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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第9章 次のステージへ・・・
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第183話・列車の増備

これからも、頑張っていきます!!

感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!

「と言うわけで、列車の追加発注を頼みに来ました。」


ゴッ!!


「いたーーーーーーーーーー!!????」


ここはグレーツクに新しく出来た、『鉄道研究所』の一室。

このみなと近くにある建物は、玄関から直結する形で、おっさん達の集う事務所に、行き着く。

連れて来たゼルダさんをはじめとした使用人達は、建物の外で待たせてある。

ヒカリは、俺の背中で気持ち良さそうに、寝息を立てている。


ちなみに彼らは今、鉄鉱石掘りを続けながら、この研究所にタマに訪れる形をとっており、常駐しているわけではない。

だがまるで集会所のように、ここにはドワーフのおっさん達が、三人以上は常時、ここには居た。

この研究所に、カイトは来ている。

そして挨拶をした途端、そこに居たドワーフのおっさんに、殴られた。


「何が『挨拶あいさつ』だ、こっちの忙しさも知らねえで! メシをお替わりするみたいに軽く言うんじゃねえ!!」


「そうだ、そうだ!!」


おっさん達が、声をそろえて俺に、批判の声を上げる。

こうなる事は、なんとなく分かってはいた。

俺だって、出来ることなら魔法で作って、彼らの負担をなくしたい。

だが貨車はともかく、機関車はデリケートで、それが出来なかったのだ。

せっかく作った試作機は、今はベアルの駅前に、オブジェとして飾っている。

駅の場所を知る、いい目印にはなった。(涙目)

それはともかく。


「材木卸などで、機関車がもっと必要になりそうなんですよ、お願いします。」


「そんな事、知るか!! 大体おれ達は・・・」


ここまで彼が発したところで、奥の扉がノックと共に開かれた。

扉の置くから姿を現したのは、この『研究所』唯一の正規職員。

ルルアムである。

正規職員とはつまり、国王((カイト))から給料をもらえる研究所職員と言うことである。

本来はガロフさん含め、ドワーフのおっさん達も、正規職員に指定するつもりであった。

だが彼らは、『俺達は誇りある鉄鉱石掘りだ。 研究所職員なんざを本業に出来るか』と、これを断った。

ルルアムも彼らのこの態度に遠慮をし、『正規職員』を断りかけたのだが、なぜかこれをドワーフのおっさん達が総出で止め、晴れて彼女だけが、正規の研究所職員になった。

以来、俺の知らないところでモノスゴイ馬力で、頑張っているらしい。


「こ、これはカイト様! お久しぶりでございます!! あああ、すみません、今は体が真っ黒で・・・すぐに湯浴みを・・・!!!」


部屋に入ってきたルルアムは、カイトが居るのを見つけると、慌てた素振りで彼に挨拶をした。

慌てる彼女に、気にするなと伝えると、再び彼女は、俺に対し一礼をしてきた。

体は油か何かで真っ黒に汚れており、目の下にはクマがあるように見える。

彼女が頑張っていると言う噂は、想像以上らしい。


「やあルルアム、久しぶり。 毎日、頑張っているらしいね。 でもちゃんと夜は寝ろよ?」


「は・・はい! 頑張ります!!」


カイトは彼女に暗に、『少しは休め』と言ったつもりだったのだが、彼女は顔を紅潮させ、ビミョーに違う答えを返して来た。

・・・せめて、逆効果になっていないと良いが。

室内のおっさん達が、こちらをニヤニヤした表情で、見ている。

何だろうか?

一応言っておくが、俺と彼女の間に、男女の関係は無いからな!??


「カイト様、このような場所に来て下さり、嬉しく思います。 本日は遊びに参られたのですか?」


「・・・・いや、ちょっと用事がね・・・」


黒く汚れながらも屈託の無いキレイな笑顔を、カイトに向けてくるルルアム。

そして、別に悪い事をしたわけでもないのに、バツの悪い表情を浮かべるカイト。

彼のこの返答に、ルルアムは全身の血の気が引いた。


「え・・・す、すみませんカイト様! 私のような者がカイト様の行動を推し量るなど・・・!!」


「・・・・・・・・・・・気にしないで?」


ルルアムにそんな事を言いつつ、カイトは内心、少なからずショックを受けていた。

ここへ訪れた目的が、『遊びに来た』と思われる。

それも、真面目になったルルアムに。

落ち込んで、しかるべきと言える。

そもそもカイトが毎度のごとく、用も無いのに転移でたびたびこの地を訪れているのが、根本的な問題と言えるが。

一気に顔面蒼白となった彼女は、腰を90度まで曲げ、彼に謝罪を繰り返す。

おっさん達は、助けもしてくれず、大爆笑だ。

俺に味方は居ない。


「ルルアム、もうその辺で・・・ 今日は用事があるんだ。」


「は、はい! 汚名挽回(おめいばんかいの為にも、死ぬ気で頑張ります!!」


今話して、大丈夫なのだろうか?

ますます彼女にとって、眠れない夜が訪れないか、心配だ。

しかし言わなければ、ここまで来た意味がなくなってしまう。

カイトは意を決して、彼女に用件を話した。


「実はさ、ベアル=ボルタ間の列車本数を増やしたいんだ。 それで機関車がもう、三台ほど入用いりようで・・・」


頭の後ろに手を当て、申し訳なさそうな態度をとるカイト。

しかしここまで聞いたところで、ルルアムは満面の笑みを浮かべた。

なぜ、そこまで嬉しそうにするのだろうか??


「本当でございますか、カイト様!? それならば今、ちょうど二台目が出来たところでございます! ぜひお持ち帰りください!! 残り一台も、突貫でお造りいたしますわ!!」


「うそ!?? もしかしてグレーツクに来てからずっと、作っていたの!!?」


カイトの疑問に、ハッとした顔になるルルアム。

機関車を作るには、たとえ一台でもかなりの、時間がかかる。

今はルルアムがグレーツクに来てからおよそ、十日目。

それで二台となると、たとえ三人で作業したとしても夜通しで、作業をした事になる。

どおりで、彼女の目の下にクマが出来ているわけだ。

彼女はバツが悪そうに、顔を下へ向けている。

カイトが自分の休息を気にしている事は、彼女はきちんと知っているのだ。


「ルルアム、とっても助かるよ。 でも夜はしっかり寝なよ?」


「・・・はい、ご心配をおかけして、申し訳ございません。」


言って、聞いてくれるだろうか?

カイトは、不安が隠しきれなかった・・・


そこのニヤニヤ顔のおっさん、ルルアムのこれ、知っていたんでしょ?

何で止めないんだよ。

彼女、過労死するぞ!?

次へのステップが、とてつもなく遠いです。

自分でも不思議です。

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