)


「ありがとうヒカリ。 でもイロイロと問題があって、それは出来ないんだ。」


「ふーん?」


首を横に傾げるヒカリ。

半信半疑と言ったところだろうか?

彼女にはアリアの詳しい身の上とかは、話していなかったからな。

ともかくヒカリには、『この姿では、帰れないのだ』と言う事だけを説明する。


するとこの一連のやり取りに呼応するように、頭を抱えていたルルアムが立ち上がった。

何かを決意したのか、浮かべるその表情には先ほどまでの『困惑』の色は見えない。

彼女(俺の体)は、凛々しい表情を浮かべていた。

俺ってこんなに、かっこよかったっけ?

思わず自分に惚れてしまいそうだ。

こんな状況にもかかわらず、ド級にアホなカイトだった。

そんなアホに気にした様子も無く、ルルアムは自分の『決意』をカイト達へ向けて述べる。


「カイト様、こうなった一端には私の責任も大いにあります。 元に戻るまでの一ヶ月間、責任を持って私がカイト殿様になりますわ! 何でも、言いつけてくださいませ!!」


「「「えええーーーーーーー!!???」」」


ルルアムの決意。

彼女(?)は胸に手を当て、力強く宣言をした。

中身と素材はどうあれ、イケメンに見える。

この宣言に、驚きの声を上げる事しか出来ない、三人だった・・・・

ルルアム、漢らしいです。

まだまだ問題は、山積みなのですが。

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