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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
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第113話・人間ですよ?

これからも、がんばります。

感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!

今、俺の胸元には、きれいな貝のブローチが輝いている。

これは昨日、ノゾミがくれた物なのだ。

これまで部屋に引きこもっていたのは、これを作っていたかららしい。

うらやましいだろ?

ヒカリも『いいなー』って言っていたんだぞ?


俺は昨日は、アリアのせいで部屋から夜になるまで出してもらえなかったが、それも帳消しになるほどに嬉しかった。

だが、それもここまでだ。


「さあ、カイト様。 今日もお仕事日和しごとびよりですわよ?」


「・・・いえっさー。」


ニンマリと俺に笑顔を向けてくるアリア。

俺を部屋へ閉じ込める気、マンマンだ。

だがそれに、あらがう勇気は俺に無い。

彼女の笑顔は、背筋が凍りつきそうだぜ・・・


そうして、自分の部屋に連行される俺。

しかし、彼女はいつものスパルタモードとは打って変わって、俺の横に立つとすぐさまある提案をしてきた。


「カイト様。 かの畑には、魔石ガラの集積場を整備しませんか?」


「え・・・魔石ガラ?」


俺の疑問の声に、アリアは一度うなづくと、彼女の計画を聞かされた。


「カイト様。 魔石は、一度使ったらただの石になるものですわ。 それはご存知ですね?」


もちろん、それは知っている。

シェラリータでは、俺なりに調べてから、領主様たちにも提案したのだ。

知ってて当然である。


「魔石はもともとその内部に、『魔力』を溜め込んでいたものですわ。 これを発散されてしまうと石は逆に、周りから『魔力』を吸うようになるのだそうです。」


アリアの話では、魔力の無くなった石は、魔力を蓄えようと周りから魔力を吸い出すらしい。

これは、結構厄介な性質なので、ガラ石は普通、秘境へ捨てられるらしい。


「その性質が、役に立ちますわ。 魔石ガラに魔力をある程度吸ってもらって、畑の魔力を薄くしていただくのです。」


「それってもしかして、魔力がたまったら魔石が売れるってー・・・」


ここまでカイトが言葉を発したところで、アリアはかぶりを振った。

それには、まだ莫大な時間が必要となるらしい。

およそ、千年ほど。

世の中、うまくはいかないものだ。


「そっか・・・でも良いね、それ!! そうしよう!!」


カイトに、これを上回る提案なぞ、ある訳が無かったので、この提案は即、採用が決まった。

アリアもとてもいい笑顔だ。

さっきの、背筋が凍りつきそうな笑顔がウソのようだ。


「では、手配しておきますわ。」


清々しいほど、すんなりと話はまとまった。

いつも、こうだと良いのに。

あれ、でもそれなら・・・・


「ねえ、アリア? 最初からこれを考えていたのなら、それを提案してくれれば良かったじゃないの??」


昨日のあれが、丸々無駄だったと思うと、複雑だ。

トイレに行くのすら、大変だったんだからな!!

これは、返事によっては怒って良いと思う。


すると、アリアは「はあ・・・」と、ため息をついた。

俺は、そんなにおかしな質問をしただろうか?

すると彼女は、入り口に向けていた体を、俺へと向き直らせた。

そして、右手を、俺の肩に置く。


「カイト様、私だって人間です。 そんなにドンドン解決策が思い浮かぶはずがありませんわ。 昨日だって、バルアで溜まっていた書類を、片付けていたときにたまたま思い浮かんだに過ぎません。  あなた様の昨日のことは、決して無駄ではありませんでしたわ。」


俺は彼女を、今までアリアを(いろいろな意味で)完璧超人だと思っていたが、そうではないらしい。

悩むこともあれば、誰かに助けを求めることだってある。

彼女も俺と同じ、一人の人間なんだと再認識させられた。


カイトは、自分の周りの者たちに人外が多すぎて、アリアもそのカテゴリーに入れていた。

何をしているんだか。

アリアが聞いたら、どんな顔をすることだろう。


これは、知らぬが仏である。


「ところでカイト様、言い忘れていましたが、これからは忙しくなりますわよ?」


「え、どうして? 今、問題解決したじゃん。」


アホなカイトは、今の魔石の件だけで、この街のすべての問題が解決したような気分になっていた。

もちろん、そんなわけが無い。

ベアルは、人口三十八人から始まった、恐ろしく発展途上の街なのである。

問題なんて、いくらでもある。

今回のこれも、そのひとつに過ぎなかった。


アリアは、とても苦い顔をした。

彼は、この前提がまだ分かっていない。

問題が一個解決するたびに、コレである。

「もっと、領主としての・・・」と言いたいところではあるが、たぶんそれでは、何も変わらない。


彼には、それを分からせつつ、その一つ一つの問題に、真摯に応えていってもらわなければならない。

そのための、言葉選びは大変である。

はっきり言って、彼女がこの屋敷の中では一番、領主らしかった。

ちなみに最下位は言わずもなが、カイトである。


「カイト様、『千里の道も一歩から』と申しますように、一つ一つの問題の解決は、大切な街の発展の一歩となります。 その先には、この街の発展がありますわ。 そうすれば・・・・」


「鉄道が敷ける!!」


アリアが言い切る前に、目を輝かせてズイッと体を寄せたカイト。

その瞳は、期待に満ちあふれている。


「そ・・・そうですわ。 それも実現できるでしょう・・・」


さすがのアリアも、彼のこの豹変ひょうへんぶりに、目を見張った。

ここまで彼をたきつける『てつどう』とは一体、なんなのだろうか??

アリアも最近、それが気になり始めていた。


「問題よ! いくらでも来い!! 俺が受けて立ってやろう!!」


ワハハと、仁王立ちするカイト。

とにかく、彼のやる気は再燃したらしかった。

ちょろいヤツである。






次なる新作品を、現在、切磋琢磨中です。

なんというか・・・・

問題が多発してしまったので、今修正中なのです。

公開するメドが立ちましたら別途、掲示板などでご案内申し上げます。

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