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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第8章 カイトの願望
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第150話・計画

これからも、頑張っていきます。

感想や誤字、脱字などありましたら、お教えいただければ幸いです。

「カイト様、ギルド誘致のための書類が、だいぶそろってきましたわ。」


「そっか、ありがとう。」


「ですがこれの審査は、一年も先に開かれる『ギルド総督会』で行われることとなりますわ。 それまでどうか、お待ちくださいませ。」


この街に『冒険者ギルド』を作るため、カイト達は審査書類の作成を行ってきていた。

街も大きくなったので、審査書類作りもとどこおりなく進み、ここに来て、大方おおかたその書類もそろい始めてきていた。

徹夜などの二年前のアリアのような事は、一切起こらなかった。

カイト、運が良いヤツである。

結果がどうなるかは、一年以上先まで待たねばならないが。


「私のご報告差し上げるのは、以上ですわ。 カイト様のお話というのは、何でしょうか?」


「うん、実はさ、グレーツクから交換留学生をここに、派遣しようと思って。」


「交換留学・・・ですか?」


交換留学とは、文字通り留学生を交換することである。

ベアルからグレーツクへ、鍛冶の技術習得のために留学生を。

グレーツクからベアルへ、作物栽培の方法習得のために留学生を。

そんな考えからの、カイト独断での提案である。

なるほど、利害はかなり合致している。


・・・というのは建前。

ここにきてカイトの『鉄道計画』は、暗礁に乗り上げていた。

走らせる列車の動力などが、ちっとも思いつかなかったのである。

そこで彼らにここへ来てもらい、知恵を借りようというわけだ。

カイト スズキ。

鉄道絡みなら、ある意味天才級の能力を発揮する人間である。


「私の知らないうちに、ずいぶんと話が進んでいたのですね。 かの地の国王様とも、折り合いはついているのですか?」


「・・・・・ウン。」


思いついたのは、昨日の夜である。

今は朝から昼にかけての時間帯なので、カイトは思い付きを言ったに近い。

ついでに言えばかの地の国王(?)は彼なので、折り合いなどは必要なかった。

思いついたら、後は募集をかけるだけである。


「そうですか・・・・それならば、こちらでも募集をかけてみましょうか。 鍛冶場の技術は、習得するに値するモノではありますわ。 受け入れの準備も、整えなくてはなりませんわね。」


「うん、俺もグレーツクの受け入れ態勢を、整えておくよ。」


「え?」


「いやいや、俺もベアルの受け入れ施設工事とかは、手伝うよ。」


危なく、自爆するところであった。

カイトがグレーツクを治めているのは、アリアには秘密にしているのだ。

もう、自爆すべきではないかと思うのは、作者だけであろうか?

彼らの間にある地雷は、大きくなる一方だ。


「ええ、折角ここまできたのです。 グレーツクとの交易をもっと盛んにさせるためにも、私も精一杯、尽力じんりょくさせていただきますわ!」


「ありがとう、アリア。」


まるで領主になったような貫禄さえ見受けられるアリアの発言に、カイトが感謝の言葉を送る。

彼らにとっては、これが日常となる。

他の領主たちがこの光景を見たら、どんな反応を示すか・・・・

いや、今は語るまい。

気にした素振りもなくアリアは、カイトとの会話を続ける。


「ところでカイト様、『てつどう』なるものの建設は、あなた様お一人でなければなりませんか?」


「どういう事?」


アリアが話し始めたのは、カイトがはじめようとしている、鉄道建設のことだった。

カイトは先日からお供を連れて地盤調査を行い、数日前にこれを完了させていたのである。

予定ルートを地図に書き込み、アリアにこれを提出していた。

もともと、ここに住む住民もいなかったことから、特に審査・・・・

用地取得などは、必要なかった。

ちなみに住んでいる動物たちとは、お話し合い済みである。

ここでノゾミも結構、活躍してくれたことを申し添えておく。

非公式ではあるが。


「前にカイト様は、この街と王都方面を結ぶ街道を、お一人で整備されてしまいましたわ。 人足を雇い工事に従事させれば、大きな経済効果があるのです。」


「ん?」


この説明では、カイトには分からなかった。

まあ、仕方なかろう。

アリアもこれは予想していたので、彼に説明を始める。


「なるべく大人数の者に、その『てつどう』なるものの建設工事に従事させるのです。 人間は宝ですわ。 この工事はきっと、この街をさらに発展させてくれます。」


「そう・・なんだ? ならアリアに任せるよ。」


「ありがとうございます、カイト様。 人足集めは、こちらでしておきますわ。」


カイトはこれでも、よく分かっていなかったが、いつもこれでどうにかなっているのだから、世の中不思議なモノである。

アリアとしても、この『てつどう』なるものの建設工事に、多大な経済効果をもくろんでいたので、まさに願ったりかなったりであった。

工事というのは普通、多くの者が従事するものなので、彼らの工事中の宿泊や食事など、それだけで大きな経済波及効果がある。

アリアは、それを彼に言っていた。

カイトが二年前に、街道整備をしたときに彼女が怒ったのも、この辺りが関係していた。

なので今回は、そうなる前に彼に説明をしておいたのである。


『鉄道建設』もここに来て、だんだんと現実味を帯びてきたのであった。

明日は所用のため、更新ができません。

次話の投稿は、月曜日の午後以降となります。

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