表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第7章 ボルタと貿易
134/361

第122話・幽霊団

これからも、頑張っていきます。

感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!

「海賊よ、来い!! 今なら全力で迎え撃てる!!」


「カイト様、あまりお騒ぎになると、また酔ってしまわれますよ?」


無駄にポージングを決めるカイトを、まるで母親のようにさとすアリア。

これでも歳はひとつしか違わないし、彼らは夫婦である。

ついでに言うと、彼らの他はゴーレムくらいしか船には乗っていないので、さながら新婚旅行に見えなくも無いが、彼らは新婚ではないし、そもそも今行っているのは、『旅行』ではなく、『決死隊』である。


カイトたちは今、ボルタの沖に出没した、海賊の偵察・・・もとい討伐を目的に、先日秘密裏に、ボルタを出航した。

相手の戦力も不明の中のこれは、自殺行為と捉えられても仕方が無い。

だがカイトは、かなり強い。


その昔、ギリシャはスパルタと言う国で、『300対10万』という、無謀な戦いに善戦を博した戦闘民族がいたが、今のカイトはたぶん、『1対1億』の魔王軍相手にも、善戦できる。

ようは、無敵だった。


・・・・船酔いしなければ。


「うぐ・・・・・やっべ、ちょっと気持ちが悪く・・・・・・」


「・・・だから言ったではありませんか。」


バカである。

これでは、先ほどのグロッキーに逆戻りだ。

再び気分を悪くしたカイトの背中をさするアリア。


「だ・・・大丈夫だ。 問題ない。 まだ俺はイケる!!」


「はあ・・・・・そうですか?」


俺はイケる!

そう自分に言い聞かせたカイトは、スックとえびぞるように立ち上がった。

顔に海風が当たって、心地ちよい、

気持ち悪さも、やわらぐようだ。


「げふ・・・・・・・・・・・・」


「カイト様!?」


気のせいだった。

無理をすると、こうなる。

よい子のみんなは、こうなる前に、船に乗る前は酔い止めを飲むことを推奨すいしょうする。

この世界には無いが。


「うぐふ・・・・なかなかしぶといな。 海賊め!!」


「・・・・・。」


とんだとばっちりである。

船酔いに海賊は、関係ない。

アリアも、遠い目をする。


だがこんなグロッキーなカイトだったが、さっきよりは大分だいぶマシにはなった。

それと言うのも、この辺りの海に大波を起こしていたクザーラと言う大型海洋魔獣が、遠くへ行ってしまったからである。

おかげで船のゆれも、だいぶ無くなった。


カイトの船酔いは続いているが。

なおもカイトは舷側げんそくから物体Xを出し続け、アリアは彼の背中をさすり続けた。


そんな時、見張り番をさせていたゴーレムが、騒ぎ始めた。

何かを、見つけたようである。

他のゴーレムたちも、見張りゴーレムが指差すほうに注視する。

一気に、空気が張り詰めた感じだ。


フラフラなカイトも立ち上がり、船全体にバリアーのようなものを張る。

これで、ちょっとやそっとの攻撃では、こちらに攻撃が届くことはない。

ちなみに立つときも、アリアの肩を借りた。


そうこうしている内に、水平線の向こうから、一隻の船が姿を現した。


「カイト様、あれは・・・・・・!!」


「・・・・ああ・・・!!!」


黒い船体に、あちこちが血ぬれのボロボロな船。

帆柱は三本あり、真っ赤に鮮血したボロキレのような帆が並んでいた。

中でも目を引くのは一番手前側にある帆で、そこには、彗星すいせいのようなマークが入れられていた。


海賊の、お出ましだ・・・・!!!



◇◇◇



キュオオオオオオオオオオオーーーーーーーーー・・・・・・ンンン!


ズボボオオオオオオオオオオオオオオオンンンンンンン!!!!!!!


グラグラ。


「うげふ・・・・・。」


「カイト様、こんな時ぐらい、しっかりなさってください!!」


先ほどより、かの海賊船からの、集中砲火を浴びまくっているカイトたちの乗る船。

彼らの攻撃は、船に備え付けの、大砲のような物によるものだった。

飛んでくるのは、話に聞いた火炎など、とてつもない破壊力の、魔法攻撃。

原理は分からないが、大砲では弾ではなく、魔法攻撃を放つようだ。

しかし攻撃は、一発として船に直撃することなく、カイトのバリアーによって、弾かれていた。

しかし、彼らは結構、有効な攻撃を行っているのに違いは無かった。


ドオオオオオオオオオーーーーーーーーー・・・・ンンンンン!


グラグラ。


「おあえふ・・・・・・」


カイトの恒例の、船酔いタイムだ。

直接の攻撃は、バリアーで防げていたが、それた攻撃が、海に着弾したときの衝撃までは防ぎきれなかった。

結果、船は大きく揺れた。

おそるべし、海賊!!


なんて消極的な攻撃を、海賊が望んでいるはずも無く、あちらはあちらで、攻撃がまったく効いていないことに、焦りの色が見え始めた。

彼らとしては、こんな事は、初めてなのである。


これにカイトは、調子に乗った。


「げふげふ・・・・全員生け捕りだ!! うおおーーーーーーーー!!!!」



ズバーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーンンンンンンン!!!!!!!!!


ゴオオオオオオオオオオオオ・・・・


「「あ・・・・。」」


カイト船酔いによる魔力不安定により、予期せず大威力となった攻撃は、一瞬にして海賊船を轟沈ごうちんさせてしまった。

火力過多である。


「カイト様! 一体何をやっておられるのですか!!!」


「うわああああああああああ!!! ゴーレム、あの海賊船の方に船を進めろ!! 急げーーー!!!」


「おううううう!!???」


カイト達は、予期せず、海賊船救助に向かう事となった。

当初の目的なんか、丸忘れだ。


これにて一件落着・・・・・?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ