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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第9章 次のステージへ・・・
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第181話・秘密裏に

これからも、頑張っていきます。

感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!

ベアルにあった鉄道研究所が、グレーツクへ移設される。


その後、次の日にはカイトの転移魔法で、グレーツクへと向かって行った彼ら。

俺がベアルに帰る際、何度もお礼を述べていたルルアムの姿が、印象的だった。


「カイト殿様、森などへ、どういったご用件ですか??」


そして今、俺たちはベアル近くの森に居る。

当然のごとく約束どおり、ヒカリも横に居るぞ。

この三人以外には、誰も付いて来ていない。

ダリアさんは最強、というイメージからか、護衛兼メイドとして、彼女さえ連れて行けば問題ないことにされたのだ。

ノゾミは何やら疲れたらしく、屋敷で休んでいる。


「もしやカイト殿様、今度こそたわむれを・・・!!」


「!?」


背後から突如として放たれた、強烈なダリアさんの殺気に当てられ、息苦しさを感じるカイト。

横のヒカリも、眉をしかめる。

何やらまた、彼女は勘違いをしているようだ。

恐る恐る、後ろを振り向くと、口角を吊り上げた、世紀末臭をプンプン漂わせる、ダリアさんの姿があった。


「だ・・ダリアさん、違うよ!! 今回するのは、コレ!!」


そう言って、カイトは彼女の眼前に、アイテム・ボックスから出した黒い石を取り出した。

放っていた殺気を引っ込め、キョトンとしてこの石を見つめるダリアさん。


「これは・・・カラの魔石でございますね?」


「そう、魔石ガラ。 昨日、馬車組合の人たちに分けてもらったんだ。」


魔石ガラ。

それは、内包する魔力をすべて発散し、空っぽの状態になった、魔石のことである。

開通した鉄道の主な動力源は、この『魔石』

魔石ガラは、毎日かなりの量が発生していた。

これは開通早々、経済的な面で鉄道を圧迫していた。

魔石はそもそも、メチャクチャ高いのだ。


だからカイトは、逆転の発想に出た。

ちなみにどの辺が逆転したのかは、不明である。


「さあダリアさん! この魔石に、魔力を満タンまで注入してください!!」


「ええええええええええええ!!!???????」


魔石は空っぽになると、逆に周りの魔素を吸おうとする。

だからその特性を利用し、目一杯、魔石に魔素を吸わせようと言うのだ。

ズイッと、魔石ガラをダリアさんに差し出すカイト。

コレに、顔面蒼白でうろたえるダリアさん。


当然だ。

魔石が満タンになるまで魔力を放出したら、こちらがミイラになってしまう。

文字通りの意味で。

しかしダリアさんのこの態度に、心配無いと笑顔を向けるカイト。


「大丈夫だよ、ダリアさん。 俺も昨日試してみたんだけど、一日で十個も注入が出来たんだ。 ダリアさんはドラゴンだから、魔力がスゴイって聞いてさ・・・」


「・・・・・・。」


カイトのチート発言に、唖然あぜんとするダリアさん。

この人間は、本当に規格外すぎる。

今更ながら、ステータス表示の種族を偽っている風にしか見えない。

それが知りたくて、彼女は彼の傍に居るのだ。

いまだ、何一つ分かったことは無いが。


「お兄ちゃん、私もやるの?」


「ヒカリはまず、一個だけしてみてくれるかな? 魔力の放出はね・・・」


ヒカリの疑問に、カイトは『魔力の放出の仕方』を教えた。

やらせるのか・・・・・

『無知とは罪である』

この言葉の意味を、身を呈して理解するダリアさんだった・・・・



◇◇◇



「カイト様、バルアの『観光リゾート化計画』に関してなのですが、こちらの書類に後で、目を通していただけますか?」


「うん、分かった。」


夕飯後。

カイトの部屋に訪れたアリアは、彼に書類の束を手渡した。

いすに座るカイトは、机の上におかれたその書類をパラパラめくり、感嘆の声を上げた。


「へえ、もう区画整理まで終わったんだ?」


「皆様が乗り気で、協力を惜しまなかったようですわ。 ノゾミの功績による部分も大きいとの事です。」


「ノゾミか・・・・」


最近また、会えていない気がする。

お互い忙しいからな。

暇を見つけて、また彼女の好きに俺を、連れ回ってもらおうか?

先日は、とても嬉しそうにしていた事だし。

・・・なんか傍から考えると、おかしなセリフだな。


カイトのそんな考えはいざ知らず、アリアは話を続けた。


「バルアまでの『鉄道』の敷設も、考えなければなりませんわね、カイト様。」


「そうだね、まだまだ頑張らなくちゃ。」


そもそもくだんの『バルア観光リゾート計画』は、鉄道ありきの計画だ。

鉄道による『旅の日常化』が図れなければ、そもそもこの計画は、頓挫とんざしてしまうのだ。

これからその計画は、考えねばなるまい。

『それよりも』と、アリアが部屋の奥側へと視線を向けた。


「ところでカイト様、話は変わるのですが、あの元気なヒカリが、夕食も食べずに休むだなんて・・・・今日は何があったのですか?」


「・・・・・・サア?」


夕方に帰るなり倒れこむように、ベットにうつ伏せになったヒカリ。

いつもは元気一杯で、大食いの彼女が『食欲』が無いなど、前代未聞ぜんだいみもんな事態であった。

言わずもがな、カイトの『魔石ガラ注入』により、ミイラになってしまったためである。

実際にミイラになった訳ではないが、その魔力消費に、彼女は憔悴しょうすいしきっていた。

結局、魔石を七つも生成したダリアさんは、言うまでも無かろう。


「ふうん・・・・ まあ、良いですわ。 お渡しした書類は、見落としが無いようにご確認を願いますわ。」


「分かっているよ、アリア。」


アリアの釘刺しに、笑顔で答えるカイト。

ボルタまでの世界初の、鉄道が出来たのがつい数日前。

それなのにもう、次なる路線の話だ。

カイト達の夢は、広がる・・・・・

次なる路線。

うまくいくと良いですね。

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