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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
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閑話・教会その3

これからも、がんばっていきます!!

感想など、ありましたらどんどんお寄せください

「カイト様、聖職者様が本日、ご挨拶あいさつに参られるとの事ですわ。 決して、失礼の無いように・・・」


「分かってるよ、そう何度も言わなくてもそれぐらい、一回言われれば覚えるって!」


昨日から、アリアがしつこい。

口を開けば、『聖職者様が来るから、ちゃんともてなせ』という言葉。

そんなに何回も言われては、耳にタコが出来てしまう。


一ヶ月ほど前、教会の建設が始まったここ、ベアル。

その大きさはかなり巨大で、俺が王都で見たものよりも大きいかもしれない。

たしか・・・・地元の人は、『大聖堂』とか言っていたっけ??

存在を誇示こじするためなのだろうけど・・・・

ぶっちゃけ、この街に造るにしては大きくないか?

アリアに言っても、『そんな事、私は知りませんわ。』と言われそうなので、この思いは胸に秘めたままにするが。


そんな巨大な教会も、つい数日前には完成したようだ。

ささやかながら、住民たちとも、完成のお祝いをしたのだ。

しかしそのときは、『教会の聖職者』とやらはこの街に到着しておらず、祝ったのは俺たちのほかは、建設の魔法使いだけであった。

そして今日、その聖職者とやらが、この街に到着。

教会の司教として着任。

その挨拶あいさつに、この街の領主の俺の屋敷へ来る、との事なのだ。


「いいですか、カイト様。 司教様とは、この『マイヤル教』に関するこの街での、最高責任者となるお方ですわ。 くれぐれも、粗相の無いように・・・・」


アリアの言う、司教様の偉さとかは、俺にはさっぱりだ。

俺は日本では、無宗教だったからな。

アリアの力説で、『その人は偉いらしい』と言うことは分かったが、なぜ彼女はあせったように話してくるのか、俺にはわからない。


「カイト様、奥様。 聖職者様がお見えになりました。」


メイド長のクレアさんが、一礼した後に、俺たちにそんな報告をしてきた。

挨拶あいさつとか、めんどくさそうだなあ・・・


「さあカイト様!!  玄関までお迎えに上がりますわよ!!」


アリアが、俺をせかす。

『こんちは、さようなら』で終わらないかなあ・・・・

カイトのアホな願望をよそに、彼らは聖職者を出迎えに上がった・・・・



◇◇◇


今、私は目の前の光景が信じられません。

私とカイト様は、『聖職者様がお見えになった』との報告を受けて、こうして屋敷の玄関へ、足を運びました。

なのですが・・・・


「あれ!? お久しぶり!? 何でここにいるの!?」


「ベアルの街の、司教を命ぜられて、来たのですよ?」


来たのは、この街の司教と名乗る修道服姿の女性・・・・

この方は、私も見覚えが・・・

・・・・ま、まさか・・・・・・・・・

せ・・・・・聖女様!!???????????

な・・・なぜ、このような街に!?


「なーーーんだ、聖職者って、イリスさんのことだったのか!! 変にモヤモヤしてて損した!!」


「お久しぶりです、カイト様。 いえ・・・今は、大公様でしたわね。」


しかも、なぜか二人はお知り合い・・・・

王女時代の私ですら、言葉を交わしたことはありません。

過去にこの二人に一体、何があったと言うのでしょうか??


「あ、こんなところで立ち話もなんだから、中で話そうよ? お茶も用意してくれているみたいだし。」


「では、お邪魔いたします。」


フレンドリーですわ。

聖女様は、マイヤル教でも、かなり上位に位置する者の称号です。

正直、国王よりも立場は上となりえます。

そんな方が、カイト様と、大変親しげにしています。

注意したいですが、なぜか声が出てきません。


いけません・・・・

自室に、引きこもりたくなってきましたわ。


「アリア、何やってるの? 早く入っておいでよ。」


「この国の王城で、カイト様とご婚約された方でしたね? 堅苦しい挨拶あいさつなどは抜きにして、雑談などいたしませんか?」


聖女様の言葉に、私の頭は真っ白になりました。

今の状況が、まったく飲み込めません。


「あの・・・奥様? お気を確かに・・・・」


メイドの、私を気遣う言葉は、まったく耳に入ってきませんでした・・・



◇◇◇



「今日はとても、楽しかったです。 また暇なときにでも、お会いしましょうね。」


「俺も楽しかったよ、いつでも遊びに来てね。」


嵐のような時間(雑談)は過ぎ去り、聖女様は帰られるそうです。

今まで、ずっとフリーズしていたせいで、何も覚えていません。

用意してきていた挨拶文あいさつぶんなど、どこへやら・・・でした。

自分の情けなさに、死んでしまいそうです。


「アリアさん、今度は、女同士、集まってお話でもいたしましょうね。 カイト様には内緒で。」


悪戯いたずらを思いついた、子供のように舌を出して聖女様が、私にそんなことを言ってきました。

私は、聖女様が分かりません。

もう、なんか王城で見かけたときのりんとした雰囲気など、微塵みじんも感じられません。


「じゃーねー、イリスさん。」


大きく手を振って、彼女を見送るカイト様。

彼を、にらみつけます。

ええ、こんな大事な事を彼は、隠していたのですから。


「・・・どうしたの、アリア?? そんな怖い顔して。 イリスさんとの会話、楽しんでたじゃん。」


楽しんでなど、いませんわ!!

まったくあなたと言う人は、本当に・・・・!!

尋問ですわ。

この方は、おかしいです。

ただおバカなだけではなく、一歩間違えれば即死級の爆弾をこの方は、一体何個抱えていらっしゃるのか・・・


尋問しなければ、彼も私も、この国すら危険な香りがします。

まったく、この人は、ケロッとした顔をして・・・・!!!



ちなみにこの尋問は、翌朝まで続いたと言う・・・・

教会は、終了です。

でもまだ、ベアル発展などに関する閑話が続きます・・・

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