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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第8章 カイトの願望
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第156話・怪我の功名

これからも、頑張っていきます。

感想や、誤字、脱字などがありましたら、お寄せいただければ幸いです!!

アリアに連れられるがまま、カイトが向かったのは、街の外にある耕作地のさらに外側の、とある場所であった。

慌てていた事もあり、そこまで赴くのに『転移』は使わず、走っていった。

アリアもカイトも、息も絶え絶えだ。

・・・息切れしている理由は、両者で異なっているが。


「大公様、魔力漏れが激しくなる一方です! このままでは魔物が群がってきて、魔物災害に発展してしまいます!!」


「はあ、はあ・・・カイト様、あなた様の魔法でまずは、この魔力漏れをどうにかできませんか!!?」


「よ・・・よし来た!! その『魔力漏れ』とか言うのを止めればいいんだな!?」


着いて早々、十分な説明もないままカイトは、騎士やアリアに事態収拾を打診された。

『カイト様、街外れの耕作地で、魔力漏れが発生しています。 このままでは、街が壊滅しかねません!!』

そう言われて、カイトはここまで駆けつけたのだった。

ちょうど同じ部屋にいたノゾミも、今回は同行している。


そしてチートなカイトは、一瞬にしてこの事態の収拾に努めた。

具体的には、発生源一帯に、魔法の膜を張ったのである。

ルルアム襲撃の際に使った、障壁魔法のようなものだ。

あれとは違い、今回通さないのは、魔力だけと、限定してはいるが。


「・・あ、空気が澄んだね。」


「よく分からんが、良かった・・・」


ノゾミの言葉に、安堵のため息をつくカイト。

忘れがちだが、ノゾミはトビウサギの変異種である。

ゴブリンキングを倒した際に落とされた、巨大な魔石を食ったことで進化し(?)、人間型に変身して、現在に至る。

ようは元、魔の森に住んでいたという経験持ちの、野生動物である。

感覚などに関しては、人間以上のものがあった。

これは、カイトの魔法による探索などでは分からない事である。


「カイト様、お忙しい中ありがとうございました。 これで何とか、最悪の事態は避けられたようですわ。」


「いいよ、何やかんやで、俺の領地の話だ。 俺が動いて当たり前だよ。」


いや、普通動くのは、冒険者ギルドで集められた冒険者たちである。

この街にはまだこれがないので、いつもカイトが動く。

周辺からは、『変わった領地』と言われていた。

これをカイトは・・・・アリアすら知らない。


「ところでいきなりそんなに多くの魔力が漏れ出すなんて・・・何が原因だい??」


そう、問題はそれだ。

原因があるなら、対処しなければならない。

そうしょっちゅう、『魔力漏れ』なんかがあっちゃ、敵わないのだ。

カイトもここの所、忙しくなって来ている身なので。


「原因は、これですわ。」


「・・・・へ?」


そう言って、アリアがカイトに差し出してきたのは、魔石だった。

ついさっき、ノドから手が出るほどほしいと言っていた、あの魔力の結晶体。

鉄道の動力源に使いたいと言った、あのエネルギーの塊。

それを、彼女は『魔力漏れの原因』と言った。

これは一体、どう言うことなのか?

カイトが詳細を聞く前に、アリアの方から説明が始まった。


「この地はもともと、魔素が濃い地域なのです。 それで三年ほど前、カラの魔石を輸入して、この地の魔素を吸収させていたのですが・・・・」


「あーーーー!!!  あったな、そんな事!!」


すっかり忘れていた。

三年前、この地でソギク栽培を始めたばかりのころ。

一部の耕作地で、魔力過多による不作が起きた。

これを打開するため、カイト達は空っぽになった魔石を各地から輸入し、これを森に設けた集積場のようなところに置いていたのである。

これが項をなし、ソギクの不作は以後、起こっていない。

カイトはそんな事、すっかり忘れていた。

忘れていても、通常ならまったく問題にはならない案件に間違いはなかった。

・・・そう、通常なら。


「思ったよりこの地域の魔素が濃くて、置いていた魔石が飽和状態に陥り、魔素を放出してしまったようなのです。 また魔石ガラを輸入しますか?」


「んーーー、それだとその場しのぎにしか・・・・」


ここまで発したところで、カイトの思考は待ったをかけた。

前に、シェラリータでも同じようなことをした。

本当に、どうにかしたいならする方法は、ふつうに存在していた。



今の状況を整理すると、この地は、魔素が濃いようだった。

魔物がいないのが、不思議なぐらい。

つまり、魔石ガラを置けば、自然に魔石ができてしまうと言うことではあるまいか?

この地に埋蔵される魔石はほとんどない。

だが、作るならそれも可能である。


つまるところ。


「や・・・やったーーーーー!!!! 問題が一挙解決だーー!!」


「か・・・カイト様、どうされたのですか!!???」


カイトの豹変振りに、驚くアリア。

対するノゾミは、『ああ、そういう事か。』と、この状況に納得していた。

魔獣化の甲斐もあって、ノゾミの知能は、カイトをも越えているようだった。


「アリア、じゃんじゃん魔石ガラを輸入してくれ!! 実証実験をしてみたい!!」


「は・・はい、かしこまりました・・・??」


問題は解決したようだった。

だがここでいつも、水を差すようなことが起こっていた。

だからこその、『実証実験』。

これで、本当に使えるものかどうかを見極めるのだ。

カイトもこの三年で少しは、成長をしたようだ。


これでまた一歩、鉄道に向けて前進である。

この森に魔物がいないのは、ドラゴンのせいです。

近くの山脈に、地竜が多数生息しているので、魔物がいてもすぐに、捕食されてしまうのです。

この地の魔素が濃いのは、近くに魔族領があるせいです。

そこから魔素が、流れ込んでくるようです。

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