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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
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第107話・すべきことがあります!!

これからもがんばっていきます。

感想など、ありましたら、どんどんお寄せください!!

よく晴れた昼下がり。

ベアルの街は、カイトたちが来てから、一番の賑わいを見せていた。

この日、ベアルの街には、バルアからの開拓団に選ばれた多くの者たちが、やって来ていた。

通常、バルアからベアルへ至るには、山脈を貫く街道を通らねばならず、カイトが先日整備をした新街道を通ったにしても、五日以上はかかる。

しかし、バルアから到着した者たちからは、移動による疲れを訴えていている者は、一人もいない。


これは、カイトが転移魔法を応用し、バルアの城壁の一角と、このベアルの家のひとつを、つないだからである。

これにより、移動にはまったく時間をかけることなく、彼らを迎えることができた。

街道整備は、この街にこれからやって来るであろう商人たちのために整備したので、今回はこれでよかったのだ。

ちなみに警備上、かなり問題となるので、開拓団到着後はこのゲートは、ふさぐ予定である。


「ようこそ、お越しくださいました。 各家には、個人ナンバーの札が掲げられていますので、自分に割り振られた番号をご確認のうえ、荷物を降ろしてください。」


そしてカイトは、続々到着する、開拓団の者たちを自らで迎えていた。

開拓団の者たちにまぎれて、変な人間がやってきてしまう危険性があった。

そこで警備上、このバルアとベアルをつないでいるゲートには、騎士の者を常駐させていたのだが・・・

なぜか、その場にカイトの姿もあった。

ご存知とは思うが、カイトはこの国の貴族最高の地位、大公様である。

バルアでの『大道芸人事件』を引き起こした、カイトは住民たちからは、親近感を向けられてはいたが、それでもゲートを出た途端にこうして出迎えられるのは、さすがの住民たちも、返答などに困ってしまった。

大丈夫らしいことは分かっているが、この国では、大公様の機嫌を損ねようものなら、一族郎党皆殺しにされても不思議ではないのだから・・・・


「家の入り口に入らないような大きな荷物は、後でこちらで入れておきますので、家の玄関のところにおいて置いてください。」


「・・・・。」


それは、本来の案内役となる騎士たちも同様だ。

彼がやるといった手前、反対など出来ようはずもなかったが、大丈夫なのは分かっているが、大公様の身に何かがあっては、最悪な事態におちいりかねない。

こういう場合、貴族という者は、普通は歓迎式典の練習などをしているものである。

ちなみに、今それをしているのは、カイトの妻のアリアである。

カイトは、こういった式典などのかしこまったことは、苦手であった。

なので毎回、このようなことはアリアへ任せきっていた。


「止まらずに、順番にこちらへ来てください。 今、係りの者が書類照合の上で、皆様に個人ナンバーを割り振らせていただいております。」


アホなカイトは、そんな事は、あずかり知らぬことであった。

だが、たいていこういう場合、優秀なサポート役が彼の暴走をとどめていた。


「カイト様!!  何をしていらっしゃるのですか!?」


聞こえてきた甲高い声に、カイトが肩をビクッと震わせる。

声の主は、明らかである。

恐る恐る後ろを振り返ると、カイトのひとみには、いつもどおり赤のドレスを身にまとい、仁王立ちした彼の妻・・・・


アリアだ!!


「ああ、アリアか。 今開拓団の皆さんを案内しているんだ。 あ、止まらずにー・・」


アリアのいつもの怒声に、思わずビクッとしてしまったものの、別におかしなことをした覚えはなかったので、彼はそのまま、案内を続けた。

カイト的には、案内自体はおかしな項目に該当がいとうしていなかった。

この辺りが、妻のアリアをしょっちゅう怒らせる所以ゆえんである。


はあ・・・と仁王立ちの姿勢のまま、大きくため息をつくとアリアは、そのままの姿勢で彼に寄った。


「カイト様? 案内は、騎士の者たちが行いますわ。 ですからあなたは、自分がすべきことを片付けてくださいませ。」


カイトに注意をしても無駄と悟ったアリアは、とりあえず彼に案内を止めさせようと、そう切り出した。


「ん・・、俺がすべきこと? 何かあったっけ??」


貴族の仕事と言うものが、未だまったく分かっていないカイトは、自分がすべきことという事が、分からなかった。

いや、彼は案内こそが、自分の仕事だと思い込んでいた。

あいかわらず、ブレないカイトだった。


「カイト様、あなたはいったい、誰ですか?」


普通、この世界でこういったことを聞かれれば、自分の身分などを話す。

カイトには、そんな常識はない。


「ん? アリアも記憶喪失になっちゃったの??  俺はカイトだよ。 君の夫。」


「そんな事は分かっておりますわ!!  あなたは、ご自分の身分を分かっておられるのか、という事をお聞きしているのです!!」


顔を真っ赤にして、怒気をこめてカイトをしかるアリア。

本当に相変わらずの『アホ』を発揮したカイトだった。


「え~っと・・・・、この街の、領主?」


「そうです、あなたはこの街の領主たる、大公様です。 そんなあなたには、責任重大な大きな仕事が沢山たくさんあるのです! こんなところで、騎士たちの仕事を奪っている場合ではありませんわ!!」


「『奪う』って・・・・」


カイトは、アリアの言葉に、たじたじとなってしまった。

(このところ、毎日、たとえ良い事をしてもアリアに怒られている気がする・・・・)

そんなことを彼は思っていた。

これは、先日のベアルの街道整備のときの話である。

知らずにどーーーーーーん!!と、

整備を終えた街道を見せ、アリアたちを喜ばせようとしたカイトは、なぜか彼女に怒られてしまった。


彼女は、やったことに怒ったのではない。

カイトのやり方と、伝え方が悪くて怒ったのである。

そこのところが、彼は分かっていない。


「さあ、私についてきてください!!  あなたの仕事は、いくらでもありますわ!!」


「・・・・・・・はい。」


こうなった彼女に、逆らう勇気はカイトは、持ち合わせていなかった。

ただ、おおせのままに・・・・である。

カイトは、知らずに女房の尻に敷かれていたのだった・・・・。


区切りが悪くてごめんなさい。

次回は、思わず忘れられていた問題の解決です。

解決・・・・・次回だけでするかな?

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