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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第2章 シェラリータ
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閑話・それぞれの思惑

拙い文章でお恥ずかしい限りですが、よろしくお願いいたします。

「国王陛下、緊急事態にございます。魔の森にて第一級の魔物災害と思われる事象が発生したようにございます。」


「何!?それは真か?? すぐに国軍を出兵させよ!!なんとしてでも被害を最小限にとどめるのだ!」


ここは都市、シェラリータがある国、アーバン法国の王宮の一角。

そこで豪華絢爛ごうかけんらんな椅子に座る王様と、その前にひざまずく、宰相さいしょうの姿があった。

この国は、世界でも一番富み栄えている反面、魔族領と国境が接しており、

魔の森と呼ばれる魔素の濃い森が、国の領土の五分の一ほどを占めており、数年に一度ほど、こういった魔物災害が発生し、被害を及ぼすのである。

しかも今回発生したのは、第一級だ。

下手をしたら国そのものもあやうい魔物災害である。

だから、国王が取り乱すのも無理は無かった。

だが、これを報告に来た宰相さうしょうは、実に落ち着いた様子だ。


「お待ちください、陛下。 危機はすでに去りました。もう当該とうがいの魔物らしき存在は影も形もございません。」

「何じゃ、それならば私にわざわざ報告になど来なくてもよいではないか。」


報告に、安堵あんどのため息をつく国王。

だが宰相さいしょうは、それ以上に報告すべきことがあると言わんばかりに、国王と目を合わせる。

「国王陛下、シェラリータの街で『天の光』が多数目撃されております。」


「『天の光』じゃと!?」

先ほどよりも取り乱した態度を見せる、国王。


「はっ! 王宮魔導師も発動を確認しており、まず間違いございません。」


天の光とは、浄化魔法のことである。

発動には莫大な期間と多くの魔術師が必要とされる。 上級魔法である。


まして第一級の魔物をほふるような存在・・・

それは、世界の脅威きょういともなりうる。

それをもし、一国の切り札とすることが出来たとしたら・・・


宰相さいしょう。シェラリータの街に密偵を放て。 なるべく一人が言い。」

「ははっっ!!」


自国のこととはいえ、事情も事情なのであまり表立った行動は出来ない。 こういったときに、密偵は

大変重用ちょうようする。

国王はこれからのことを考えると、嬉しさが隠し切れない。

彼は外の広大なバルコニーから、シェラリータのほうを眺めていた。



   □         □         □



「法王様。アーバン法国の方角より、強大な聖魔法の気配が感じられました。」


「ああ。私もだよ。 恐らく浄化魔法であろう。実に強大な力にあふれていた。」


「やはり・・・・・・」


法王と呼ばれる、白を基調とした神父のような出で立ちの男が窓越しに立った姿勢で外を眺め、紺色の修道服を着た女が、腹のあたりに手を当て、うやうやしく一礼した姿勢をたもっていた。


ここはアーバン法国の隣、マイヤル聖国の王聖堂の一室である。

この国は、国家の要人すべてが聖職者であった。


「アーバンのたみも気づいているかもしれん。 何者がこれを発動したのか、それは調べねばならないだろう。」


「法王様。卓越たくえつながらその役目、この私にお任せください。」


顔を上げる女。


「そうか。くれぐれも気づかれぬようにな。」


「神のおぼしのままに・・・・」

再びうやうやしく一礼する女。


「この世界に祝福があらんことを。」

右手を上げ、女の頭上に円を描く法王。


その光景から感じられる雰囲気はまさに、地球の教会に見るそれに、酷似こくじしていた。



     □       □        □


「魔王様。われ等が森にて、死の燐光りんこうが放たれてございます。 ひひひっ!」


「チッ! 忌々(いまいま)しい人間共が・・・・」


ここは、魔族領に存在する魔王城の大広間。

側近らしい魔族が床に伏せ、椅子の上で頬杖を突く魔王にぶっきらぼうに言い放った。


「森にいました、馬鹿なゴブリンキング共が全滅したようで・・・ あわれみを込めて墓のひとつでも作ってやりましょうか? ウヒヒヒヒヒッッ!!」


「愚か者!!」


ボガーーーーーーーーーーーーーーン!!!!!!!!!


魔王が放った黒い球体は、側近めがけて確実に命中した。

部屋中に、黒煙が立ち込める。

しばらくして煙が晴れると、そこに先ほどの魔物の姿はなかった。

側近の魔物がいた跡には、小さなクレーターがあるだけである。


それと入れ替わりるように、一人の黒髪の少女が大広間に入ってくる。 髪の一部には、燃えるような赤色も混ざっている。

「お父様。 お呼びでしょうか?」


「エルよ、『死の燐光りんこう』をはなちおった、愚かな人間を探し出すのだ。

よいか? 見つけ次第、殺せ!! 髪の一欠ひとかけたりとも残すでないぞ!!!」


おおせのままに。」


激昂げっこうする魔王に対し、華奢きゃしゃな少女は床にひざまずき、深く一礼した。



      □       □       □



「しふく~~~♪」


そのころカイトは、『蒼き炎竜亭』にてベットの上で惰眠だみんをむさぼっていた。

彼の上で寝息を立てる『のぞみ』が、いい感じに『ひと時の平和』を象徴している。

今日は、冒険者稼業は、休みにするようだ。

彼はまだ、自分のやった行為の重大さを、まったく理解していない・・・・・・









さーて。、盛り上がってまいりました~~~!

やっと、魔王を登場させることが出来ました。


ちなみに、『天の光』

     『死の燐光』

    これはいずれも呼び名が違うだけで、光属性の浄化魔法のことです。

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