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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第8章 カイトの願望
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第148話・地盤調査

作者からお知らせ。


鉄道が開通したら、終わってしまうのでは? と思われている方がいらっしゃるご様子。

重ね重ねご報告いたしますが、鉄道がもし、開通してもこの作品は、終わりません。

少なくとも、後この十倍ぐらいの量にはなるでしょう・・・・・

他作品を書き始めても、この作品の更新は続きますので、悪しからず。


異世界鉄道物語は、たぶん永遠です。

サクサクサクサク・・・・・


「大公様、一体どちらへ向かわれているのですか? 差し支えなければ、お教えいただきたいのですが・・・」


「ボルタ。」


付いて来た護衛さんの質問に、行き先を答えるカイト。

彼はベアルから出立してからというもの、何かを伺うように周りをキョロキョロと、見回している。


「大公様、過ぎた発言とは分かっておりますが、『転移』で向かわれたほうが早いのでは??」


「ちょっとね。」


同じく付いて来たメイドさんの質問に、お茶を濁すカイト。

彼女のほかもう一人のメイドさんがついてきているが、荷物は持たせていない。

渋るメイドさんたちの荷物を取り上げ、アイテム・ボックスへ入れたのだ。

つまり、手ぶらであった。

カイトの隣では、鼻歌混じりにヒカリが手をつないで、歩いていた。

周りは木が生い茂っているが、そこまで暗い森ではなかった。

すぐ近くに大きな河川があり、時折水の流れる音が聞こえてくる。


彼らは今、ベアルとボルタのちょうど、中間地点のあたりを一路、ボルタへと進んでいた。

街道を通っているわけではない。

文字通り、道なき道を分け入って進んでいるのである。

進みやすいよう、カイトが先頭になって魔法で草を分けなければ、彼らのその進行はすぐに、はばまれていたであろう。

この森へ入ってもう、六時間。

今は昼休憩が済んだところだ。

護衛やメイドたちは、なぜカイトがこんな道なき道を進んで、ボルタへ向かうのかが不思議でならなかった。

無論、カイトは考えも無しにこんな事をしているわけではない。


『鉄道』


これの建設のため、このような事をしていたのだ。

鉄道は、ただ敷けば良いものではない。

馬車と違い、とても重いのだ。

下手なところへ敷けば、めり込んでしまう。

そのためカイトは、地盤が固い場所を魔法で探索し、一路ボルタへと向かっていたのだ。

忘れないよう、同じく魔法で作ったこのあたりの地図に書き込むのを忘れてはいけない。


「お兄ちゃん、楽しいね。」


「そうか、それなら良かった。 もうちょっと歩くけど、大丈夫か??」


「うん。」


進んだ行程は、まだ半分程度。

まだまだボルタは遠い。

あと二時間もすれば、森のここは一気に暗くなる。

そうなれば、カイト達はベアルへ帰らねばならない。

強行軍をする気は無いが、なるべく今日のうちに行ける所までは、行きたかった。


アリアに許可を取るのは、大変なものだった。

なかなか『森の中を調べたい』という願いは、聞き届けられなかったのだ。

当然だ。

なにも行くのは、カイトだけではない。

カイトの行動には護衛が二人に、メイドが一人。

ヒカリまで付属する。

彼らのことも考えると、すぐの許可は出す事ができないのだった。


突然カイトがどこかへ行きたいといっても、彼らにも、屋敷の仕事というものがある。

カイトの意向を汲んで、付いて来てくれる者をつのったアリア。

だが彼らは、むしろこれに、志願してきた。

三年ほど前の、王宮での一幕が思い出される。

これで、カイトが出発する準備が整った格好となった。


ただし、『日帰りで』との条件がついた。

カイトは転移が使えるので、なにも危険と隣り合わせの野宿をする必要性は無かった。

暗くなれば帰って、また次の日、出立すればいいのだ。

カイトもアリアのこの条件に、納得した。


ちなみにノゾミは、バルアで祭りがあるとかで、御呼ばれして来れなかった。

かなりふくれっ面をしていたので、後で機嫌を直していただかねばならないだろう。

カイトは地盤調査と平行して、ノゾミが好物の野草の、採集を行っていた。


「大公様、ここを通るのは、何か深いわけでもあるのですか?」


「いや、そういう訳じゃないんだ。 ボルタに向かって、硬い地面を探しているだけ。」


カイトは彼らに、自分の目的は話していなかった。

彼らに『鉄道』といっても分からないだろう。

ずっと前からアリアに説明しようとしたが、ダメだった。

論より証拠。


彼らには出来るメドが立ってから。 いや、出来てから見せるつもりだ。

きっとここに、俺は鉄道を敷いて見せる!!


「この辺は結構、硬い地面ばかりらしいな。 これならいける。」


「あの・・・大公様はもしや、ここに新たな街道を整備しようとお考えなのですか?」


「んーーー。」


メイドさんの一人が、かなり近いことを言ってきた。

そう、鉄道建設は、新たな街道整備のようなものだ。

ただし、一度に輸送できる量などが段違いだ。

何も俺は、鉄道欲しさにこれをやっているわけではない。


そう、ボルタやベアル、ひいてはこの国の産業発展を促進させるために、造ろうとしているのだ!!

だいたい比率は、9対1くらいである。

(鉄道欲しさが、9割。)


俺のこの返答に、後ろから歓声が上がった。

彼らも、気にかけていたのかな?

ボルタへいたる街道は、悪路なので輸送に時間がかかる。

その上、狭いので馬車同志での離合ですら大変なのだ。

そのせいで、結構な制限もあった。

鉄道になれば、その制限もかなり撤廃されるだろう。


カイトは、やっと現実味を帯びてきた『鉄道計画』に、大変に満足していた・・・・・

遠かったです。

まだ遠いですが、もう少しです。

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