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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第7章 ボルタと貿易
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第129話・グレーツク崩落

これからも、がんばっていきます。

感想など、ありましたらどんどんお寄せください!!

俺は、この大陸随一の鉱山都市、グレーツクに長年住む、ガロフってもんだ。


俺はこの町で生まれ育ち、親父に教えられたように、鉄鉱石を掘っていた。

先祖代々の、誇りある仕事だ。

この町に住むヤツは、大抵この仕事をしている。

北のオア大陸ってとこに住む人間族たちにとっては、ここは南にある結構、暑い国ってイメージがあるそうだが、決してそんなことはない。

海に面しているし、何より街には一年中、渓谷を風が吹き抜けるんだ。

いつも思っていたが、実に心地いい風だったぜ。


しかもこんな俺には、女房が来やがったんだ。

どこの物好きかと思ったね。

しかも、子供を二人もこさえやがった。

俺たち鉄鉱石堀りは、稼ぎが少ないってのに・・・・・

本当にしょうがないヤツだ。

ま、家に帰って『おかえり』って言ってもらえるのは一応、嬉しかったがよ・・・・・


こんな毎日が、ずっと続くのだろう。

俺だけじゃない。

この街のモン全員が、思っていたことだろう。


だが・・・・・

ある日、この街を、とても大きな地震が襲った。

その地震で、街があった渓谷は、あっという間に崩れ落ちてしまった。

俺は、タマタマその時は用事で、港に居たから助かったんだ。

だが、妻子は渓谷内にある、自宅にいたはずだ・・・・


『エリル、ガリル、エリムーーーーーーーーーーー!!!!』


俺はガラにも無く、大声で叫んだ。

崩れて土ぼこりを舞い上げる、渓谷のほうへ向かって。

妻子の名を。

すぐには立ち上がれなかった。

縦に大きく揺れる地面は、立ち上がろうとする俺の自由を、奪った。


ようやく揺れが収まり、渓谷へ向かったときには、愕然がくぜんとした。

渓谷の両脇の岩盤がすべて崩れ、街を飲み込んでいた。

渓谷内にあった街など、見る影も無かった・・・・・

つい、十分前まであった、グレーツクの鉱山都市は、黒い土まみれの、ガレキの山と化した。

そこから俺は、無我夢中で土を掘った。

自分の家が在ったであろう、場所を。

全部が土まみれで、どこが家だったかなんて、正確には分からなかった。

だが、俺の直感が、ここだと教えてくれた。


街にいた人間共が、『余震の二次災害の危険があるから、渓谷内へは入るな』と言っていた。

従えるか、バカやろう。

危険なんか、どうでもいい。

今俺は、この土に埋もれてしまっている妻子を見つけるんだ。

一刻も早く、この息苦しそうな土の中から、出してやらなくては。

他の港にいたドワーフ共も、俺と同じように仲間探しを始めた。


しかし、素手で掘るには土の量があまりにも多すぎる。

そういった魔法が使えないドワーフ族が、初めてもどかしく感じた。

この街にいる人間も、医者とか商人ばかりで、ロクな魔法すら使えないヤツばかり。

いつもやっている、爆発魔法とかを使えば、中のヤツが、かなり危険だ。

だがドワーフは、そういった細かい魔法は使えない。

つまるとこ、素手で掘るより無いんだ。

その間にも、多くの仲間たちが、土の中から遺体で運び出されていった。


大丈夫だ。

俺の妻子どもは、タフだから、そう簡単に死にやしねえ!!


そんなある日、俺の横に、白い服を着た若造が来た。

たぶん、他国から来た貴族だろう。

好奇心から、観光気分で来たに違いない。


俺は、フツフツと、怒りがわいた。

だが、今はコイツなんかに構っている場合ではない。

俺は、少しだけヤツをにらみ付けてやって、掘るのを再開した。


そのとき、俺は強烈な眠気に襲われた。

ダメだ! 今寝たら、それだけ妻子どもの・・・・

俺はここで、その意識を手放してしまった・・・・・・



◇◇◇



「カイト様、生きていた者たちは、無事だった建物に、休ませましたわ。 遺体も、まもなく運び終えるようです。」


「そっか、ありがとう。」


「礼は、メイドや護衛の者に、言ってください。」


カイトの感謝の言葉に、アリアはかぶりを振り、そう言った。

邪魔だった、救助活動中のドワーフや人間たちを、ヒカリの魔法で眠らせて、港へ運んだ後、俺は早速、救助がてらに、この崩れた街の復旧をすることにした。

直すだけなら、簡単だった。

だが、今回は地震。

つまり、地中に『ひずみ』がたまって、それが解放された結果、この地震は起きた。

つまるところ、『直して』しまったら、そのひずみまで直してしまうことにもつながる。

それでは、直しても近いうちに、同じことが起きるだけだ。


魔法で地震の震源を、慎重に調べながら修復をした。


幸い、震源はこの街のはずれにあったようで、街の修復には、なんら支障は出なかった。

良かった。

これで、地中の人たちも、それぞれ気配察知魔法で、危なそうな人から数人ずつ、港のほうへと運んで行った。

ヒカリにも、手伝ってもらった。

おかげで、三百人近い生存者を見つけることができた。

だが・・・・・


「被害は、大きいな・・・・」


「・・・カイト様は、この街を修復しましたわ。 カイト様は、この街の被害を、最小限にしたのです。 もっと、胸をお張りください。」


そう言うアリアの声も、かなり弱々しい。

街は確かに、修復した。

救助した者も、治癒魔法ちゆまほうや回復魔法で、軒並み治した。

だが、死者は、どうしようもなかった。


詳しいことは分からないが、少なくとも五千人以上が、この地震で亡くなった。

生き残ったのは、千人弱。

死者の中には、この街の領主も含まれている。

いったいこの街は、これからどうなってしまうのだろうか・・・・



それを考えると、人命救助ができた事嬉しさは、どこかへ行ってしまった・・・・・

地震描写だけ、他の部分とアンバランスに、詳しくなってしまいました。

専門用語とかは無いはずですが・・・・・・

イロイロあって、どうしても地震の事となると、こうなってしまう傾向が強いようです。

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