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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第7章 ボルタと貿易
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第143話・ギルドよ来い

これからも、がんばっていきます!!

感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!

「ただいま、アリアはー・・・・」


「カイト様、遅いですわ! どれだけお待ちしていたか・・・・」


『アリアは居る?』って聞こうとしたら、アリアは玄関でお出迎えしてくれた。

いや、帰りが遅かったので、『怒られた』と言う方が、正解かもしれないけど。

お出迎えと言うには、表情が固すぎる。

なにか、あったのか・・・いや、あったのだろうな。

俺に殺伐とした眼差しを向けてくる。


「えっと・・・何かあった?」


「そういうカイト様こそ。 帰るなり私をお呼びになるだなんて。 何かございましたか?」


結構、真剣な内容だったので、俺はキリっとした面持ちで、アリアを呼んだ気がする。

そこからアリアは、何かを察してくれた様子。

こういうのは、素直にうれしい。


「アリアこそ、何かあったんじゃないの?」


とはいえ、こちらはあまり急を要すものではない。

まずは、アリアの用件から聴かなくてはならない。

緊急事態だったら、後が怖いので。


「いえ、私の方は・・・・ 今更ですし、今すぐではなくとも・・・・」


「そっか。 じゃあちょっと、良いかな?」


少し困ったような顔で、はあ・・とため息をつきながら、こちらには、ニッコリと笑顔を向けてくるアリア。

本当に重要な案件だったりしたら、彼女はこんな態度にはならない。

後回しでも大丈夫らしいので、俺の用件を話す。


「実はさ、この街に『ギルド』を建てたいんだ。」


「『ギルド』ですか? 商会ギルドならばもうすでに・・・」


それは知っている。

この街にはほかにも、

農業ギルド

労働者ギルド

地区ごとのギルド

などがある。


別にこの街に限らず、このようなギルドは、どの街にも無数にある。

だが一般的にこの世界の者に『ギルド』と聞くと、それは『冒険者ギルド』を指す言葉になる。

これは、別の街などから来るものが多いので、道を聞かれることなどが多いことに由来する。

旅人が、地区ごとのギルド(集会所)の場所なんか、訊きはしないだろう。


俺が言っているのも、この『冒険者ギルド』のことである。

アリアは、もともと王宮に住んでいたので、このあたりで分からないことがある。

そんなときは、一からこうして説明だ。


「いや、俺が言ってるのは『冒険者ギルド』の方。 この街にないだろう? だからこの街には冒険者が一人も居なくてさ・・・・」


「なるほど、今回はそこに注目なさったのですね? ノゾミにでも、聞いたのですか?」


俺の後ろに居る、ノゾミにアリアが視線を合わせる。

対するノゾミは、キョトンとしている。

話は聞いていたはずなので、これが彼女の返答である。


しかしアリアは、まるで『信じられない』と言った風に、俺に顔を向けてきた。

俺が提案することが、そんなにも信じられない事なのだろうか?

確かに心当たりは少ないが、ソギクとか、街の南側の団地とか・・・

ん?

考えてみれば、俺が単独で思いついたのって、何も無いんじゃ・・・

深く考えるのは、よそう。


「しかしカイト様、冒険者は、根無し草の荒くれ者も多いのです。 この街の治安が悪くなってしまう恐れもありますが?」


「ゴーレム兵に、四六時中見回ってもらうよ。 喧嘩してたら、つまみ出してもらうとか。」


実際に、つまみ出したりはしないが、それ相応の対応はさせてもらうつもりだ。

治安悪化につながるようなことをしたら、この街からは問答無用で、追放である。

それぐらい危険なことではあるが、同時にメリットだってある。

それは先ほど、説明したとおりだ。

アリアもそれは分かっているらしく、それ以上は言ってこなかった。

俺の考えの深さでも、推し量ったのだろうか?

さすがはアリアである。


「あなたの決意は分かりましたわ。 この街はまだ発展途上で、土地も沢山余っているので、建てる分には一向に構いませんわ。」


「そうか、良かった!」


建てられそうなら良いのだ。

後は、商会ギルドみたいに軽い手続きでもすれば・・・・

しかしここで、アリアは「ですが。」と付け加えた。


「カイト様、『ギルド』誘致には、大変多くの審査と、ギルド総督会での過半数以上の同意が必要ですわ。 ほかにも、その審査に必要な書類作成や、誘致活動など、やることは山のようにありますわ。 覚悟はおありですね?」


マジかよ。

ギルドってそんなに難しいものだったの??

商会ギルドのときには、判を押しただけだったのに・・・


カイトは知らない。

二年前、『商会ギルド』誘致のために、アリアがあちこちを駆けずり回り、膨大な書類作成に、睡眠時間が一日十分足らずになってしまった期間があったなど・・・・・

カイトはその内、『領主の認印が必要な』書類にサインしたに過ぎなかった。

このことは、屋敷のものなら大抵の者が知っていた。

カイトと言う、鈍い領主様以外は。


「も・・もちろん!! 『ギルド』は必要なんだ!!」


「かしこまりましたわ。」


フ・・・・と薄笑いを浮かべるアリア。

彼の決意に、水を差すつもりは無かった。

またがんばろうではないか。

きっと、うまくいくだろう。

アリアは、そんなことを考えていた。


「俺の話は以上なんだけど、アリアの話って?」


これも聞いた方が良いだろう。

俺の用件ばかり言って「さよなら」では、あまりにもヒドい。


「ああ、それなんですが・・・・・」


アリアは、途端に睨みつけるような顔を、こちらに向けてくる。

・・・俺はまた、何かしでかしてしまったのだろうか?


「王宮から、召喚命令が来ているようですわ。 今から一ヵ月後に参上せよとの内容ですが・・・・今度は一体、何をしでかしたのですか? あなたと言う人は・・・・」


「!?」


王宮から・・国王からお呼び出し!!????

俺よ、一体何をした!?


アリアは、凍りつきそうなぐらい冷たい目を、こちらに向けていた。

頭をフル回転させ、この状況の整理と、理由を探るカイト。

だが、彼にはまったく、心当たりは無かったのであった・・・・

次の話は、一ヵ月後まで飛びます。

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