表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第8章 カイトの願望
176/361

第164話・鉄道研究所

この物語のおかげで、今後書く予定の話しの穴や、問題点が洗い出されてきました。

現在書き直しも含め、作業中です。

投稿まで、数年かかると思われます。

今しばらくの間、お待ちください。

その間、文章練習も含め、この物語は続きます。


なお、発表中の『魔王様は出稼ぎに行っておられます!!』は、11月中には開始の予定です。

「やー皆様、ご機嫌麗きげんうるわしゅう!!」


「なーにが、『ご機嫌麗しゅう』だ!! こっちはテメーのせいで大迷惑してんだ!」


上機嫌で『研究所』へ入ってきたカイトに悪態をつくドワーフの皆様方。

先日カイトは、アリアに『交換留学生』の件がバレ、こっぴどく叱られたのだった。

しかし反面、事情を理解したアリアはこうして、機関車製造に関する研究所の設置を、認めてくれてのであった。

実にうれしい誤算だった。

幸いにも、アリアに『俺がグレーツクの事実上のトップ』と言う事はバレなかったしね♪

(彼は未だ、彼女にほとんどバレている事に、気が付いていない)


「『動力』の方は、どうなっている??」


「ああ、今は魔石が放出する魔素を、いかに増やすかが課題だな。 まだまだ今のままじゃ、とても足りねえ。」


魔石が放出する魔素は、微量である。

これを増やさなければ、鉄道の動力には足りない。

今はその研究中のようだ。

うん、鉄道は近いな!!


「いつもありがとう。 お茶でも入れてこようか?」


「いらねーよ、ヤツが時間を見計らって持ってくるんだ。 テメーが厄介な女をここに連れてきたんじゃねえか! そのせいで一定時間ごとに休憩を取らされて、こっちは大迷惑だ!!」


カイトの冗談に、苛立いらだち気味にそう言い返してきた。

その言葉に賛同するように、他の者たちからも、声が上がる。


「そうだぞ、小僧! あのヤロウ、四六時中俺たちに張り付いてやがるんだ!! そのくせ夜は、何のかは知らんが、勉強中だ。 気になってこっちは、毎日が寝不足だぞ!??」


そうだ、そうだと、声をそろえるドワーフのおっさん達。

この光景に、苦笑を浮かべるカイト。

と、ここで後ろの扉が軽く二回、叩かれた。


「おじ様方、休憩のお時間ですわ。 お茶を入れてまいりましたので、お休みください。」


カイトの背後から、女性の声が聞こえてくる。

この声に呼応し、ヤレヤレと作業の手を止めるドワーフたち。


「よ、頑張っているみたいだね。」


「こ・・これは・・・!!」


カイトの存在に気が付いた彼女は、お茶を載せたお盆を手に持ったまま、きれいに伏礼をとった。

ちなみに彼女の手には、お盆に乗ったお茶が持たれている。

慌てているせいか、彼女はそのお盆におでこをぶつける。

見慣れているせいか、この場に居る者はカイトを含め、その光景を温かく見守った。


彼女は他でもない、ルルアムである。


先日、この街の治療院で彼女を見つけたカイト。

彼女は三年前に、アリアの暗殺を未遂した罪で、身分を奴隷に落とされていた。

そのせいか、体中がドロドロに汚れ、体も大きく衰弱していた。

初めて彼女を見たときの、貴族然とした雰囲気は、そこには一切なかった。

その原因の一端に自分の存在があったカイトは、彼女をどうにかしようと、知恵を振り絞った。

しかし彼女が、アリアの暗殺を企てたのは、まぎれもない事実だった。

アリアの心情を考えても、屋敷に迎え入れる事はできなかった。


そこで思いついたのが、『研究所の助手』

機関車製造に関する研究を一手に担っているこの場で、働いてもらうことにしたのだ。

特に危険は感じていない。

魔法で先日、念のため彼女の心を覗いてみたのだ。

念のため。

ここ、重要。

そんな彼女の心は今、『後悔』と『やり直そう』という感情にあふれている。

もちろん、いい意味で。

が、その過程で激しく人見知りするようになってしまった。


そこで彼女には、ここで更正してもらおうと考えたのだ。

幸い、ここにいるドワーフのおっさん達は、いい人揃ひとぞろいだ。

彼女にも、いい影響を与えているようで、俺に対する態度が幾分、軟化し始めてきた。

この調子である。


「ルルアム、なんだか最近は夜、勉強中なんだって? 何の勉強をしているの??」


「い・・・いえいえ! 勉強だなんてそんな・・・私がしているのは、日記のようなものです!!」


「あ・・・そう。」


それならさすがに、詳細を聞くわけには行かない。

いったい夜更けまで、何をしているのかと思っていたのだが・・・・

でも日記か・・・・

自分を振り返っているのだろうか?

いい事だが、やりすぎは禁物である。

後悔している人間が振り返る日記の内容は、読むだけで気がめいってしまう。

それを書いていたら、どんな人間でも参ってしまうだろう。

特に、今の彼女のような者には。


「根をつめすぎないようにな。 夜はちゃんと寝ろよ?」


「おおお・・・お気遣いありがとうございます!!」


再び一礼し、お盆にごちんと、おでこをぶつけるルルアム。

他人のことなので、あまり口出しはできないが、それでも言わずには居れなかった。

命令することも出来るが、それでは何の解決にもならないので。


「ところで小僧、今日は何の用だ? この間みたいに『冷やかしに来た』とか言いやがったら、張り倒すからな!?」


「まさか! ところでさっき言っていた、魔石の事だけどさ、詳しい人に聞いたら『暖かいところほど、魔素を多く出す』って聞いたんだけど・・・」


「なるほど、その性質は聞いた事があるな。 それを応用して・・・」


カイトのこの話に、食いつくドワーフ達。

問題がまたひとつ、解決できそうになった。


「あ・・あの・・・休憩・・・。」


更正ルルアムの言葉は、ヒートアップした彼らには、ついぞ届いていなかった。

彼女の受難は続く・・・・気がする。


まだまだ、鉄道は遠いぞ?


って言うか、いろんなことが起こるな、この物語。

キャッチフレーズの鉄道が、果てしなく遠いです・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ