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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
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第109話・王宮騎士団の皆さま

これからも、がんばっていきます。

感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!

「改めてご説明いたしますわ。 これは住民の要望書ではありません。 騎士の処遇についてですわ。」


「ん? 処遇?? 待遇改善とか??」


今、カイトとアリアは屋敷の一室で、書類仕事を片っ端から、片付け続けていた。

山のようにカイトの机の上に積まれた、住民の要望書を片付け続けた彼らは、昼ごろからこの作業を続けており、辺りが暗くなった今になってやっと、残り一件まで、終わらせることが出来たのである。


が、その一件は、なかなかの曲者くせものであった。


「これは、今、召抱えている騎士を今後、どのようにするか・・・という重要な案件の書類ですわ。  よくお考えになって、サインしてくださいませ。」


「・・・・どゆこと?」


「・・・・まずは、書類をお読みになってください。」


半ばあきれ調にアリアが、俺に書類を読むことをすすめてくる。

目の前に置かれた書類に目を落とし、読み進めてみると・・・


・騎士はいつ、王宮に帰らせるの?

・いや、いつでもいいよ? 催促さいそくはしていないし。

・でも、今後どうするのかが気になってさーーーーーー


俺風に訳すと、こんな感じだ。


うん、さっぱり分からないや。

アリアに聞いてみよう。


「これって、どういうこと?」


そうアリアに書類を片手に聞いてみると、彼女は、こめかみに指を当ててうなった。

そんなにヤバい案件だったのだろうか?


「・・・いえ。 そうでしたわね、カイト様は分かっていらっしゃらないのでしたわね。」


なぜ、ここで俺の名前が引き合いに出されるのかが、分からない。

分からないが、知らなくてよい情報っぽいので、スルーすることにした。

今大事なのは、この案件を早く片付けて、飯を食って早く寝ることである!!

人間、睡眠は大事なのだよ。


「カイト様がベアルへ赴任ふにんされた際、護衛の騎士を沢山たくさん、連れていたことはご存知ですよね?」


「ああ、もちろん。」


俺がベアルに赴任ふにんしたとき・・・・

彼女が言っているのは、俺が大公として、この領地に来たときの話だ。

あの時は、ベアルは一度も来た事がない場所だったので、道中は馬車移動だった。

俺とノゾミは、多分に走ったほうが早く着いた事は、内緒である。


そのとき、護衛として、多くの騎士の護衛がついたのである。

実に、にぎやかだった。


「たしか、今も街の警備についてもらっているよな?」


ベアルに着いた際、あまりにこの街が無防備だったので、その護衛さんたちは数人を屋敷に残し、街で警備兵団まがいのことをやらせている。

騎士だけあって、実に治安向上に役立ってくれたと思う。

領民38人では、治安向上もクソも、あったものではないと思うが・・・

あの騎士さんたちが、一体どうしたというのだろうか?


「カイト様。 お忘れのようですので簡潔に申し上げますが、あれらの騎士たちは本来、カイト様が指示を飛ばしてはならない者たちですわ。」


「え!?  それ、どういうこと!?」


「・・・カイト様。 この街の警護についている騎士たちは、『王宮騎士団』の者たちですわ。 あなた様についてきたのは、『大公様を目的地到着まで護衛する』という、国王の命令あってこそですわ。  つまり、彼らは本来、今ここにいてはならない者たちなのです。」



・・・・・・すっかり、忘れてました。

そうなのだ。

自然な流れで、護衛してくれた人たちには、引き続きこの街の護衛を頼んでしまったのだが、それは逆に、国王の命令違反でもあるわけだ。

国王の命令違反・・・・・・・


ヤベェ・・・・・

すごい死亡フラグ臭がする。


「騎士たちは、あなたを慕っているのでこれを呑んでくれましたし、国王もあなたを気に入っておられるので、いまのところ問題にはなっておりませんが、現状のままにしておくわけには参りませんわ。」


いつになく真剣な表情で、俺を見つめてくるアリア。

その目は、『これはマズイ状況です』と訴えてくる。

俺も、そう思います。


再びカイトの脳裏には、処刑台にしょっぴかれる自分の姿がよぎった。

それを知ってか知らずか、アリアが矢継ぎ早に、話を続ける。


「カイト様、大丈夫ですわ。 即刻対処すれば、問題はございません。」


「ありあ・・・!!」


アリアが今、天使サマに見えた。

彼女は、窮地きゅうちに立たされた俺に、救いの手を差し伸べてくれる救世主。

いつも『鬼』とか言ってごめんなさい。

これからは、天使サマとして、あがめさせて頂きます。

アホなカイトは、またもバカなことを考えていた。

アリアが知ったら、どんな目にあわせられても文句は言えないだろう。

彼女に心を読む能力がなかったのが、幸いした。


「ほら、涙をお拭きくださいカイト様! 領主がそれではみっともないですわよ??」


そういって、俺にハンカチを渡してくるアリア。

すごく優しい顔だ。

いつもの般若はんにゃのような顔からは、想像できないほどに慈愛に満ち溢れている。(気がする)


・・・訂正だ。

カイトはアホで、失礼なやつである。

アリアが知ったら、殺されても仕方ないだろう。



「まずはカイト様。 王宮騎士団の者たちは、王都へ帰すことにしましょう。 それがまず、すべきことですわ。」


「そうだな! うん。 ・・・ところで、街の護衛はどうする?」


バカなカイトだったが、少しはこの領地の気配りが出来るようだ。

彼も、若干は成長しているようだ。

まあ、本当に微々たる成長速度ではあるが。


「当分は、屋敷の護衛の者たちで回す事としましょう。 その上で、バルアの警備兵団の一部を呼び寄せるなり、この街の住民で自警団を結成するなり、何かしらの対策の手を打ちましょう。」


「う・・・うん、そうだね、そうしよう!!  出来るかい、アリア?」


「ではカイト様、こちらにサインを・・・・・」


そう言って、書類の右端の空欄くうらんを指差してくるアリア。

カイトが、敏腕の領主様に見えるのは、こういったカラクリがあった。


「アリア、いつもこんなに小難しいことをしていたんだな。 いつもありがとう。  俺も、これからがんばるよ?」


「・・・・・!!」


一気に、で上がったタコのように、顔を真っ赤にさせるアリア。

彼は、かなりトンデモない領主だ。

政治はさっぱりだし、口から出るのは、二言目には『てつどう』である。


だが、彼でなければ出来なかったことが、多分に多くあったと思う。

これまでも、そしてこれからも・・・・・・・・・


う~~ん・・・  


まだまだ、問題は山積みです・・・・

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