表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
116/361

第111話・最強の軍団

これからも、がんばっていきます。

感想や、誤字、脱字などありましたら、どんどんお寄せください。

「カイト殿。 いったい何をやっておられるのですか?」


「ちょっとね・・・・」


相変わらず、どこか話し方などがぎこちない、この屋敷のメイド、ダリアさん。

今彼女には、俺のやっていることの、補佐をしてもらっている。

具体的には横で、俺が放出した魔力を、彼女の魔力で凝縮ぎょうしゅくしてもらっているのだ。

結構大きな魔力を放出するので、周りに拡散しては困るのだ。

魔力が拡散してしまっては、失敗してしまう。


魔力を放出しているのは、街の荒れた畑の一角。

そう、俺はあるものを、作ろうとしているのだ。


魔力放出から一分。

地面の土が、波打ち始めている。

そう、まるで海のように。

こうして成功すると、実にうれしいものだ。


「!?」


ダリアさんの顔も、この事態が飲み込めないのか、目を見開いたまま固まってしまう。

さすがにアリアが俺に頼んだだけあって、結構難しい魔法のようだ。

・・・俺には何とも無いが。


「うぐほおおおぉぉぉぉ・・・・・・」


地面から、地獄の底から聞こえてくるような、底冷えのするうめき声のような声が響いてくる。

地面が、グラグラと揺れ始めた。

完成だ。

まだ、全容は見えていなかったが、感覚的にそんな気がした。


ぼこん!!

どどどどど!!!


「か・・・カイト殿、これは・・・・!!」


地響きや、うめき声が鳴りを潜る。

そして土の中から、数十体の泥人形が飛び出してきた。

そう。

俺が作っていたと言うのは、ゴーレムである。



アリアに、先日『ゴーレム』は作れないか、と聞かれたのである。

しかし、俺はそれがどんなものなのかが分からなかった。

ゴーストなら、知っていたのだが・・・・

アリアに疑問をぶつけてみると、『泥人形』らしい。

それも、ただの泥人形ではない。

なんと、命令を聞いて、動くのだ!!

どんな力仕事でも、こなしてくれると教えてもらった。

これで、街の警備をしてもらうと言うことだ。


なにそれ、スゴク良い!!

ベアルの街の開拓だって、それで済ませればよかったじゃん!!

そうすれば、あんな苦労をかけずに済んだのに・・・・



カイトは、アホだった。

考えてみてほしい。

ゴーレムはびこる街が、どうして人を呼び寄せて、どうして発展すると言うのか。

街の産業の基幹労働力が、空気と水以外、あまり必要としないゴーレムでは・・・

これを分かって、アリアもカイトに、この提案を伏せていたのだ。

今回のこれは、苦肉の策であるし、ゴーレムもそんなに多くは無いので、こういった心配は少ない。


カイトは、この辺が自分が『バカ』と言われてしまう原因だと言うことが、分かっていなかった。

まあ・・・・・

わかっていても彼なら、『大丈夫さ♪』とか言って、強引ごういんこれをし進めたと思うが。


「これは、この街でこれから治安向上に努めてもらう、ゴーレム軍団だ。 すごいだろ?」


カイトは、自分が提案したわけでもないのに、得意げにダリアに説明した。

ダリアも、関心しきりと言った雰囲気だ。

もちろん、街の事なんか気にかけていないダリアさんが、気に掛けているのはカイトが自慢じまんしたい事ではない。


「本当にすごいです・・・・ 私ですら、今まで一度では三体までしか作ったことが無いと言うのに・・・」


ドラゴンに、勝つ人間、カイト。

正直、この二人さえいれば、この街は永遠に安全だったと思うが、そこは考えてはならないのかもしれない。

そもそも、カイトとノゾミ以外、ダリアさんがドラゴンだなんて知らないし。

カイトも、ほめられていることは理解したのか、得意満面だ。

その光景は、はたから見ると『妹にほめられて、バカみたいに自己評価をあげる兄』にしか見えなかった。


「さあ、おまえたち、俺について来い!!  明日には街の警備をしてもらうぞ?」


カイトのこの声に呼応するように、ゴーレムたちが、「おう、おう」と、低い声を上げる。

命令は、聞いているようだ。

こうしてカイトは、総勢四十体のゴ-レムを引き連れ、ダリアと共に、屋敷へと戻って言った・・・



◇◇◇



「・・・カイト様。 私はゴーレム兵は十体ほどで良い、と申し上げたはずですが・・・?」


「いや、なるべく多いほうがいいでしょ?」


昨日、私はカイト様に、ゴーレムを作ってほしいと嘆願たんがんしました。

ベアルと、バルアの警備兵団が、あまりにも少なかったからです。

苦肉の策でした。

人材がいない以上、街の警備まで選り好みしている場合ではありません。

本当は、この街はそう言った、感情の無い人形は労働力にしたくは無かったですが、仕方が無いでしょう。


・・・・が。

ゴーレムは、単体でも人間の数倍の力を、持つと言われています。

しかも、彼らは人形なので、疲れを知りません。

必要なのは、バルアと、ベアルの分だけ。

ここから考えて両方の街を合わせて、必要な数は、十体ほどと考え、彼に頼みました。


なのに、彼は四十体も用意してきました。

・・・あなたは、どこの国に侵略に行かれるおつもりですか?

はっきり言って、街の警備でこの数は、幾らなんでも戦力過多過せんりょくかたすぎます。


「さあ、君たち!! ここで今日一日中訓練をして、明日からバリバリ働いてくれ!!」


「おう、おう、おう。」


「・・・・・。」


ちょっとフリーズしてしまいました。

でも、ゴーレムに訓練・・・・

王宮騎士団でも、太刀打ちできない軍団が、明日にはそろいそうですわね。

ふつう、ゴーレムに戦闘訓練なんて、誰もしませんから。

しなくても、十分に彼らは強いのです。


あああ・・・カイト様。

あなたの頭の中が知りたいです。

一体、いつも何を考えておられるのか。

一体、その胸中に、どんな野望を持っていらっしゃるのか・・・


「ん?  アリア、頭なんか抑えて、頭痛でもするのか?」


「~~~~~~~~!!」


アリアの受難は、とどまる所を知らない・・・・

よ・・・予定に無い話が・・・・


この一件のせいでまた、鉄道が遠くなりました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ