表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第7章 ボルタと貿易
136/361

第124話・コレットの正体

誤解があったようなので、前話に付いての補足を。


クザーラは、体長数百メートルの、超巨大魔獣です。

巨大ですが、危害は加えてこないので、害獣にはなりません。


海賊たちは、この魔獣の口に中を基地化していて、そこから商船が通るたび、襲撃を繰り返していました。

カイトが、外洋にいる海賊船に、気が付かなかったのも、このためです。

船を見つけるとクザーラの死体基地ごと寄っていって、それが商船だと判断すると、水平線のかなたまで離れてから、口から出撃をしていました。

だから、突如として出現するし、不思議と軍船の前には出没しなかったのです。

これが、『幽霊団』の真相です。


船が血でベッタリとなっていたのも、クザーラが腐敗していたからです。


今回は、緊急事態だったため、なりふり構わず目の前で出撃しましたが・・・・・


もちろん、海賊たちの船に、潜航能力はございません!!

スラッグ連邦属領、リグスク。

ここはその昔、漁以外大した産業も無い、連邦で最貧の一国家であった。


スラッグ連邦は、その名が示すとおり、この世界第二の大きさを誇る大陸すべてを統括とうかつする巨大な集団国家で、多くの一国家・・・つまりは州の様なものが寄り集まって出来た国である。

大陸中心部に『グラード』という邦都があり、その主要産業は、鉄鉱石の採掘であった。


だが、ここリグスクは、その例に漏れ、鉄鉱石はあまり出土しない土地であった。

主要産業は、漁。

貧しい国家であった。

・・・・数十年前までは。


そのときを境にこの国家は、大きく成長した。

海を挟んだ向こう側、アーバン法国の、バルアと言う街や、レベッカという町などとの交易を始めたのである。

遠浅で、条件に見合った港であったリグスクは、すぐに連邦屈指の貿易港となり、急速に発展していった。

相手国の街も、それぞれが急成長をした。

それもこれも、あの事件のおかげであった。


「州長閣下、バルアの領主が代わったようで、挨拶あいさつの申し入れが来ております。」


「ふむ・・・・一ヵ月後ならば空いている。 そう伝えよ。」


「御意。」


リグスクの港湾が一望できる一室で、州長と呼ばれる男と、豪華な衣装を着たやせた男が、話をしていた。

ここは温暖な気候なので、二人とも比較的、薄い服である。

ちなみに州長とは、この自治国家の、最高権限者である。

アーバン法国でいう、『領主』のようなものだ。

ただし実際に握る権限は、こちらのほうがはるかに大きい。


「そういえば・・・・あの件はどうなっている??」

突然話題を変え、『あの件』と聞く州長。


「は! 現在も、しっかり稼動しております。 先日も一隻、ほふったとのことでございます!!」


「ふむ・・・久しぶりだな。 何か動きでも?」


「御意。 ベアルに領主が付いたようでございます。 しかし心配はございません。 あれだけのことがあれば、諦めることでしょう。 生存者を出したのも、そのためです。」


「ふふ・・・貴様、頭がキレるな。 これからもよろしく頼むぞ?」


「御意にございます!!」


彼らは不適に笑うと、やせた男のほうは、早々に一礼をして、部屋を退出していった。

その男が退出して言った後も、尚も笑いがこらえきれないと言った州長。

海側に向かう窓を開け放つと、心地よい海風が肌をなでてくる。

この貿易でうるおったキラキラ光る海の向こうには、血で染められた、荒れ狂う海が存在していた。

その正体を知る者は、わずかである・・・・・



◇◇◇


「ひ・・・・・ヒイイイイイイイイイイイイ・・・!!!」


「さて・・・・いい加減、洗いざらい本当のことを話してくれるかな?」


そのころ、カイト達は、海賊たちの捕虜尋問を、船上でり行っていた。

先ほど、カイトの爆発魔法による威圧で、『自由国家コレット』の存在を話した海賊たち。

だが、カイトには分かっていた。


『こいつら、このおよんでウソをついていやがる』と。


カイトは、その異常スキルの影響で、任意で相手がウソを付いているか、付いていないかが判別できるようになっていた。

昔、コレを発動しっぱなしにして、人間不信におちいりかけたことがあり、それ以来、こうした尋問のとき以外は極力、使わないようにしていた。

そこで、海賊たちのウソを見破ったカイトは、尋問を開始することにしたのだった。


ちなみに海賊たちの尋問内容は、『暗黒牢獄(十分間)』

カイトのアイテム・ボックスに海賊の男たちを一人一人入れ、十分したら出すと言う、内容だ。

スプラッタなのが嫌なカイトの、主な捕虜の尋問方法は、もっぱらコレであった。

かなり簡単だが、残虐で、かなり効果がある尋問方法だった。

人間は、暗闇にその身をおかれると・・・(以下略)。


「カイト様のそれは・・・・誰に対しても、効果てき面ですのね・・・・」


「んあ? 入ってみたい??」


つつしんで、お断り申し上げますわ。」


なんということを、この領主様は言うのか。

究極の拷問ごうもん施設に、妻を入れようとする奴があるか。

カイトは、やはりバカである。


「さて、そろそろ話す気になった?」


「ああ・・・・話す。 だから、もうあそこには入れないでくれ、頼む!!」


「正直に話してくれたら・・・・ね?」


カイトの黒い笑顔に、高速でうなづき返す海賊の男。

ちなみにこいつは、さっきまで『フン!!』以外、一言も発さなかった男である。

さすがは究極の・・・(以下略)


この男の証言も、結局はつつがなく聞くことが出来た。

それによると・・・・



やはり、自由国家コレットなどは、存在しなかった。

黒幕は、スラッグ連邦属領リグスクという州の、州長とかいうその領で一番偉いやつらしい。

なんだ、それってつまり俺と同じ『領主』ってことじゃん。

そいつが黒幕?


さらに聞くと、数十年前の事件も、やはりこの州長が仕組んだ物だった。

彼は領内の罪人などをかき集めて作った『海賊団』を、『自由国家コレットの遊撃団』に仕立て上げ、自分には、決して及びがつかないようにしたらしい。

その罪人たちは、船を一隻沈めるたびに、罪一等を減じられていたらしい。

彼らが船を沈める動機は分かった。


しかし、州長の目的を聞いて、俺は怒りが湧いた。


そんな事のために、多くの人間が殺され、街がひとつ無くなったのか・・・・

アリアも俺と同じ事を考えているようで、驚きと共に、その表情にはレッキとした『怒り』が見て取れた・・・

さて、領主様はどうするのでしょうか??


明日は用事のため、投稿できないかもしれません。

これからも引き続き、よろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ