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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第7章 ボルタと貿易
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第144話・国王様と。

これからも、がんばっていきます。

感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!

目の前に広がる黒い海。

はるか遠くに見えるビルバス山脈。

青く、どこまでも広い空。

眼下に広がる、懐かしい王都の町並み。


そして・・・・


「スズキ公様、今回は参上いただき、ありがとうございます。 今回は公式な謁見ではないので、直接、玉座の間にお越しください。 そこで国王陛下が、お話をされます。」


「は・・・はい。」


だだっ広い、絨毯じゅうたんを敷かれた通路。

飾られたよく分からない調度品たち。

そして、俺が通るたび挨拶あいさつをしてくる使用人の皆様方。


俺は今、王宮にいる。

ここに来るのは、実に二年ぶりぐらいのことである。

二年前、ノゾミが『伯爵はくしゃく』に任命された際、呼ばれておもむいたとき以来だ。

あの時は、俺の身に何が起きたのかがわからなくて、放心していたっけな。


今回は局地転移ができたので、今回は移動時のお約束の護衛やメイドは、連れてきていない。

というか俺以外、今回は誰もついてきていない。

アリアは仕事。

ノゾミは『つまんなそう』の一言で・・・・

ヒカリも、大事をとって連れて来ていない。

魔族を王宮になんか連れてきてバレたら、とんだ大騒ぎになってしまうからだ。

ダリアさんも、同様である。

付いて行きたそうにはしていたのだけれどね。

何かトラブルでも起きて、ドラゴンであることがバレたら、ヒカリ以上に怖い。


「あのー・・今回のこの召喚状って、どんな用件なんですか?」


「私には存知上げません。 陛下が御自ら、お話をされます。」


今回の最大のなぞはこれだ。

『なぜこのタイミングで、国王様に呼ばれたのか。』

最近の俺は、特によい事も悪いこともしていない。


いや・・・イロイロとやりはしたが、それはスラッグ連邦がらみのことばかりで、この国にはさして関係はない。

ボルタ開港のことだろうか?

だが俺は、ベアルの街が発展したときも、呼ばれることは無かった。

『最近元気?』みたいな内容の手紙が、タマに届くぐらいだ。

今回も、話ではなくて手紙では済まなかったのだろうか、と思ってしまう。

さっぱり、彼らの意図が読めない。


カイトは、何度も首を傾げた。

だが、一ヶ月前から考えているものの、その中身が、遅々として読み取れなかった。


しかも今回は、『公式の謁見』ではないらしい。

召喚状まで送りつけているにもかかわらずに・・・だ。

通されるのも、『謁見の間』ではなく、『玉座の間』。

何か、恐ろしいことでも起きているのではないかー・・・・

と、カイトが不安をつのらせるのも、無理は無かった。


「スズキ公様、この先は私も、入ることは許されておりません。 国王陛下は、すでに部屋の中でお待ちでございます。 それでは私は、これで失礼いたします。」


「はい・・・・」


『玉座の間』に着いたと思いきや、王宮の中からここまで案内をしてくれた宰相さんが、行ってしまった。

宰相さんですら同席を許されない話・・・

カイトの不安が増長した。

だが、いつまでもドアノブに手をかけたまま固まっていては、中の国王に失礼である。

覚悟を決めて、カイトは部屋へ入室していった・・・・・



◇◇◇



「よく来た、余の大公よ!!」


「お久しぶりにございます、国王陛下。 この度の召喚、身に余る光栄にございます。 我がベアル領もおかげ様を待ちまして・・・・」


玉座の間で、椅子いすに座る国王に、伏礼をするカイト。

部屋にはカイトと国王以外、誰もいないようだった。

そんなことはお構いなしにカイトは、このような場に相応ふさわしい挨拶あいさつをする。

若干、言い回しが違う気もするが、アリアに教わった『国王への挨拶あいさつ』をする。

練習中、何度かんだことか・・・


「よいよい、堅苦しい挨拶あいさつは抜きにしよう、その前になんだが・・・アリアは・・・奥方は連れてきていないのか?」


「え~~っと・・・用事がありまして、彼女はちょっと・・・」


顔を上げ、申し訳なさそうな顔をするカイト。

対する国王は、あからさまにガッカリした様子を浮かべた。

もし脇に、宰相か、王妃様がいたら、絶対に止める構図だ。

残念ながらこの部屋には、カイトと国王以外に誰もいないので、とがめる者はいない。


「あの・・・もしかしてアリアがいないと話せない内容でしたか? それなら、また後ででも連れて・・・」


「い・・・いや! 大丈夫だ。 問題は無い。」


一転して、シャキンとする国王様。

何かを呑みこんだ風にも見えたが、わざわざ詮索することは無いだろう。

そして国王からは、あの話が切り出された。


「まずはスズキ公よ、先日はボルタを開港し、海賊を見事打ち破ったようだな。 実にすごい。」


「はあ、まあ・・・・」


古い情報だな。

確かに海賊は打ち破ったが、もう何ヶ月も前のことだ。

もしかして、今回の謁見って、このほめ言葉だけなの?

手紙で良くね??


「さらにそのボルタから、スラッグ連邦への貿易を開始したというではないか。 実にすごい。」


「はあ、まあ・・・・・」


アリアもずっと言っていたっけな。

あの傲慢ごうまんな国とは、公益がし難い状態が続いていたのだろうな。

もう、潰しちゃったけど。


「さらには、地震で壊滅した連邦の都市の復興に、尽力したというではないか。 実にすごい。」


「・・・まあ・・・・・・・」


情報が、新しくなってきた。

頼むから、これ以上連邦の話にはならないでください。

言い訳がキツいです。


そんなカイトの心情を、あざ笑うかのように、王の話は続いた。


「そこでカイト公よ。 モノは相談なのだが・・・・」


「相談? えっと、何を・・・・・」


ここにいたる話で、どうしてそのような話題に切り替わったのかが分からない。

カイトは、質問をしてみた。

すると王様は、『とぼけなくてもいい』みたいな態度をとってきた。

とぼけるも何も、話の中身が見えてこないのですが。


しかしこの先に続いた国王様の言葉に、カイトは度肝を抜かれることになる・・・・

王宮での話も、二、三話続くかも・・・・


こうして、鉄道が遠くなるのです。

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