第15話・最初の家族
拙い文章で申し訳ありません。
努力してがんばりますので、応援のほどよろしくお願いいたします。
「何、こいつ! ちょ~~かわい~~!!」
「・・・・。」
今は、夕飯を『蒼き炎竜亭』で取っている。
あれから、街の食堂をリサーチしてみたのだが、ここの料理が一番うまいと言うことが分かり、
戻ってきてしまった。
目の前には相変わらず、俺の真向かいに座って頬を紅く染めて絶叫中のエリカと、
机の上で青果店で買ったニンジン(らしき)をかじるトビウサギの子供。
昼の狩猟時に七匹ものトビウサギを狩ったカイト。
だがそのとき、巣の中から白くて丸いものが出てきた。
それが、今机の上にいるトビウサギだった。
これもギルドなどに売れば、いくらか金になる。
だが、その殺人的なかわいさにカイトは、連れて帰ってきてしまったのである。
普通、臆病で人に懐かないトビウサギ。
だがこいつは、目をぎらぎらとさせるエリカが目の前にいても、まったく気にしない様子であった。
それもこれも、カイトの『感覚改変』のスキルが、このウサギに掛かってしまった為なのだが・・・
掛けた張本人は無意識で掛けた為、これにまったく、気が付いていなかった。
とはいえ、これはカイトの魔力で発動するスキル。
「ねえ、カイト! この子、私がもらっちゃダメかな!?」
と、エリカが手を伸ばしたとたん、このトビウサギは、カイトの膝へ逃げてしまった。
「え”~~~~!?? どうして、どうして!?」
「いや、そう言われても・・・」
苦笑を浮かべるカイト。 半泣きのエリカは、ショックで自室へと引きこもってしまった。
これで、誰の目を気にする事も無く、飯を味わう事ができる。
魔力の質は、個人で違う。
近い質の魔力を有するものに対し、安心感を抱くのは必然であり、今のトビウサギも
それに近い状態であった。
◇◇◇
だが次の日、困ったことが起きた。
カイトが再び単身、ギルドへ向かおうとすると、トビウサギが肩に乗ってきてしまったのである。
宿に置いていこうとしていたカイトは、困惑した。
トビウサギは臆病な生き物である。
この生き物は、少しでも自分が生き残る確率を上げるため、群れで行動をする。
基本、これが一匹でいるということは無い。
一匹でいることは死を意味するのだから。
いくらカイトの『感覚改変』スキルがあっても、その本質は変わらない。
だからカイトについていこうとするのも、無理はなかった。
だが、この行動により、エリカは嫉妬の炎をカイトへぶつけるのであった。
視線的に。
そんな怖い目をされても・・・・
◇◇◇
「は~~。毎度、カイトさんには驚かされてばかりですねー。」
「どうしたら良いんですかね?こういう場合・・・」
「前例がありませんからね~~。離れてくれないのであれば、連れて行くしかないのでは?」
「ううう・・・・。」
ギルド受付嬢である、レンさんにも打開策は見出せなかった。
当然である。
臆病なトビウサギが人に懐くなんて事、普通、あり得ないのだから。
あまり連れて行きたくなかったのだが、離れてくれないのでは仕方ない。
今日は薬草採集の依頼のみ、受けることとした。
今後、ずっと付いてくるようであれば、対策を練らねばならない。
◇◇◇
薬草採集の依頼を五つほど受けたカイト。
午前中に始めたのだが、昼過ぎには達成してしまった。
カイトは近くの草原に寝転がった。 地面がひんやりしていて実に気持ち良い。
ウサギも遊びつかれたのか、カイトの腹の上によじ登り、寝始めた。
こんなにのんびりした気分になったのはいつ、何時振りであろうか?
「そうだ!! おまえに名前をつけてやらないとな。 なんて名前にしよう・・・・」
ウサギは一瞬、目を薄く開けたが、興味なさそうにまた寝始めた。
横になって名前を考えるカイト。
いつの間にか彼も、その心地よさから眠りに落ちてしまった。
ああ、心地いいな・・・
◇◇◇
「・・・・・ぃ・・・・・・・・・ぉぃ、起きろ。」
次にカイトが目を覚ましたときには、夕方近くになっていた。
陽が落ちると、街の四ヵ所の城門はすべて閉じてしまう。
「は!いかん、危ない!!」
いきなり飛び起きたカイトは、上に乗っていたウサギのことをすっかり忘れていた。
コロコロとウサギは、カイトの胸から足のほうへと勢い良く、転がり落ちてしまった。
幸い下は、柔らかい草花のじゅうたんだったので、怪我はさせずにすんだが。
「やっと起きたわね?」
そこには、一日目に会った冒険者パーティー、「風狼」のメンバーの一人、メヴィアの姿があった。
「あれ・・メヴィアさん!?・・・ということは・・・?」
横に視線を移すと、魔法使いのバイル、そして剣士のファデオの姿があった。
「ぜんぜん起きないから、野宿するかもってヒヤヒヤしたぜ?」
「最初あなたを見つけたときは、びっくりしたわよ? 仰向けで倒れているから魔物にでも
襲撃されたのかと思ったわ。」
・・どうやら俺は、皆さんにまた迷惑を掛けてしまったらしい。 バイル君が俺を睨んでいる。
「それはすいませんでした。依頼が思いのほか早く達成できたので、少し休んでいたんです。」
俺はファデオさん達に頭を下げた。
ファデオさん達は気にするな、といってくる。
「しかし、『依頼』ってことは、お前も冒険者になったんだな? めでたい、めでたい。」
「ところであなたの傍に居るのってトビウサギよね? 何であなたに寄り添っているのよ??」
「えええっっとぉ・・・・・」
俺がメヴィアさんの質問に答えあぐねていると、助け舟か、ファデオさんが声を掛けてくる。
「まあ、こんなとこで話をするのもなんだ。街へ戻ってそれから話すとしようぜ?」
「さんせ~い!」
メヴィアさんが手を上げて返事をする。 バイルもコクコクとうなづく。
・・・どうやら,俺に拒否権は無いようだ。
茜色に染まる空の下、四人は街の城門へと向かった。
でも会いたかったのは事実なので、俺としてもその提案は嬉しかった。
このウサギですが・・・・
使い道を考え中です。
そのうち、何かあるかも?
ちなみにウサギの数え方は○○羽ですが、トビウサギは○○匹です。誤字では有りません。




