表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
113/361

第108話・書類整理

これからも、がんばっていきます!!

感想など、ありましたらどんどんお寄せください!!

「・・・・・・これは、何?」


到着した開拓団の案内を、アリアにめさせられたカイトは、屋敷の自分の執務室の机にある椅子いすに座らされた。

しかし、その机の上には朝、彼がこの部屋を出るときにはなかったはずの、多くの書類が山積みにされていた。

大公の彼が、本来『すべき』仕事のひとつである。

通常、自由なカイトに代わり、アリアがこの仕事をこなしていたのだが、これではいけないとアリアも思ったらしく、今日はカイトに、これをさせる腹積もりである。


「あなたがすべき、『仕事』ですわ。  ご心配なく。  私だけでどうにかなる分に関しては、すでに終わらせてありますわ。」


得意げに胸を張るアリア。

だが、除外したとは言うが、カイトの前にそびえる書類の山は、結構尋常じゃない量だということを物語っている。

こんな俺に、一体何をさせようというのか。


「今日、今からあなたには、この街の『整備』に関するこれらの書類に対する吟味ぎんみと、対策などについて考えていただきますわ。 ちなみに、バルアの分は別にしてありますので、ご安心を。」


ぜんぜん安心じゃない。

今ある、この書類をやっつけても、まだあるというのか?

勘弁してくれ。

俺はこういう、デスクワークは睡眠導入剤にしかならないんだ!


「まずは、こちらになりますわ。 『畑に用水路がない。』 カイト様、検証の上で、対策を!!」


いいよ、検証なんて。

俺がパパッと、それぐらい作ってやるさ。

そうアリアに言ったら、メチャ怒られた。


「カイト様!!  少しは、まじめにお考えください!!  これは、街の住民の要望です! それも、個人宅の家庭菜園の話ですわ!  こんな事まであなたがなさっていては、いくつ体があっても、足りませんわ!!」


「ご・・・、ごめんなさい」


もう、検証なんていらないじゃん。

アリアが決めちゃっているんだから。

言ったら、怒られるだけでは済まなそうなので、言わない。


「じゃあアリア、サインしておいてくれる?」


いつものように、アリアに書類を渡すカイト。

これにアリアが、さらに顔を真っ赤にさせて激昂げっこうする。


「私に渡してどうなされるのですか!! それは、あなたがサインをするものですわ!!」


「ええ、そうなの!?」


アホなカイトは、こういった政務活動は一手に、アリアに任せっきりだったので、ここのところがまったく分かっていなかった。

そもそも、領主の妻がこういったことを一手に引き受けるほうが、この国ではずっとレアである。

分かってはいたが、アリアは落胆を隠し切れなかった。


「・・・・まあ、いいですわ。 お仕事に関しましては、これから覚えてください。」


「え? まだやるの??」


「当たり前ですわ!!!!!」


住民の要望ひとつで、終わるわけがない。

この街は、発展途上なので問題は、山積みなのである。

カイトは、この辺も分かっていない。

こうしてカイトは、ずうっと執務室でアリアの監視下で、仕事をする羽目になった。



◇◇◇



「カイト様、こちらは『耕作した畑が、森の害獣に荒らされて困っている』旨の要望書ですわ。」


「ああ、そうだな・・・・・人的被害がでかねないから、俺がどうにかノゾミと対処してくるよ。」


「了解しましたわ。 では、こちらにサインを・・・・」


アリアに指差された、左端の空欄に、サインをする。

これでまた一枚、撃墜だ。

もう、この作業をアリアと続けてどのくらいになるだろうか?

陽はすっかり落ちてしまって、あたりは薄暗くなり始めている。

書類のほうも、残り枚数がかなり少なくなり、先が見え始めてきた。


「ではカイト様、お次ですが・・・・」


サインを終えた書類を確認すると、アリアが次なる書類を提示してくる。

このとき、アリアの体は俺に、急接近する。

アリアのいいにおいが漂ってきて、俺の意識が若干、朦朧もうろうとしてしまう。

体が前傾気味になるせいで、彼女の大きな胸がさらに大きく見える。

正直、目のやり場に困る。

顔も整っているので、大変緊張してしまう。

本当によく、俺になんて好意を寄せてくれたものだと思う。


これで毎日、怒らずにいてくれれば、もう言うことなしだ。

美容にもよくないんだぞ?

アリアちゃん、笑って頂戴!!


「カイト様? 今の私の説明、聞いておられましたか?」


ジト目でこちらの顔を、のぞき込んでくるアリア。

変態カイトは、無駄にうろたえた。

いろいろ、バレバレである。

やべえ!!

もしかして感づかれた!?


「い・・いやあの、アリアの胸がね・・・・」


「な・・・・!?  一体あなたは、何を考えておられたのですか!??」


顔を真っ赤にさせて、自分の体を抱くアリア。

慌てているバカなカイトは、勝手に自爆して、新たな火種を作った。

そもそも相手が、真剣に取り組んでいるのに、こんな態度を取ってはいけない。

まあ、仕方が無いと言えなくもないが。


「はあ・・・カイト様。 これで書類は最後ですわ。 ここまではきっちり、終わらせましょう。」


「マジか!? おし、がんばるぞーーー!!」


後、一件だけ。

カイトはこれに、胸を躍らせた。

アリアも、今日はため息をつくだけで、怒らなかった。

まだ顔は固いが、般若はんにゃ顔よりは、幾分ましだ。


さあ、最後の要望書はどんな内容なのかなーーーーー?


たびたび、区切りが悪くてごめんなさい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ