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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第8章 カイトの願望
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第159話・奴隷

これからも、頑張って行きます。

感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!

「アリア、その・・・・まだなのかな?」


「カイト様、昨日の今日で纏まる話ではございませんわ。 今しばらく、お待ちくださいませ。」


「くうぅぅ~~~!!  じらすなあ~~!!」


アリアからの報告に、ガタガタと座っている座席を揺らすカイト。

アリアは彼のこの態度に、注意をするでもなくただひとつ、ふう・・・と、ため息をついた。

彼からのこの質問は、今日これで十五回目である。

いちいち注意するのも、馬鹿らしくなってきた。


彼がここまで心待ちにするのは、鉄道建設に際して雇い入れる予定の、『労働力』。


そう、『奴隷』である。

この国を含め、この世界のほとんどの諸国では、奴隷は合法とされる。

もちろん、カイトたちが住むアーバン法国も、例外ではない。


しかし日本人の感覚として、『奴隷』というものが受け入れられなかったカイトは、この領地での奴隷貿易は認めてこなかった。

・・・今までは。


だが先日、アリアに『奴隷に人権を与えてやればいい』と、入り知恵されたカイトは、これを即効で採用した。

傍から聞くと、『奴隷』と『人権』は、相容あいいれないモノ同士に見える。

だが、現実的にはこれは、可能だ。

もともとこの世界における『奴隷』は、『物体』扱いである。

売るも自由。

憂さ晴らしの道具にするも自由。

オモチャにするも自由。

痛めつけるも自由。

殺すも自由。

死ぬまで休み無く、働かせるのも自由。


まさに、『人権』というものから縁遠いものであった。

・・・が、それは『奴隷契約書』などには明記されていない。

いわば、暗黙の了解である。


つまり、カイトがこの領地で、『奴隷にも人権はある。 決まりごとを制定したから、守るように』と言えば、それで通るのであった。

ちなみに前例は無い。

まさに前人未到の、考えである。


その先駆けとして、カイトは鉄道建設にこの、奴隷たちを使おうと考えたのだった。

これを見本に、街の人たちへの『奴隷』に対する考えを少しでも、変えてもらうのが目的だった。

やらないよりは、やったほうが効果覿面こうかてきめんであることは、明白であった。

そして先日、一番多く奴隷が集まると言う王都へ、使いの者を寄越したのである。

お金の都合もあって、雇い入れられるのは、頑張っても三十人そこそこ。

なるべく奴隷同士、家族がいたら離さないよう言ってあるので、現実もっと少ないかもしれない。

本当は、もう少し多く奴隷たちをこの地へ招きたかったが、何事にも『限度』があった。


「なるべく、多くの奴隷たちがここへ連れて来られるといいんだけどな・・・」


「現実、難しいでしょうね。 奴隷にも家族ぐるみはありますが・・・一まとめで買うと言った場合、奴隷商に足元を見られるのは必然ですから。」


「・・・そっかー。」


カイトが彼らを待ちわびるのには、もう一つの『理由』があった。

それは・・・


「アリア、彼らに少しでも楽な仕事をさせるために、今からでも少しでも工事なり、準備を・・・・」


「いけませんわ、カイト様。 彼らには、『人間と同じ働きをさせる』と言う使命があるのです。 カイト様がその仕事をあらかじめ、奪われるようであればこの計画はそもそも、成立たなくなってしまいますわ。」


「くうぅぅ~~~!! じらすなあ~~!!」


そう、『前例』を作るため、買ってきた奴隷たちには、『人間らしい労働』をさせるつもりであった。

その『前例』作りに必須となるのが他でもない、『鉄道の建設』であった。

この建設事業で、彼らを人間らしく働かせ、領地内の住民たちの手本とする算段だった。

カイトが自前の魔法で建設しては、元も子もない。

だからアリアは、カイトに『何もしてはいけません!』と釘を刺されていたのだった。

要するにここ最近は、『鉄道』は停滞ムードであった。


もう他の準備はあらかた整っているだけに、カイトの欲求不満は、爆発寸前であった。

ゲーム好き人間が、目の前に置かれた最新ゲームソフトを前に『プレイするな』と言われるようなものだった。

ちなみに作者なら、別の事をして、気を紛らわせる。


「彼らには、一応急ぐように言い含めてはありますわ。 ただし、カイト様の要求があまりにも複雑だったので、時間がかかるものと思われます。」


「う~~~~・・・・・」


毅然きぜんとした態度で、カイトにそう言い放つアリア。

カイトは、奴隷購入に際し、いくつもの要求を使いの者に出していた。

それがあまりにも多く、そして複雑なので、アリアもこう言っているのだ。


一刻も早く鉄道を作りたいくせに、変な手回しをして、その建設が遅れている・・・・


『自分で自分の首を絞める』とは、こういう状況を指す。

ただカイトは、これに関しては後悔などしていなかったので、今の状況は受け入れるほか無かった。

時間が掛かればかかるだけ、しっかりとした『人選』ができた、と言えるのだから。

と言うことは当然、分かってはいたのだが・・・・


「ああ・・・早くしないかな~~~!」


「・・・・・。」


やっぱり、なるべく早い段階でここへ、連れて来て欲しいモノであった。

労働力って、大事。

そんな回でした。

・・・なっているかどうか、ほとほと不安な気持ちでいっぱいですが。

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