表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第9章 次のステージへ・・・
206/361

第194話・驚愕?

これからも、頑張っていきます!

感想など、ありましたら、どんどんお寄せ下さい!!

「う・・・う・・うぅぅ・・・・・」


カイト様が、死んでしまった。

目の前にいる仏像の背後にある土くれが、カイト様だったモノ。

彼の体は、一瞬で仏像の手によって、土の塊に変えられてしまった。

私のせいで、大変な事になってしまった。

こんな事になるなら、この周辺へ、案内しなければ良かったと思う。

ここは、永遠に放棄する案だってあったのだ。

それを止めた筆頭は、他でもない私である。

少しでもカイト様の言う、『もったいない』を払拭ふっしょくするがために・・

その結果が、コレだ。


これは私一人の問題ではない。

カイト様が死んでしまえば、グレーツクも、ベアルも、優秀な領主様を失う事になる。

それは何にも代えられない、とてつもない損害だ。

一番あってはならない、恐ろしい事になってしまった。

もう彼に、恩を返す事もできない。


彼女の目から涙が、とめどなく流れ落ちる。

それはしずくとなり、土の地面へと吸い込まれていく。

その光景を前にして仏像は、さらに顔を大きくゆがませる。

・・・・笑っているようだ。


『ふはははは、悲しみに暮れる事はない。 なんじもすぐに、今の男のようになる。』


「!!」


仏像が、ルルアムに向かってくる。

今度は彼女に、矛先を向けるようだ。

恐怖に、体を硬直させるルルアム。

彼女には、逃げる場所も、抵抗する力さえも、無かった。

再び、まばゆく光る、仏像の目。

終わった・・・・。

私は誰かにこの惨事を、伝える事すらできない。

軽く目を閉じ、時間の流れに身を任せる体勢をとるルルアム。


ぼかーーーーーーーんんんん!!!!


その時だった。

ふさがれていた洞窟の土壁が爆発と共に吹き飛び、外の涼しい風が通り抜ける。

洞窟内には再び土ぼこりが舞い、ルルアムの長い髪が、大きく揺れる。

けほっけほっと、き込むルルアム。

洞窟の入り口に目を向けるとそこには、一人の男性が仁王立ちしていた。

その人間の存在に、驚愕きょうがくの声を上げる仏像。


『バカな!? 貴様は今、確かに土くれに・・・!!』


男は仏像の言葉に答えることなく、五体満足のルルアムの姿を見つけると、安堵あんどの言葉を漏らした。


「良かった、無事だったんだね!?」


「カイト・・・・様・・・・・?」


声のする方向へ顔を向けるルルアム。

彼女はその姿をその瞳に映すと、安堵とも喜びとも取れる表情を浮かべた。

彼女の前に現れたのは、よく知った人。

彼女が一番慕っている、人間。

他でもない、白い礼服姿のカイトであった。



◇◇◇



「ぐあーーーーーーー!! 死んだーーーーーーー!!!」


先ほどルルアムと共に入った洞窟内。

ガバッと起き上がったカイトは、開口一番バカっぽい言葉を叫んだ。

トンネルの中なので、カイトの大きな声はガンガン反響する。

ここで彼は、自分の異変に気がつく。


「あ、あれ? 死んでない?? どゆ事!?」


カイトは自分の体を触り、五体満足なことを確認する。

負っていたはずの怪我も、無くなっているようだ。

俺は確か、土くれになって死んだはずである。

その瞬間の、仏像が目を赤く光らせるところまで、しっかりと覚えている。

そうだ、あの状況から見て俺は、間違いなく死んだ。

だとすると、今のこの状況は・・・


ん? 何かが頭の中に浮かんでいるな。

この感覚、なんだか懐かしい。

なんだろう、確認してみるか。

そうして彼の頭に浮かんだのは・・・・


【添付メッセージが届いています。:

 カイトさん、ほいほい何度も死なないでください PS:美少女女神】


「・・・・・・。」


なんか駄女神様からの、添付メッセージが届いた。

そうだ、俺、寿命まで死なないんだっけ?

ここ最近、こんな状況に陥る事がなかったので、すっかり忘れていた。

一度死んだ事で、安全圏まで転移もさせられたよう。

先ほどの俺の決意(?)は、何だったのか。

洞窟内で、赤面するカイト。

恥ずかしすぎるので、これが終わったら即効で、この記憶は封印だ。


「そうだ、ルルアム!」


そうだ、俺は仏像と戦っていたのだ。

ルルアムは障壁が破壊され、おれが死に行く瞬間、絶望の表情を浮かべていた。

俺を殺した仏像はきっと、今度はルルアムを殺そうとするであろう。

彼女の身が、危険だ!!


「ここで、間違いないな?」


カイトは目の前に立ちふさがる土の壁を、なでまわす。

先ほど入った際、枝分かれする道はなかったはずだ。

何よりこのやわらかい、真新しい土壁は、先ほどあの仏像が崩したものに、ほぼ間違いは無かった。

そうと決まればまずは、この壁を壊すところから始めねばならない。


「お~~~~し!!!」


ゾンビのように生き返ったカイトは、身構えて爆発魔法を放つ準備をする。

これで、土壁を吹き飛ばすのだ。

おれが死んでから、そこそこ時間が経ってしまった。

ルルアム、無事でいてくれよ・・・・・?


「うりゃっ!!」


ぼかーーーーーーーんんんん!!!!


爆発魔法は思いのほか強力で、土壁は跡形も無く吹き飛んだ。

崩れた壁の先には、床に倒れ付すルルアムとそれに近づく仏像がいた。

間一髪で、間に合ったようだ。

カイトは、安堵のため息を漏らした・・・・



◇◇◇



『バカな!? 貴様は土になったはずだ! なぜ生きている??』


「んふ~~~、生きてちゃ悪い??」


『ぐぬぬぬぬ・・・・!!!』


カイトは、生き返って早々、仏像の怒りを焚きつけた。

ちなみに未だ、この仏像への対処法は見出みいだせていない。

カイト、浅はかである。

対してルルアムは、気絶中だ。

現れたカイトを見て、幽霊とでも思ったのか卒倒してしまったのだ。

後で彼女にどう説明したものか、それが問題である。


それはさておき。


「ピンポイントでぶっ飛ばしてやる! 覚悟しろ、仏像め!!」


『調子に乗るな!! そうか、先ほどのは影武者だな?? ならば今度こそ仕留めてくれる、土となるがいい!!!』


双方、魔法攻撃の準備をする。

この一撃で、どうにかしなければならない。

涼しい顔はしているが、双方とも冷や汗を流している。

コイツは、一筋縄ではいかないと。


『む?』


ここで仏像は、何かを見つけたのか、カイトを見据えたまま、硬直した。

なぜ、この人間から・・・

おかしい!!

これは、確かめねばならない。

土にするのは、後回しだ。


「行くぞ仏像! こわれ・・・」


『ま・・・待て!!』


ずどーーーーーーーーーーーーんんんんん!!!!!!!!


仏像の制止はかなわず、カイトの爆発魔法は繰り出された。

しっかり狙ったので、仏像のど真ん中に命中する。

洞窟内に、大きな崩落音が響いた・・・・

カイト、生き返りました?

一応この仏像、すごいヤツなんですが・・・・

彼は中ではもう、『敵』認定です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ