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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第8章 カイトの願望
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第165話・建設状況その3

これからも、頑張っていきます。

感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!

「あの・・・・カイト殿様、本当によろしいのですか?」


「何が?」


今、カイトとダリアさんは、ベアルとボルタの間にある大きな川の側にいる。

この川は流れが急で、巨大な谷間となっており、川は百メートルほど下を流れていた。

ここは鉄道建設の予定ルー途上にあるひとつの難所であった。

ベアルからボルタへ向かう街道が一部、大きく蛇行し、かなりの遠回りをしていたのも、この川のせいである。

鉄道まで、そんなに大きく蛇行させる気は、カイトには更々なかった。

前に山脈を通る街道に架けたような、大きな橋をここに、架けようと彼は考えていた。

もちろん通る予定の『列車』は、街道を通る馬車とは重さが段違いなので、もっと頑丈がんじょうな物をこしらえるつもりだ。

その過程でどうしても、ドラゴンのダリアさんの力が必要であった。


だが、ダリアさんは乗り気ではないようである。


「こう言っては何ですがカイト殿様、確かあなたは、『護衛』なる者をお連れしなければならないはずでは? 今ここにはカイト殿様のほかには、私しかりませんが・・・・・」


「・・・・・・。」


不安そうな表情を浮かべるダリアに、乾いた笑みを浮かべるカイト。

ヤバいのは、分かっている。

でも彼らを連れて来たらきっと、アリアに情報が行って、止められる。

だからあえて、連れて来なかったのである。


「ここは、奴隷さんたちにさせたら難工事になる。 谷底に落ちて死ぬ人も出るかもしれない。 俺はそれを、どうにか阻止したいんだ。」


「まあ、気持ちは分からないでもないですが・・・・」


「トンネルはね、どうせ掘る予定なのは一つだけだから、任せることにしたけど、この川は何分なにぶん、危険が多いんだ。 後は・・・・」


ここまで言ったカイトは、腕を組んだ後、ダリアさんに向き直った。

そこには少し、困惑の感情が見えていた。


「ダリアさんに手伝ってもらうのに、俺以外がいたら危ないなーって。」


「私は正体がバレようが、メイドを辞める気はありませんが?」


カイトの発言の意味を、いち早く汲み取ったダリアさんは、間髪を入れず、そう答えた。

さっきも言ったが、彼女の正体はこの世界でも『力』の象徴とされる、ドラゴンである。

三年前にカイトとガチンコバトルをして、善戦した過去を持つ。

要は、『正体がバレたら、メイドどこの話じゃない』のである。

どこかカイトのように抜けている彼女は、この辺りがよく、分かっていなかった。


「まあ、良いや。 ダリアさん、ドラゴンになってくれる? 今から橋を作るから。」


「・・・頑張りますが、カイト殿様の『浮遊魔法』の手助けが・・・・」


「大丈夫、大丈夫。 前より小さいから。」


山脈の街道整備の際、バカデカい橋を持ち上げさせられ続けたダリアさんは、次の日、竜生初めての筋肉痛になった。

彼女の中では、そこそこなトラウマになっている。

その話をしているようだった。

ここは山脈の河川とは違い、流域が広くないので前よりは橋も、小さくなる予定である。


だが。


「じゃあダリアさん、部分で組み立てて行くから、持ってて。 行くよーー?」


ずん!!!


「~~~~~~~~っっっ!!!!」


カイトの声と同時に、自分の手にかかった重量に、ダリアさんは苦悶くもんの声を上げた。

いや、重たすぎて、声が出せなかった。

『列車通過用の、強度の高い橋』は、小さくてもかなりの重量があったのである・・・。


◇◇◇



「おー。 レールも枕木もきれいに敷けているね。 駅はどう?」


「大公様、お探ししていたのですよ! どこへ行っておられたのですか!?」


「ちょっと用事でね・・・うん。」


護衛の騎士さんの質問に、お茶を濁すカイト。

先ほど、架橋工事も無事終了し、元居た工事現場へと、転移で戻ってきたのだった。

ちなみに傍らに、ダリアさんの姿はない。

架橋終了と同時に、ひっくり返ってしまったのである。

彼女は人間化できるまで、体力を回復させた後、屋敷へ帰した。

今は、代わりに別のメイドさんが、傍らにいる。


ちなみにヒカリはすねており、このところ付いて来ていない。

先日置いていった事を、根に持っているようだ。

寂しいが、こればっかりはどうしようもない。

時間が解決してくれることだろう。


「レールとか枕木とか・・・だいぶきれいに敷けているね。 安心したよ。」


「はい! 寸分の狂いもなく、工事に当たらせております!!」


「・・・ちゃんと休憩も?」


「三時間に一度、『おやつ』なる物を取らせております!!」


騎士のこの報告に、満足そうにするカイト。

ここは、肉体労働だ。

一時間に一度の休憩、三時間に一度の栄養補給を徹底させていた。

栄養の補給の観点で、奴隷たちには適度な『休憩』と『間食』を取らせていた。

これは、重要なことである。


やっと、夢が現実のものとなりかけているのだ。

彼らには適度に休憩を取らせ、休みもきちんとやる。

この点、カイトにしては珍しく、抜かりは無かった。


「トンネルは掘り抜いたんだっけ? 今はどうなってる?」


「現在は奴隷の一人に、中面を補強させてります。 そう長いトンネルではないので、まもなく終了するでしょう。」


報告に、さらに満足そうにするカイト。


この工事に当たり、彼は奴隷に魔法を教えていた。

もちろん、教えるのは能力バカの彼ではなく、教会の人たちなどに。

手に職があって、損は無いと、彼は踏んだのである。

魔法はあって、困るようなものではないのだから・・・・ 


鉄道建設工事は、大詰めを迎え始めていた。

とおい。

てつどうがとおい・・・・



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