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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第8章 カイトの願望
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第160話・建設開始

やっとここまで来て、鉄道の建設工事開始です。

この回では深く掘り下げますが、以後の回ではここまでは掘り下げない予定です。

以後の工事では、『こんな事があったのだろうな』感覚で、以下の話をお読みいただければ幸いです。


いちいち描くと、クドイ上に時間も掛かりすぎるので。

カイトが出した、『奴隷購入』に際しての条件。

・親しいもの同士は、離さないこと。

・悪そうな奴でも、つまはじきしない事。

・労働力として期待出来なさそうな者を積極的に、買うこと。

・一応、経歴などは調べた上で購入すること。

・購入にさいして、種族の差別もしない事。

・老人より、子供などを優先すること。

などなど・・・・


王都に向かった使者は、かなりの苦労をした。

一部、内容があいまいだし、制限が厳しいし、イロイロと調べるのにも、時間が掛かるし・・・・

結局、これの人選には三ヶ月と少しの期間がかかってしまったことを、ここに記しておく。

購入できたのは、総勢29名。

子供や衰弱などで動けない者を減らせば、20名そこそこであった。

ちなみに使者に抜擢されたメイド二人と護衛の騎士三人は、過労から五日ほど眠り続けた。

彼らにも、『人権』が必要そうだ。



冗談はさておき。

・土地

・材料

・労働力

三拍子がそろった『鉄道建設工事』は、今日をもって、着工されることとなった。

奴隷たちの管理の問題から、工区を分けるなどのことができず、ベアルからボルタへ一方から建設を開始する運びとなった。

今は、着工式を行っている真っ最中である。

参加者は、奴隷たちと屋敷の人間全員(手が離せなかった者を除く)だった。

人数だけ見れば、祭りにも匹敵する規模だ。


「カイト様、なにもここまでしなくとも、すぐに建設を始めた方がよろしいのでは・・・?」


「バカ! こういうのはだな、ちゃんと順番があるんだよ!!」


「・・・・・。」


アリアのもっともな発言に、異を唱えるカイト。

三ヶ月間、『まだか、まだか。』と言い続け今日やっと、その『鉄道建設』ができるようになった。

瞬間、彼は屋外で式典の様なものを始めたのである。

この世界では普通、何かを造るのに、こういった式典などは開催しない。

この街の団地造成のときもそうだった。

アリアが彼を不思議に思うのも、無理は無かった。


一方、カイトは内心、大フィーバーの拍手喝采はくしゅかっさい状態であった。

つい昨日、使者が購入してきた奴隷の一団を出迎え、狂喜乱舞きょうきらんぶして、現在に至る。

ちなみに彼は嬉しさのあまり、この奴隷たちに対して盛大な歓迎パーティーを催そうとして、アリアにしこたま怒られたのは、あまり関係の無い話である。

気持ちは分かるが、『領主が奴隷を、盛大に歓迎した』などと言う話が諸国に広まっては、たまったものではない。

カイトもいい加減、このあたりを理解すべきだった。

先は遠そうだが。


と言うわけで、『式典』が始まった。

と言っても、することは至ってシンプル。


「この工事の暁に、神の祝福があらん事をここに願う。」


まずは神主代わりに、聖女のイリスさんに言葉を述べてもらった。

イロイロ間違いだが、この世界仕様と考えれば、あながち変でもないのかもしれない。

いや・・・聖女様をこんな式典に呼ぶ時点で変か。



「俺さ、ここまで来て本当に・・・本当に・・・・・・うううう・・・・・・・」


「はいはい、カイト様、お気持ちはよく伝わりましたから、もう席にお戻りください。」


「ま・・待て!! 俺はまだ一言も・・・・・!!」


次に、領主の挨拶。

・・・は、長くなりそうだったので、アリアの手によって強制退場。

賢明な判断である。

彼に話されては、たぶん明日になっても工事が始まらない。

次に・・・・


「・・・・カイト様、この進行計画は何ですか?」


「え? だって必要じゃん。」


次に、奴隷の一人に、何か言ってもらう。

この式典の、『進行計画』なるものは、カイトが昨日、徹夜で仕上たものである。

彼、一人で。 誰に相談も無く。

アホだった。

この重要とされる(聖女様が来ている時点で)場所で、奴隷に話させるなど、あってはならないことである。

具体的には、戦争すら危ぶまれるレベルに。

と言うわけで、これは即効で却下になった。


次。


総出で奴隷たちとともに、木の伐採。


却下だ。

森の木を切らなければ、鉄道は敷けない。

その先駆けで式典のプログラムとして・・・と言う考えはよろしかった。

『奴隷たちと共に』あたりが非常に問題であった。


つぎ。


みんなでパーティー!!


却下だ。

昨日も言ったでしょうが。

奴隷とそんな事をしたら、問題になると・・・

カイトはまだ、諦めていないようだった。


ツギ。


みんなで遠吠え・・・(「やるぞー、おーー!!」的なノリで。)


却下。

もう説明の必要も無い。

言語道断だった。


「カイト様、残りすべて、却下ですわ。 やっては問題になります。」


「えー!!??? せっかく徹夜で考えたのに!?」


アリアの告白に、『なんてヒドイ事を言うの!?』と言った態度に出るカイト。

これにはアリアも、苦笑するしかなかった。

これで、式典は終了である。

プログラムはそれ以上、書かれていなかったので。


「うぅぅうぅ・・・・せっかく完璧な式典を考えてきたのに・・・」


「あー~~~--・・・・」


あからさまに気落ちするカイトに、アリアは妥協案を提示した。

本当にこの領主様は、バカである。

だが存外、皆がみな、この日常が好きであった。


「カイト様、分かりましたわ。 では、奴隷たちにだけ、木の伐採をしていただきましょう。 無論、全員で一本のみですわ。」


「・・・・・俺は?」


「ダメです。」


カイトの参加申し込みは、光の速さで却下された。

こうして、不安が残る形で鉄道建設工事は、開始の運びとなった。

まだ、開通は遠いです。

工事は、イロイロとありますから・・・・・

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