第136話・森へ・・・
これからも、頑張って投稿を続ける所存です。
つたない文章などで申し訳ありません。
「カイト殿様、転移で帰られないのですか?」
「・・・・・・。」
「お兄ちゃん、どこまで行くの? ここ森だよ?」
カイト殿様は今日、一度も私たちと、言葉を交わしていません。
特に今日朝起きてからは、黙りこくっておられます。
今、私たちはスラッグ連邦はグラードとか言う、大きな都市に来ています。
渓谷に挟まれた、鉱山都市のようです。
私としては、こういった埃っぽい場所は嫌いなので、燃やしてきれいさっぱりにしたいところですが、カイト殿様に止められましたので、出来るメイドとして、自重しました。
昨日カイト殿様は、なにやら『地位』を賜ったようでした。
名誉を重んじるドラゴン族として、血沸き踊りました。
思わず、笑みがこぼれてしまったかもしれません。
この都市での用事も済んだようで、カイト殿様と私たちは、ベアルへの帰途につきました。
ベアルへ転移で帰られるのかと思えば、そのまま徒歩で街を出られました。
どこへ向かうかと思えば、遠くに見えていた森へと、彼は向いました。
今はそんなわけで、ヒカリ殿共々その森の中へと、入っています。
彼はいったい、何が目的でこの森に入られたのでしょうか?
・・・分かりません。
気配察知などを使っていますが、この森には、小動物ぐらいしか見当たりません。
しかしカイト様は、ズンズン進んでおられます。
彼には、私に見えない何かが見えているのでしょうか?
・・・・彼はドラゴンたる私でさえも、圧倒した存在ですからね。
可能性大です。
それで私も、『人間』と言う存在に興味を持ったのですから。
調べてみると、これは実に・・・・・
いえ、今は関係ありませんでした。
今気になるのは、カイト殿様が、いったい何が目的でここへいらしたか、と言うことです。
出来るメイドとして、ここは聞くべきか・・・
それともここは、従者として黙って、付いていくべきか・・・・
迷います。
「ここらで良いか。」
「え? カイト殿様、ここは・・・・?」
カイト殿様が、歩を止めました。
しかしそこは、森の中でわずかに木の間隔があき、少し広くなっているだけの場所です。
ここでいったい、何が起きるというのでしょうか?
「ダリアさん、俺考えたんだけどさ、ちょっと用事が出来たんだ。」
「ほう、用事?」
彼は、微笑んでいます。
でもなぜでしょう?
昨日の一件の時よりも、私の血が騒ぎます。
すると彼は、服の裏ポケットから、昨日もらっていた書状を取り出しました。
ここで出して、何をなさるのか?
そう思って注視していたら・・・
グシャッ!
ボシュ!!
「!?」
カイト殿様はそれを握りつぶしたかと思えば、なんと燃やして灰にしてしまわれたのです。
これは、名誉の書状と聞きました。
なぜそれを灰にしたのか、分かりません。
しかしその疑問は、口にすることはありませんでした。
「ダリアさん、この国を潰そうと思うんだけど・・・・手伝ってくれない??」
「・・・おおおお!!????」
全身の血が、沸騰したように騒ぎ出しました。
これはつまり・・・・
戦闘ですか、カイト殿様!?
カイト殿様と、この国が焦土に成り代わるまで、破壊の限りを尽くす。
口からよだれが出てきました。
今私は、どんな顔をしているのでしょうか?
いえ、今はそんなことはどうでも良いです。
やりましょう、そして是非、私も参加させてください。
「・・・・・あー、ダリアさん? ごめん勘違いしちゃったかな? 国を潰すと言っても『破壊の限りを尽くす』ってわけじゃないんだけど・・・・」
「ええ!??」
カイト殿様が、苦笑いを浮かべながら、私に説明を始めました。
それによると、戦闘はありませんでした。
戦闘ではなく、恐怖を重点に置いた、作戦のようでした。
私の『焦土』の想像は、欲求不満として蓄積されることとなりました。
・・・・残念です。
でも従者として、付き従います。
なんだかんだで面白そうですし。
フフフフフ・・・・・
「お兄ちゃん、私は帰ったほうがいいの?」
「あーそっか・・・ヒカリ・・・は・・・・・。」
ダリアさんが、黒い笑みを浮かべていたころ、カイトはヒカリの質問に、答えあぐねていた。
正直、今回の作戦にヒカリは必須ではない。
ドラゴンだけで十分作戦は成り立つ。
だが・・・・
ここでカイトは、彼女の胸元に光る、赤黒い魔石を注視する。
言動やたち位置、それに見た目もあいまって忘れがちだが、彼女はレッキとした『魔族』である。
今回の作戦に、非常に有用であると言える。
「ヒカリも、俺の手伝いをしたいか?」
「うん、したい!」
笑顔が素敵。
よし決定。
この子も作戦に起用する事にする。
だが、見た目はどうにかしないとな・・・・
さすがに今の、子供のままでは、迫力に欠ける。
もちろん、俺も。
今の格好でやったら、身バレして大変なことになる。
そこは慎重に。
でも、この人命軽視の、バカ国家は潰す。
でもその過程で、俺たち自らは、決して誰も殺さない。
無血開城を狙う。
ついでにグレーツクは、よき貿易相手国として、この先もボルタとの交易を続けてもらうんだ。
バリバリいくぞーーーー!!!
続く。
でも長くはありません。
たぶん。