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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
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閑話・バルアの伯爵様その2

これからもがんばっていきます。

感想など、ありましたらどんどんお寄せください!!

「じゃあ、お願いね??」


「おう、おう!!」


ノゾミのお願いに対し、敬礼で返すゴーレムの警備兵。

その右手には、ボロボロの状態の、男の姿があった。


先ほど、魚屋での盗難事件解決から早いもので数時間。

ノゾミはこの日、五人目の逮捕劇を繰り広げていた。

あれから、街の周りを走ろうと、城壁へ向かっていたノゾミ。

その際、割とよく見かけたのが、『スリ』や『置き引き』。


これらを目撃したノゾミは、片端からこれをした犯人を追跡、捕縛していった。

もちろん、犯人たちも捕まらないよう、必死で逃げた。

・・・が、魔石で強化されているトビウサギの俊敏しゅんびんな動きに、かなうはずも無く、これら犯人たちは、手も脚も出ないままノゾミに戦闘不能にされ、警備兵に突き出されていった。


「いい運動になったなー♪」


ノゾミも、大変ご機嫌だった。

感覚から、悪いことを考えている人たちを追跡し、捕まえると、なぜか周りの人たちは喜んでくれるし、自分もいい運動になる。

さっきは、住民の一人に、きれいなアクセサリーをもらった。

とってもきれいだ。

あとで、カイトに見せよう!

よくは分からないが、いい事だらけだった。


ちなみに今は、悪いことを考えている人間は、いなさそうである。

もう少し、運動したかったけど・・・・

やっぱり、街を一周ぐらいしようかな??


ズシャン!!!


「ぎゃあああああああああああああ!!!!」


ノゾミがそんなことを考えていたとき、後方から大きな音と、誰かの叫び声が聞こえてきた。

ノゾミが振り向くとそこには・・・・





「待っていろ! すぐに助けを呼んでくるからな!!!」


「あぐ・・・・う・・・・・」


馬車が倒れた。

商会の前で、商人が荷物の積み下ろし中、馬車につないでいた馬が、突然暴れだした。

虫が鼻先にでも来て、嫌がってこれを追い払おうとしたのだろう。

馬が大きく体を身じろぎさせた。

この縦横の激しい動きに、転がっていかないように車を地面に固定していた馬車は、耐え切れずにそのまま横転してしまったのだ。


このとき、商会の従業員の少年が運悪く、倒れてきた馬車の下敷きになってしまった。

幸い、つぶされたのは片足だけだったようだが、抜けない。

倒れてしまった馬車は、重さは軽く3トンはあるだろう。

このままでは、少年の命すら危ないかもしれない。

馬車の持ち主の商人は、大慌てで人手を集めにいった。

事は一刻を争う。


そんなところに、ノゾミが通りかかった。


「この馬車を起こすの?」


「あああ、この街の領主様ですか!?  申し訳ございません!!  この一件は私が・・・」


通りがかったノゾミの姿を見て、その服装から彼女を領主様と知った彼は、いの一番に彼女に謝った。

街の住民は、領主様のものだ。

その住民に、予想できなかったとはいえ、こんなことをしでかしてしまったのだ。

ほかの街だったら、この商人は無事では済まなかったかもしれない。


・・が、ノゾミはそんな事はどうでもよかった。


「この馬車を起こすんでしょ??」


人が、馬車に挟まれているように見える。

匂いから、血が出ているのも分かる。

すぐ馬車を起こしたほうが良さそうだが、起こさないほうがいい可能性だってある。


アリアちゃんに、『出血多量』と言うものを教えてもらったノゾミは、そこを危惧していた。

カイトのトリ頭とは、エライ違いである。


「ええ・・・しかし、この馬車は私一人では起こせません。 今すぐ人手を・・・」


ゴスン!!



商人がここまで言い切ったところで、ノゾミは何食わぬ顔で馬車を起こした。

特に、問題は無かった。

カイトと前に倒した、ガーベア十頭を担いだときより軽かった。


商人は、口をパクパクさせている。


が、ノゾミの目には、下敷きになった少年の右足が捉えられていた。

その右足は、大きく損傷し、彼はもう、歩けない体になってしまったであろう事は、容易に想像がついた。

商人は、絶望の表情を浮かべている。

しかしノゾミは、すぐに彼が治ると思った。

なぜなら・・・・



◇◇◇



「おわ!?  ノゾミ、その子誰!??」


「大怪我していたから、連れて来たの。 ・・・・・治してあげられる?」


アリアに尋問されていたカイトは、突然ノゾミが連れて来た少年に、驚きおののいた。

彼の足は、血だらけになっていた。

しかし、カイトの治癒魔法ちゆまほうであれば、問題は無い。


「分かった、治すけど、今日はもう遅いからこの男の子は、ここに泊まっていってもらおうな?」


「うん。」


後日、足を治してもらった少年を雇う商会からは、ベアル出店についての打診が舞い込んできた。

これはずっといい返事をもらえてこなかった、初の商会の誘致成功例となった。



なお、これらバルアでの出来事により、住民たちがノゾミに気安くなったことをここに記しておく。

副産物としては、例の『串野菜』が、『領主様御用達』として大繁盛したらしい。

後に、これはこの街の名物化する・・・・

好き嫌いが、非常に大きく分かれる名物だ。

あと、二話くらいで閑話終了です。

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