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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第8章 カイトの願望
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第157話・そして怒られた

これからも、頑張っていきます。

感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!

「カイト殿様、この地は魔族達の住まう場所から程近い場所にあります。 魔素の供給に関しては、滞るなどのことは生じ得ないことでしょう。」


「そうなんだ、ありがとう、ダリアさん。」


先日、魔物災害一歩手前まで危険な状況に陥ったここ、ベアル。

しかしこの事件は、むしろカイトにとって喜ばしいものとなった。

『鉄道の動力源』

これに頭を悩ませていたカイト。

そこで着眼していたのがほかでもない、魔石であった。

だがこの世界において、魔石は宝石よりも高いことで知られる代物だ。

いくら発展してきて財力が上がってきたカイトたちでも、おいそれと手出しはできない。

それが、『鉄道の動力』という、消費が早いものならばなお更だ。

彼の『鉄道建設計画』は、ここで頓挫とんざしたかに見えた。



カイトは本当に、運が強い。

昔、この地の不作が原因で森に放置した魔石ガラが、なんと魔石になっておいたのである。

これはアリアでも、予想外の事態であった。

カイトの鉄道計画が再び、動き出した瞬間であった。

だが今までも、こんな事はいくらでもあった。

そして、使い物にならずガッカリ・・・が通例であった。


ここで彼は、『実証実験』として、魔石ガラを少量輸入し、それを再び森に二週間ほど放置した。

結果は成功とまでは言えなかったが、そこそこ魔力が蓄積したのは確認された。

その後も試したが、結果は同じであった。

まあ、何とかなるって感じであった。

カイト的には。


ダリアさんからも魔素の供給下についての説明を受けたので、心配は払拭ふっしょくされた。

鉄道計画も、やっと現実味を帯びてきた。


・・・ハズだ。


「カイト殿様、魔素の供給元をお聞きになるなど、いかがしたことでしょうか? もし魔族共が鬱陶うっとうしいと言うならば、カイト殿様ならば多分、半日ほどで奴等など殲滅せんめつ・・・」


「いや、違うんだ。 ただ興味を持っただけ。 答えてくれてありがとう。」


彼女は一礼すると、部屋を退出していった。

相変わらず、ダリアさんのセリフには悪寒が走るが、彼女に悪気があるわけではないし、『やめて』と言えば何もしないので、安心できる。

彼女が怒らなければ、の話だけどね。

一度彼女は怒って、州長宅が・・・

いや、今は語るまい。

現在でも、憶測おくそくの域を出ない事件ではあるのだし。

下手したら、冤罪えんざいになってしまう。


「後は・・・・あいつらに、相談にでも行くか。」


カイトはそう言うと、転移の魔法でその姿を消していった。

後に残るのは、部屋に吹き込む、心地よい風だけである。



◇◇◇


「カイト様、私がどうして怒っているか、お分かりですね?」


「えーっと・・・・一人で出かけたこと、だよね??」


あたりもすっかり暗くなり、街には魔力灯の黄色い明かりが照らし出されたころ。

屋敷では、今となってはおなじみの光景と化してしまった、『カイト説教の図』が出来上がっていた。

ちなみに今日はアリアだけではなく、ヒカリやメイドさんたちもその場にいた。

皆が皆、怒るか困ったような表情である。


「カイト様、あなたが行動する際に決められたことは何でございましたか?」


「ヒカリとメイドさんが一人、それに護衛の人を二人連れて行くこと・・・だったかな?」


「『だったかな?』ではありません。 その通りですわ。 それでカイト様は今日のお出かけでは、どなたをお連れになりましたか?」


「・・・空気かな?」


カイトよ。

漫才をしている場合ではないぞよ。

アリアも、顔を真っ赤にさせて怒る。

が、最初に口を開いたのはヒカリであった。


「お兄ちゃんヒドイ、二度も私を置いてった!! もうお兄ちゃんなんかキライだからね!!」


「そ・・・そんな・・・・・」


それだけ言って、そっぽを向くヒカリ。

なんやかんやで仕事の最中に、彼女から『いやし』をもらっているカイトは、結構なダメージを負った。

カイトは、アホであることは確実であった。

治る事は、なさそうであるが。


だが今回は、これだけでは済まなかった。

メイドさんたちがこの場に居るのも、そのためであった。

ちなみにその中に、ダリアさんの姿はなかった。


「大公様、言いたくはありませんが、私共はあなた様にお仕えするため、身を粉にして働いてまいりました。 この街の後片付けも、総出で行いました。 それでもまだ、われわれを信用できませんか?」


「ちがう、違う! そんな訳がないじゃないか!!」


カイトは、彼女達を代表するようにそう言ったクレアさんの言葉に、かなり驚いた。

そしてその背後のメイドたちがかもし出す、悲壮感漂う雰囲気も・・・

当然そんなわけがなかった。

カイトは彼女たち含め、この街の復興に尽力してくれたすべての人に感謝をしていた。

その人たちを信用しないなど・・・・


「カイト様、あなた様が行ったことは、そう言う事という事ですわ。 お分かりですね?」


「・・・・・。」


無言で、一度だけうなづくカイト。

どうせ危険はないのだし、手配も面倒だとすっぽかしたのは間違いなかった。

その行動が、このような誤解を招きかねないことは、考えるべきであった。


その後、カイトはメイドさん達にはもちろんのこと、騎士さん達のもとへも赴き、詫びた。

これからは、すっぽかさぬようにしようと、固く心に誓うカイトであった・・・


ちなみにヒカリは、この後三日間ほど、口をきいてくれませんでした。

がーーーーーーーーん。


ここまで来て、話がそれたよぅ・・・・

はは・・・鉄道って遠いなあ・・・(遠い目をして)

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