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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第7章 ボルタと貿易
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第141話・真実と事実

これからも、がんばっていきます!!

感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!


「カイト様、一体あなたは、何をしたのですか?」


「・・・え?」


突然、執務室に来訪したかと思えば、アリアはこちらをすごい眼差しで睨む。

カイト的には、最近は・・特にスラッグ連邦から帰ってからは、彼女の顔がこうなる心当たりが、多くあったので、どれのことで怒っているのか、見当もつかない。

だが、今日も何かの彼女の琴線に触れる事が、発覚したようだ。


ドラゴンの正体などがバレては、事である。

どうにか、ごまかさねばならない。


「カイト様、誤魔化そうとしても無駄ですわ。 きっちり白状していただきます。」


「・・・あい。」


常に俺は、彼女に一手先を行かれている。

アリアは、心を読むことができる特殊スキルが使えるに違いない。

俺の察知魔法ではわからないので、かなり高度だ。


「ヒカリから、昨日の夜に話を聞いたのです。」


『口に門戸は立てられない』か・・・・

ヒカリには口止めしていたのだが、無茶だったようだ。

彼女もかなり活躍したので、自慢したかったのだろう。

まあ、アリアを慕っているみたいだし?

話したくなる気持ちは分かるよ。


「ヒカリは、『お兄ちゃんが、ブオーン、グオーン、ズギューンだったんだよ!? 詳しいことは秘密って言われているんだ。』と言って、これ以上は何も話してはくれませんでしたわ。」


アリアが腕を組んで、俺を見据える。

あれ!?  自分の自慢じゃなくて、俺の話をしたの?

しかも内容は話さず、擬音だけ。


ヒカリは俺の口止めを、一定のラインで守ってくれたようだ。

案外、彼女は口が固いようだ。  実にいい子だ。

でも出来れば、擬音も話してほしくはなかった。

アリアはその辺が、かなり鋭いので。


「この音に関して、ご説明いただけますわね??」


「・・・・・。」


大丈夫だ。

彼女はまだ、内容は知らないご様子。

危なくはないラインで、話をしよう。


「じ・・・実は、その現れたドラゴンが、グラードの街を破壊しようとして・・・」


「や・・・やはり現れたのは破壊竜・・・・!!?」


「いや、違う違う!!  大帝との話が折り合わなかったみたいで、見せしめに・・・的な?」


真実は濁して、事実だけを話す。

これが精一杯である。 彼女たちの『ドラゴン』ワードへの態度から、ダリアさんのことは伏せねばならないし、ヒカリがそれに加わったなどと言えば、俺は殺されるだろう。

比喩ひゆではなく、言葉そのままの意味で。


「な・・・なるほど。 きのうおっしゃっていた『山を崩した』と言うのも、その過程でのことだったのですね?」


「う・・うん、そう!」


昨日これに関しては、別の話題に切り替わったりして、すでに忘れていると思っていたが、彼女は覚えていたようだ。

まあ、『山を崩した』は、結構強印象な内容だったしな。

でも、それに関しての追求はなさそうで、正直助かったぞ。


「立ち聞きしたと言う、大帝とドラゴンの話の内容はいかがなものだったのかは、本当にお分かりにはならないのですか?」


「・・うん、さすがにそこまでは聞こえなかった。」


言った本人なので、バッチリ覚えているのだが・・・・

恐らく、数日中には連邦の話が、ここにも届く。

下手なことを言ったら、余計にマズいことになる可能性大だ。

ここはあえて、知らん振りをする。


「そうですか・・・・では、本題に移りますわ。 カイト様、ドラゴンに、一体あなたは何をしたのですか?」


「・・・・。」


これも本人だ。

俺がそのドラゴンなので、正直な話、マジで何もしてはいない。

なんと説明したものか、しばし、言い訳を考える時間がほしいものだ。

・・・・そんな時間、あるわけがないけど。


「言い訳なんかお考えにならずとも、察しはついておりますわ。」


アリアの超然とした態度に、最悪の可能性が、カイトの頭をよぎる。

アリアは、鋭い。

そんなはずはない、バレるはずはない。

そんな思いがよぎるが、アリアの前に、その考えは無いに等しい。

なによりヒカリの擬音で、彼女が何かをつかんだ可能性は高かった。

俺には、アリアに言える言葉が見つからない。

そして・・・・


「カイト様、あなたはヒカリとダリアと共に、ドラゴンと戦いましたわね?」


「・・・・え?」


カイトとしては、予想外のアリアの発言に、目を丸くした。

アリアがまさかの、的外れなことを言ったのだ。

彼が驚くのも、無理は無いのかもしれない。

特に、彼は『日本』と言う、ドラゴンがいない世界にいたのだから。


だが彼女のこの考えは、この世界の住民として、当然である。

常識はずれな力を持つカイトとダリア。 共に人間。 (と、思っている)

そして、この世界の強者とされる魔族のヒカリ。

このパーティーでなら、ドラゴンとも戦えると踏んだのだ。

そもそもこのパーティー内には、ドラゴンがいるので、戦いにすらならない可能性のほうが十分に高いが。

とにもかくにも、アリアは勘違いされたようだ。

これを利用しない手は無かった。


「ヒカリはね、戦ってはいないんだ。 ちょっと魔力操作ミスって成長させちゃって、街の人たちに騒がれたりはしたけど・・・身を守るために作った木人形も少し暴走しちゃって、街になだれ込みかけたり・・・・」


バレる前に、バラした。

魔族の話はきっと出るだろうし、動く木の話もしかり・・・・

少し変更して、内容をお伝えした。

魔族なんて、あの大陸にはいなかったので、この話は必要だった。


「ドラゴンはね、お腹が空いてたみたいで大帝たちを食い殺して・・・」


「!!!」


アリアが顔をしかめる。

ここで切り上げたいが、後でまた追及されたときに面倒なので、話を続ける。


「街も襲いかけたから、剣と魔法で追い払ったんだ。 いやー話が分かるドラゴンさんたちで助かったよ。」


ドラゴン、悪者になってしまった。

でも事実だけ話すと、こうなってしまうのは仕方なかった。


この説明に、アリアは呆然とした。

分かっていたが、この旦那は規格外すぎる。

ドラゴンと戦って、追い返す人間。

ステータス欄の種族には『人族』とか書いてあったが、詐称しているのではあるまいか?

考えても、仕方ないことだが。


そしてアリアは、呆れたと言った風に、きびすを返し、この部屋を退出していった。

突っ込みどころ満載だったが、これ以上の話は、無駄だと悟ったのだ。


ドラゴンと戦って勝つ・・いや、無傷な者に、この心配していた気持ちを伝えても、無駄だろう。



これにて、事の真実は闇の中へとほうむり去られた。

だが問題は、これだけでは無い・・・・・・

あと数話で、『ボルタと貿易』編、終了です。

そのあとは・・・・

むふ♪

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