第151話・カイト様、分かりやすい
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カイト様の挙動が、不信です。
なんだか彼は、私に隠し事をしているような・・・
確信は持てなかったのですが、そんな気がしました。
ですがもし彼を問いただしても、はぐらかされるだろうなと思ったので、ここはあえて、聞かずにおいていました。
そんなモヤモヤした日々が何日間か、続きました。
そして最近、分かったことがあります。
カイト様は、やはり隠し事をしていらっしゃいました。
どうやら、『グレーツク』に関係する事のよう。
グレーツクは、先日大地震で壊滅し、カイト様が復興を手助けした、隣国の街です。
いえ・・・今はその後にイロイロあって、独立国となったのでしたね。
彼が連邦の『大帝』に呼び出されたまさに同じ頃に、かの地をドラゴンが襲い、国が分裂したようです。
その独立した国のひとつが、『グレーツク』です。
先日このことに関してカイト様は、国王様より召喚命令が出され、彼は王宮へ行きました。
私はそのときは、あいにく書類仕事の追い込みがあったので、同行はできませんでした。
カイト様も、いい大人・・・もとい領主様です。
転移の魔法も使えるのですから、王宮にぐらい一人で行けるだろうと、送り出しました。
・・・ですが、今はそれを少し、後悔しています。
確かにカイト様はお一人で、王宮へ行くことができたようですが、それ以来、私に挙動不審なのです。
必死に隠しているようですが、あれでは『隠し事があるよ。』と、言っているようなものです。
まず間違いなく、王宮で何かあったに違いありません。
それよりなにより・・・・
「アリア、『グレーツク』の交換留学生の志願者リストができたよ!」
「・・・・随分と早いですわね、その話をカイト様が持ってきたのは、つい二日ほど前ではございませんでしたか?」
「いやー、あいつらにこれを発布したら、もう飛びつくように・・・・」
「・・・・・・。」
カイト様は、腕を組んで満足した風に、顔を何度も縦に振っています。
実に嬉しそうです。
ですが・・・・・・
怪しい。
カイト様、怪しすぎですわ。
なんですか、まるであなた様が『グレーツクの国王様になった』みたいなその発言は!!
この間も、なんだかとても馴れ馴れしい口調で話されていました。
私も一目ご挨拶を・・・と思ったのですが、カイト様になぜか、全力で止められました。
私の中に、ひとつの説が浮かんだ瞬間でした。
その後、疑いというよりもう、ある意味確信がつきました。
『カイト様が、グレーツクを実効支配している』
なぜそうなったのか、甚だ疑問です。
カイト様は結構、面倒くさがりです。
自分から進んで、そうなったとは考えにくい。
彼がグレーツクを連邦から独立させたなど、論外もいいところです。
そこから察するに・・・・
「カイト様、あちらの住民たちは、元気ですか?」
「あちらって、グレーツクのこと? もう有り余るぐらい、元気だよ。 いやはや、俺としても嬉しい限りだよ。」
「・・・まるでカイト様が、今もご尽力されているような口ぶりですわね。」
「いや!?? ほら、あっちの国王様がそう言っていたんだよ、うん!! いやー、復興の手助けをした方としても、嬉しい限りだ、うんうん!!」
「・・・・・・。」
カイト様、ちょろいです。
領主として、問題すぎるくらいです。
こんなカマかけ位で、そこまで動揺されずとも・・・・
う~~ん、間違いないとはまだ、言い切れませんが・・・・・
カイト様はやはり、グレーツクで少なくとも、かなりの要職についているのでしょう。
もし、国王様ではないにしても。
それならば、この世界でなぜか、ボルタとだけ交易がうまく行っているのも納得がいきます。
でもカイト様、なぜそれを私に隠すのですか?
そんな大事なこと、妻としては、察するのではなく、カイト様ご自身の口から聞きたかったです。
もう一回、カマを駆けてみるとしましょう。
「カイト様、私に何か、隠し事をされていませんか?」
「!!???? いやいやいや!!!! アリアに隠し事なんてそんなこと!! したら危ない・・・じゃなくて、殺される・・でもなくて、え~~~~~っと・・・・・!!!!」
「・・・・・・。」
隠されている理由も、なんだか分かりました。
でも、フクザツです。
カイト様、あなたの中で私は、どんな鬼嫁なのですか??
別に私は、隠し事ぐらいであなた様を、火炎魔法で燃やしたりはしませんよ??
ああ・・・悲しくなってきました。
カイト様にいつも、領主として恥ずかしくないよう、手厳しくさせていただいていたことが裏目に出てしまったのでしょうか?
それに勝るぐらい、笑顔もお届けしているはずですが・・・・
いえ、違いますね。
カイト様の中の印象として、よりインパクトのあった方が私のイメージとして固着してしまったのでしょうね。
最悪です。
どうりでカイト様にお声掛けすると、ビクッと肩を震わせるはずです。
これは何か、打開策を考えねばなりません。
ですからそれまで・・・・・
「カイト様、言いたくなければ言わなくてもよろしいですわ。 人間誰しも、隠し事の一つや二つはありますから。」
「え・・・お・・・・そ、そう??」
カイト様が私にお話くださるまで、私も知らん振りをする事にしました。
私も、まだまだのようです。
ウソがバレました。
でも地雷の爆発は、ありませんでした。
爆弾はまだまだありますから・・・・・