第112話・悪いニュース
昨日時点で、ほぼ完成状態まで行ったのですが、読み返してみて、恐ろしいほど問題が多発していたので、削除。
書き直しました。
鉄道は、まだまだ遠いです。
今日は、いいニュースと悪いニュースがあるのだ。
どちらを先に聞きたい??
え?
いい方から??
有無、よかろう。
ゴーレム警備隊を、二つの街へ派遣して、数日。
バルアでは、大変に治安が向上したらしいとの報告が、昨日アリアから上がった。
今では、ご婦人が夜間に一人で出歩いても安全なほどに、治安がよくなったらしい。
配備して数日でそれは、すごいな。
なんでも話によると、ゴーレムが、配備早々に巡回中に、ご婦人に暴行を加えている、下種ヤロウを見つけた。
ゴーレムは、これを完膚無きまでに、ボコボコにしてしまったのだとか。
その後も数件、似たようなことが起き、それが、ある種の恐怖となり、街の治安向上につながったらしい。
一部で、『やりすぎ』との声も聞かれるようなので、彼らは再教育せねばならないだろう。
ベアルは、もともと人間が少なかったのと、住み着いていた盗賊団のアジトは根絶やしにしたので、比較のつけようはない。
でも、『抑止力』にはなるだろう。
・・・・・・・・・さて、今度は悪いニュースだ。
ソギクの種を植えて数日。
魔力が濃いせいか、異常に成長の早いソギクは、もう腰の辺りまで茎が、伸びてきているらしい。
これだけ聞けば、『いいニュース』だ。
だが一部の畑では、このソギクが、元気が無いように、しおれてしまっているようなのだ。
水も適切にやっているし、日が当たりにくいと言うことも無い。
では、なぜある一区画だけ、ソギクは集団で元気が無いのか・・・・
調べてみると、この付近は魔力が周りに比べて、濃いらしかった。
濃いのはいい。
ソギクは、魔力を吸って大きくなる穀物だから。
しかしここは、『濃すぎる』のだ。
ようは、栄養過多で、逆にソギクたちは、元気をなくしてしまったらしい。
水をやりすぎると、植物が枯れてしまうのと、似たところがあるだろう。
今は、この対策を考え中だ。
それを考え始めているうちに、陽もだいぶ傾いてしまった。
「しっかし、何かあるのか? ダメなら畑を移ってもらえばいいんじゃね??」
しかしカイトの意見は、昼前から変わっていない。
『畑、使えないなら他に移そうか?』
カイトはこれを、結構いい考えだと本気で思ってる。
それがダメだから、アリアはこの問題をわざわざ、カイトに置いていったのである。
これが解決しないと、彼女の目指す街の発展が、大きく阻害されかねないのだ。
そこで、能力過多気味の夫に、彼女はゆだねたのだ。
依頼されて早々に、彼は放棄しようとしているが。
「お兄ちゃん、がんばってね? よく分からないけど、応援してるよ?」
そしてカイトの目の前には、可愛らしいお目付け役がいた。
ヒカリである。
アリアは別件で用事があったので、カイトの横に張り付いていることはできなかった。
そこで、自分の代わりに、監査役として、ヒカリを置いていったのである。
アリアの言いつけには、割と素直に聞くので、カイトの監視役としてはもってこいだ。
「・・・なあヒカリ? もう畑はあきらめよう。 住民の人にもそう言って、畑を移ってもらえばいいさ。」
「ダメだよ。 『カイト様が何か閃くまで、彼をこの部屋から出してはいけません』って、アリアお姉ちゃんにも言われてるんだから。」
むうっと、顔を膨らませて、アリアっぽい雰囲気をかもし出すヒカリ。
アリアっぽいというのは、怒気がはらんでいる、ということだ。
彼女にこんなことを言ったら、死刑ではすまないだろう・・・・
ヒカリは、カイトの言いつけを、あまり素直には聞いてくれない。
アリアと被る場合は、彼女のほうを優先する。
ヒカリは、少なくともカイトよりは優秀であることが分かる。
コンコンと、ドアをノックしてくる音が聞こえる。
夕食に、メイドさんが呼びにきたのだろうか??
・・・いや、まだ日没していないのに、早過ぎるだろう。
入るように促すと、部屋に入ってきたのは、ダリアさんだった。
メイドに違いは無いが、いつも反応に困ってしまう。
幼女だし、ドラゴンだし、俺の身内(仮)だし・・・
彼女は、俺にとってよく分からない存在である。
「カイト殿、『お茶』なるものを持ってきました。 これで少しお休みください。」
相変わらず、敬語がどこか、ぎこちないダリアさん。
最近、彼女はメイドが板についてきたようだ。
こんな気配りまで出来るようになるなんて・・・
「クレア様に、言いつけられましたので。」
素っ気なく、ダリアさんから真相を聞かされた。
気配りが出来ていたのは、クレアらしい。
その情報、言わなくて良かったのに・・・
「しかしカイト殿。 いったい昼ごろからこの部屋で、何をしていらっしゃるのですか?」
「やーーーー、実はさあ・・・・」
ダリアさんの疑問に、これまでの経緯を説明するカイト。
ドラゴンの彼女から、何か聞くことは出来ないものか・・・・
「へえ・・・・なかなか『栽培』とは、難しいものなのですね。」
「これは、予想外だよ・・・・」
頭を抱えるカイト。
いくらドラゴンでも、そんなことを聞いてすぐに何か、閃くわけが無い。
カイトはこの後、アリアが帰ってくる夜中まで、風呂に入るために部屋を出て行くことすら叶わなかった。
言いつけを守るヒカリは、愛らしくもあるが、恐ろしくもあった・・・・
◇◇◇
「バルカン様! 隠し金庫の金はすべて、無事だったとのことです。」
「ふふふ・・・・そうか。 ではすぐに、ここへ運ばせよ。 運んだものには一人、金貨一枚をくれてやるぞ?」
「ははっ!!」
ここは、バルアの街にある、とある家の地下の一室。
そこには、先日ベアルから逃げおおせた、バルカンの姿があった。
ベアルで逃亡中、なぜかここ、バルアにつながる隠し通路を見つけ、それを使ったバルカン。
まるでそれは、転移魔法のようだった。
いつかバルアには、隠し財産を引き取りに来たいと考えていたバルカンにとって、渡りに船であった。
しかし、ここでは自分の顔が割れている。
またあの隠し通路を使って、帝国にでも逃げようかと彼は、画策していた。
・・・・・が。
「ば・・・バルカン様!! お逃げください!! ゴーレムが・・・ゴーレムが・・・!!」
一人の従者が、あわてて何かを訴えてくる。
何を言っているんだ、こやつは。
逃げてたまるか。
今から、自分の全財産がここに届くというのに・・・
「おうおーーーーーーーーーーーーーー!!!」
「うあ・・・来やがったーーーーーー!!!!!!!!!」
「な・・・・ゴーレムだと!!???」
従者が入ってきた入り口から、一匹のゴーレムが入ってきた。
驚いたバルカンは、大急ぎでこの部屋を後にした。
『あのゴーレムに関わってはマズイ』
そう、彼の直感が告げたのだ。
金は後で、引き取りに行くとして、今は逃げよう。
金は逃げやしない。
そう思い至ったバルカンは、先日の転移トンネルへ向かったのだが・・・・
「な・・・・!? トンネルが無い!!????」
城門に至った彼の前には、何の変哲も無い、ただの城壁があった。
そこには、元から何も無かったようにしか見えないほど、きれいな石壁しか。存在しない。
「うおおーーーーーーーー!!!」
背後からは、先ほどとはまた別の、ゴーレムが迫ってきていた・・・・
これより先、一部を快速で書きたいと思います。
皆様にはご不便をかけてしまう点が生じるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。