表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第7章 ボルタと貿易
131/361

第119話・危険な行為

これからも、頑張っていきます。

感想など、ありましたらどんどんお寄せください!!

「カイト様、その・・・・・残念です。」


「・・・・ああ。」


いつものように、一礼をして帰ってきた彼を出迎えます。

その彼はまるで、生気を抜かれたように、私の横をフラリと、通り過ぎていかれました。

・・・彼に掛ける、最良の言葉が浮かびませんでした。

今の彼には何を言っても、心をえぐる事しかないでしょう。


先ほど屋敷の者に、ボルタで海賊被害があったと聞きました。

驚いた私でしたが、うかうかしては居られません。

すぐにカイト様の執務室へ、これを報告へおうかがいしました。


・・・ですがその時には、彼はボルタへ向かった後でした。

この屋敷で、転移魔法が使える者は、カイト様しか居られません。

(アリアは、ダリアさんが転移魔法を余裕で使えるのを知らない。 身バレの危険もあるので、教えられていない)

馬車で向かうには、時間がかかります。

最悪、カイト様とはすれ違うような事になってしまう危険性があります。

結局べアルに残される形となった私に出来る事は、彼の帰りを、待つことだけでした。


「ねえ、アリアちゃん。 カイト、どうしたの??」


「お兄ちゃん、今にも死んじゃいそうな顔だったよ?」


「・・・・。」


この二人には、どう説明したものか・・・・・


カイト様の胸中に恐らく渦巻いている無念を。

そして怒りを。

やりきれない悲しみを。


まずは彼女たちに説明をする前に、私は彼について帰ってきた騎士の一人に、ねぎらいの言葉をかけました。


「あなたも、お勤めご苦労様でございました。 報告は明日でかまいませんので、今日はもう、お休みください。」


しかしこの言葉に、騎士からの返事はなく、その口からはたどたどしく、今回の事件の概要が説明された。


「・・・・交易船は、やはり海賊と思われる黒船に襲われたようです。 人間は次々惨殺され、生き残ってボルタにたどり着いたのは、二名だけでした。」


「・・・・・。」


私が、昔王宮で習った歴史の惨劇と瓜二うりふたつの事件。

襲われたが最後、生き残るのは困難。

数十年前の事件との関連性は、かなり色濃いでしょう。

今回は、幸運が重なり何とか脱出できたようです。

もし、誰も生き残ったものが居なければ、ただの遭難及び行方不明事件として、片付けられていた事でしょう。


「そう、ですか・・・・・その者たちは今、どうしていますか?」


「大公様が治癒魔法ちゆうまほう怪我けがは治されていました。 今は、ここベアルの仮設治療院にて安静にさせております。」


この街にはまだ、大規模な治療院というのは存在しません。

今は目下もっか、整備途中です。

こういった事態のためにも、早急の完成を急がせましょう。


「・・・大公様は立派な方です。 これらの話をボルタで聞くや否や、ご自分ひとりで船に乗って現場海域へ、調査に出向かわれようしました。」


・・・彼らしいですわ。

考えなしで、突っ走ってしまうところが。

彼は、先ほど帰ってきました。

そこから考えるに、この者たちが、彼の行動を必死で止めてくれたのでしょう。


今は、この事件の事は何一つ、分かっておりません。

いくら強い彼でも、危険すぎます。

止めてくれて、助かりました。


「あなた方には、本当に苦労をかけましたわね。 今日のところはもう、ゆっくりお休みください。」


「・・・・・・・はい、失礼します・・・・・・・。」


消え入りそうな声で、顔をうつむかせたままきびすを返す騎士。

彼の肩はワナワナ震えていました。

彼も、くやしかったのでしょう。

これだけの被害を見て、ただカイト様に付いて帰ってくることしか出来なかった事が。

私もくやしいですわ。

カイト様があれだけ、張り切っておられたボルタ整備が、こんな形で水を指されてしまったのですから。


「ごめんなさい、ヒカリ。 私は少し、カイト様にお話があるので、あなたは部屋に戻っていてくれますか?」


「・・本当は付いて行きたいけど・・・分かった。」


最近、ヒカリもこうして、聞き分けが良くなりました。

二年前は、決して離れてくれなかったので、困ることも多々ありましたが、彼女もそこは分かってくれたのでしょう。


「私は付いて行っちゃ、ダメかなあ?」


「・・・あなたは、私がお引止めする権限はないのですが・・・・・ ヒカリと一緒に居てくださると、助かりますわ。」


「分かった。」


ノゾミは、伯爵様なので、私が何かをとやかく指示する権限は、まったくありません。

しかし、彼女は割りとよく、周りの環境をみ取ってくれます。

だから、こういったときにも、結構私の意見なども尊重してくれます。

・・・・傍目には、私がここと、バルアを裏から操っている人間にしか見えませんわね。

まあ、いいです。

私はあくまで、カイト様のお手伝いに、廻るだけですから。


さて・・・・


私にも、今しなければならないことが出来ました。

ええ、カイト様がお考えのことなど、お見通しですわ。

危険な目にあわせたくなかったので、ヒカリたちは置いていきます。



彼の考えに同調して、私もおもむくだなんて・・・・


この二年の間に私にも、彼のバカが伝染うつってしまったようですわ。

鉄道まで、いま少しお待ちください。


あらすじ達成まで、こんなに大変だとは思いもしませんでした。

サクッと鉄道作って、サクッと走らせて、冒険者を続ける。

それが、初期のカイトと鉄道の、関係(?)でした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ