第134話・お呼び出し♪
これからも、頑張って行きます。
感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!
多くの人が行き交う、ある地方駅。
ここはホームとは別に本線があり、貨物列車などはここを通る。
今日は、そこに珍しいヤツが来る予定となっているのだ。
俺の横には、友達の大地がいる。
俺と同じ、テツ仲間だ。 彼も俺同様、その珍しいヤツを狙いに、ここへやって来ていた。
俺の平べったいカメラと違い、彼が待っているのは、一台十万ぐらいする、一眼レフカメラだ。
写りはだいぶ、違うだろう。
まあ、俺としては『記録』さえできればよかったので、さしたるこだわりなどは無い。
「海人! 『M457系の甲種輸送』が来たぞ!! 何してるんだ!?」
「おお、すまん! 撮り逃すところだった、ありがとう!!」
大地の戦闘用意の掛け声で、俺もカメラを構える。
今日狙うのは、『M457系』という新型車両の、甲種輸送だ。
甲種輸送とは、出来立ての鉄道車両を、機関車などで活躍する地まで、レールを使って運ぶ手法だ。
これはこの辺りでは滅多に無いことなので、二人そろって気合入りまくりだ。
駅には他の同業者の姿もあって、同じくカメラを構える。
来た来た・・・・
機関車の黄色く光るライトが、まばゆく光っている。
隣からは、まだ遠いのに早くも多くの、シャッターを切る音が聞こえてくる。
負けて入られない。
俺も早速、この記録をーー・・・・・・・
どんどん!!
・・・ん?
今の音、何??
ゴ○ラでも襲ってきたの??
「スズキ公様は居られるか!? 至急お目通り願いたい!!」
どんどん!!
スズキ公?
誰それ、俺は確か・・・・
「ん~~~?・・・」
はっきりとしない頭を必死で調べ、今何が起きているのかを考えてみる。
部屋は豪華絢爛といった感じ。
目の前には、美少女二人がいる。 ちなみに一人はメイド服姿で、ドア付近でピシッと立っている。
俺が起きたのに気がついたようで、こちらへニッコリと微笑をかけてくる。
俺もそれに呼応するように、笑顔を向けて彼女に一礼する。
さて彼女はいったい・・・・・・・・
そして俺は今、ベットに横たわっている。
俺は日本では、布団で寝ていたはずである。
「そっか、駄女神のせいで異世界にきてもう、二年も経ったんだっけ?」
二年前、俺はロリな駄女神様のせいで、鉄道の無い世界へ、来させられてしまったのだった。
あの時は、どれだけ彼女に呪詛の言葉を送ったことか・・・・
その後俺は、よく分からぬ力が働き、『貴族様』になってしまったのだ。
そうだよ、うん。
ここは、日本じゃない。
スラッグ連邦の邦都『グラード』だ。
俺はこの国の大帝なる者に、呼び出されて、ここに来たのだ。
まてよ。
つまりさっきの素晴らしき『記録』は・・・・・
「夢かよおおおおおおおおおおおおお!!????」
「カイト殿様、おはようございます。 朝から咆哮なさるとは、良き夢でも見ましたか?」
「ふみゅ? おはよーお兄ちゃん。」
どんどん!!
「スズキ公様!! 至急お目通り願いたい!!」
カイトの欲望は、ここ最近重症化していた。
かといって現時点では、どうともしようが無いが。
「カイト殿様、先ほどからこの扉をたたく、不埒な輩がいるのですが・・・・消し炭にしますか?」
「ノックしてるだけでしょ? いつから??」
「カイト殿様がお起きになる、五分ほど前からです。」
起きて早々、世紀末な香りのする事を言ってくるダリアさん。
屋敷ではノックされたら、ちゃんと受け答えているのを見たことがあるのに・・・
ストレスでも溜まっているのかな?
「ご飯かな? すぐ行くって言っといて。」
「かしこまりました。」
お互い、イロイロと(種族など)忘れ最近は、こんな感じだった。
二年半前、生死をかけて戦ったのが夢のようだ。
ご飯、美味しいといいなー。
そんな風に、機嫌が良かった時もありました。
◇◇◇
『カイト殿様、こやつらは無礼が過ぎます。 焼き払いませんか?』
『よして。 「朝に会う」って言って来たのはあっちだし、俺もそれは承諾したんだから。』
『むうぅぅ・・・・承知しました。』
魔法で姿を消したダリアさんが、俺に殲滅を促してくる。
ダリアさんは、かなりお怒りのご様子だ。
俺も少しなりと、怒っている。
それは何も、朝時間が無いからって、パン二つと薄味のスープしか口に出来なかったからではない。
こんな朝早い時間(大体朝、7時くらい)に、大帝とやらに呼び出されたからだ。
『朝に会う』とは聞いていたが、こんなに早いとは聞いていない。
本当に、この国の大帝ってヤツは、自由すぎる。
他人の事も少しは、考えてほしい。
だがさすがに、焼き払うと言うのは承諾できかねるので、彼女に『やめるように』と伝えた。
もちろん、前後に付く連邦兵士に聞かれぬよう、意識の中でだ。
「スズキ公殿。 謁見の間へ入られましたら、深くお辞儀をしたまま陛下のご許可があるまで、待機するように。 さらにご許可あった暁には、大帝陛下の御前の階段の一歩手前まで進み、そのまま平伏姿勢になって欲しいです。 大帝陛下とのお話は、その後に続くので。」
・・・上から目線。
上のヤツがあれじゃ、やっぱり下のヤツらも然りだ。
不思議と腹が立たないのは、こいつらを『そういう国の人間』と、おれ自身が見下してしまっているからだろう。
悟られぬよう、気を付けなければならない。
「・・・・・。」
アリア姿のヒカリは、固く口を閉ざして表情ひとつ変えていない。
俺やアリアの言いつけを、しっかり守ってくれているようだ。
実にいい子だ。
奴らは、ヒカリのつめの垢を煎じて、飲むべきだろう。
・・・・飲ませてはやらんがな!!
「スズキ公殿、ここからは聖域です。 おかしな真似をすれば、切り殺されかねませんので、お気を付けください。」
・・・・・。
しっかり、こちらに対し威圧をしてきたか・・・・
さすがは、プライドだけは高いようだ。
俺はヒカリ共々、開けられた重厚な扉の中へ入って行った。
きっとこの先には、あのルルアムより傲慢ちきな、『大帝陛下』がいる・・・・
尺の都合上、大帝が出せませんでした。
次話にて、カイトと話します。




