表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第7章 ボルタと貿易
152/361

第140話・ご報告♪

これからも、頑張っていきます!!

感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!

おれが転移魔法で屋敷に帰ると、アリアが出迎えてくれた。

もちろんいつもどおり。

そこには、『心配していた』感は、微塵も無い。

ここに連邦の邦都がドラゴンに襲われたとの情報が届くまでは、幾日かかかることだろう。


下手に隠しても、いつかはバレるので、これはしっかり報告する。

嘘をついたら、後が怖い。


「アリア、実はグラードにドラゴンが出たんだ。」


「え・・・ドラゴンですか!?」


アリアは、目を見開いて驚いた表情を浮かべる。

当然の反応と言えよう。

この国では、ドラゴンは神聖視はされていないが、『力』の象徴とはされている。

それが連邦の首都に出現したとなれば、大事である。


「ドラゴンは二匹でな。 おおきかったぞ~~~。」


おどけたように言うカイト。

彼的には、ドラゴンはデカくて、強い動物である。

それ以上でも、それ以下でもない。

だから、それを強調した。

だがカイトのそれは、アリアの顔を青ざめさせるに十分であった。


「二匹ですか!? そ・・それで、どうなったのですか!?」


「いや・・・・山を一個、ふっ飛ばしちゃった。」


テヘッと、アリアに差し支えない範囲で、説明をするカイト。

彼としては、『街は襲われていない』と言うことを強調したかったに過ぎなかった。

だが、カイトはその肝心な部分をまだ、彼女に言っていない。

つまりこの説明は、彼女に『恐怖』を感じさせることしかしない。


「や・・・山をも崩す破壊竜・・・うぅぅぅ・・・・・!!!」


「アリア、どうして泣くんだ!? しっかりしろ!!」


この世界では、ドラゴンは神聖対象ではなくとも、『力』の象徴たる存在である事は、共通している。

そのドラゴンが、山を破壊した。

グラードは言わずもがな・・・


とアリアが考えるのは、当然と言えた。

そして彼女は、それを『破壊竜』と言う、伝説上の存在と重ね合わせた。

これはその昔、三日三晩、遥か東方の国で現れ、破壊の限りを尽くしたと言う話である。

これは、この世界のおとぎ話である。

それによると、破壊竜は結局、神からの怒りを買い、その姿を消滅させられたらしい。

その竜が、再び降臨したと、アリアは考えたようだ。

この領地は連邦に程近いので、無事ではすまないだろう。

アリアの心中は、地獄の暗闇へと突き落とされたに等しかった。


「だ・・・大丈夫だよ、アリア!! ドラゴンたちはさ、クズ大帝に話があっただけみたいだからさ。」


「ドラゴンが話し・・・ですか?」


ここまで言って、カイトはしまった!と思った。

これでは、おれがその場にいたことが丸分かりになってしまう!!

下手をしたら、ダリアさんがドラゴンと言う話まで、しなければ無くなる!!

それは、なんとしてでも避けねばならなかった。

ここまでの話だけでも、バレたらどうなるか、考えただけでも怖いので。

そこでカイトは、かなりお茶を濁すことにした。


「いや、詳しい事は知らない。 俺は外から、魔法で少し見ていただけだから。」


「・・・・・。」


ノゾキということにして。

最悪である。

国の重要な場を透視で見るなど、死刑にされても文句は言えまい。

まあ、ここは突っ込んでも仕方が無いという事で、アリアもスルーすることにした。


「そうですか・・・・ まあ、なんでもなかったのなら良かったですわ。 私はてっきり、カイト様がそのドラゴンとお戦いになったのかと・・・・」


「・・・・。」


アリア、いい線言ってるよ!!

誰がこの男が、『そのドラゴン』だなんて思うだろうか。

アリアの想像は、かなりカイトの行動パターンを、うまく分析していると言えた。

今回は、おしくもハズレだが。

少し考え込んだ後、アリアはこれを考えるのはヤメた。

かなり気になることではあったが、彼を追及しても、何もではしないだろう。

そして彼女は、別の質問を彼にぶつけた。


「カイト様、それでは大帝には、一体何をたまわったのですか?」


「え”?」


アリアが、かなり真っ当な質問をしてきた。

そもそもカイトが連邦の首都、グラードへ向かったのは、大帝に呼び出されたからである。

ここから分析して、アリアはきっと、カイトが何かをもらったに違いないと思っていた、

それは、当然の考えと言えた。


だが、これはカイト的には非常にマズイ質問だった。

大帝からもらったのは、『グレーツク代理州長』の権限。

それと、『ナントカ』とか言う、称号である。


これが書かれた書状は、カイトはすでに灰にしてしまっていた。

今は、森の土になっていることだろう。

あれは、大変にいらないモノだったので、後悔はしていないが、それをアリアに話すのは、問題があった。

何個かの理由で。


幸いにも、スラッグ連邦の大帝は今や、行方不明だ。

この書状を渡されたときにその場にいた者たちも、ほとんどの者が、行方不明中。

要するに、あの書状の存在を知る者は、ほとんど存在しない!!

『知らぬ存ぜぬ』を押し通す事は、かなり容易といえた。


だから・・・・


「いや、お礼を言われただけ。 後は・・・・ナニモナイヨ?」


「お礼の言葉だけ・・・ですか?」


そう、俺はお礼を言われただけなのだ。

後は『じゃーねー』と帰されただけ。

書状など、最初から存在しなかったのだ!!


そういうことにした。


大帝のひととなりを知るアリアも、「そうですか・・・まあ、あの大帝ですからね。」と、追及は受けずに済んだ。

アリアの考えでも、これは珍しいケースには当たらなかった。

特に、横暴で自分勝手なスラッグ連邦の大帝に関しては。

グレーツクとの交易における、何かがあるのではないか、と少し期待していたアリアは、少し残念そうにした。

これにて一件落着。


すべての問題が解決した!!




と思っていたカイトだったが、正直な話、まだこの話は終わっていなかった。

それを知るのは、もう少し時間が経ってからのことだった・・・・・



まだ、続きます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ