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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第8章 カイトの願望
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第153話・バルアに新産業を!!

これからも、がんばっていきます。

感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!

「カイト様、鉄道どころではなくなりましたわ。」


「・・・・え?」


彼らは今、ベアルからボルタの間に鉄道を敷くため、着々と準備を進めていた。

今はアリアの言う、『人手』というものをどうするかを目下、考え中である。

まさか、街に居る者たちにさせるわけにも行かないので。


そんな中、ある問題が浮上した。

その問題とは・・・


「カイト様、前にこの国における連邦との交易は、バルアがそのほとんどを行っている旨は、お教えしましたね?」


「『リグスク』だっけ?」


カイトの間髪入れずに答えた地名に、首を縦に振るアリア。

リグスクとは、クズ州長が海賊を従えていた、連邦にある街である。

この都市では主に、バルアへと向かう交易船がひっきりなしに行き交っていた。

しかし海賊に船を壊されたダリアさんは、烈火のごとく怒り、この街の州長宅を焼滅させてしまった。

その後はグレーツクが発展したこともあって、この街は衰退の一途をたどった。

今この街は、新生ゴルバ連邦の田舎町になったと聞く。

要するに、バルア最大の産業であった『貿易』の相手が、居なくなってしまったことに他ならない。


「その『ほとんど』を、今はボルタが牛耳ぎゅうじってしまっているのです。 私が何を言いたいのか、お分かりになりましたか??」


「えっと・・・・・ボルタが大きくなって嬉しい?」


カイトか発せられた言葉に、アリアは落胆した。

そんなことを伝えるために、わざわざ自分が出向いてくるとでも思っているのだろうか、この人は。

当のカイトは、自分は何か間違ったことでも入っただろうか、といった風だ。

この場合、カイトに期待しすぎたアリアが悪いだろう。

まあ、カイトもいい加減、少しは察せよとも思うが。


「違います!! 確かにボルタが大きく発展したことは喜ばしいですが、その上で問題が発生しているのです!」


「問題? 改めて街の区画整理とか??」


カイトのこの言葉に、思わず目を見開くアリア。

実はこれも、彼に相談しようと・・・・

いやいや、違う違う!!

今すべき相談は、そんなじゃない!!

アリアは首を大きく横に振り、否定の意を示した。


「バルアです。 バルアの産業が、衰退の一途をたどっているのですわ!!」


「あーーーーー!!! そういう事か!」


ここにきて、やっとアリアの言わんとしていることが分かったカイト。

いつもこれで、かなりのタイムロスをしていることに、いい加減気づくべきだ。

ちなみにそれが、鉄道建設事業の遅れにもつながっていく。


「バルアでは今、商人離れが続いておりますわ。 その商人たちが向かうのは・・・」


「ボルタか・・・」


「はい・・・」


ボルタが急激に発展したのには、このようなカラクリがあったようだ。

つまり、バルアからよりも、ボルタからのほうが交易に有利と踏んだ一部の商人が、お引越しをする。

彼らがそれに成功し、ほかの商人も続こうとする。

すると、交易が滞っているこの街では、物の仕入れがさらに滞り、弱小商人たちは、廃業していっている。

そんな街に多くの人間が住めるはずも無く、人口流出は後を絶たない。

その人間たちもまた・・・


「じゃあ、しょうがないね。 バルアの人たちには、引越し先としてボルタとかを紹介して・・・」


「冗談じゃありませんわ! バルアは漁業に置いてもこの国でも一目置かれる港町ですわ! 簡単につぶされては困ります!!」


「ご・・・ごめんなさい。」


アリアのあまりの剣幕に、あやまるカイト。

漁業もまた、獲った魚介類を売れる商店が減ってきているため、快調ではなくなってきていた。

このままでは、本当に危ないのだ。

バルアを任されている身として、これは由々しき問題なのである!!


それをカイトときたら・・・

現実とゲームをごっちゃにしているのではあるまいか、と考えさせられるほどの、暴言である。

この世界に、RPGのゲームなど存在しないが。


「あの街を再生しなければなりません。 それは監督官たる、貴方様の責務ですわ!!」


「バルアに新産業を・・・・か。」


漁業だけでは成り立たない。

交易に関する産業は、言わずもがな・・・

つまり、新産業を打診されていると考えるのが、自然な流れといえた。

カイトも少しは、分かってきたようである。

この調子でそのまま、成長してくれると・・・・

まだ無理か。


「ん~~、いきなり言われてもな~。」


「・・・そうですわよね。 申し訳ございません、カイト様。 私ももう少し、考えてみます。」


カイトに一礼し、きびすを返そうとするアリア。

そんな新産業をポンポンと、思いつくはずも無かった。

カイトは天才ではないのだから。


そのカイトはと言うと、前に屋敷から見た、透き通ったエメラルドグリーンに染まった海と白い砂浜、それに町を見渡す、草原などを思い浮かべていた。

はじめて見た時、彼は感嘆の声をあげたものだ。


そしてカイトは、天才じゃないが『新産業?』を思いついた。

一応言ってみる事にした彼は、退室しようとしたアリアを、引き止めた。

言ってみるだけなら、損は無い。


「アリア、あの街をさ、『観光リゾート』にするのって可能かな?」


「・・・・なんですか、その『かんこうりぞうと』と言うのは??」


この世界では、旅は常に危険と隣りあわせだ。

それを楽しむなど、変わり者の冒険者ぐらいしか居ない。



もしカイトが鉄道を作って、旅を快適で安全なものにできれば・・・・




いつ実現できるのか、不透明だが。

アリアに『観光リゾート』と言う言葉を彼が教えるのに、夜更けまで時間がかかった。

鉄道が遠くなりました?

次話は、元に戻りますが。

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