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オタクはチートを望まない  作者: 福島 まゆ
第6章 この街に新産業を!!
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第106話・はじめの一歩

大変、失礼しました。


こちらの不手際で、書き途中のものを投稿してしまいました。

この場を借りて謹んで、お詫び申し上げます。

これからもどうぞ、よろしくお願いいたします。

明日はとうとう、ベアルへの開拓団が、バルアを出発する日。

同時に、このベアルの街へと来る日。

俺の転移魔法で、この街へと送る手はずになっているのだ。

当然、人数が多いので、一度に全員を転移させる事は難しい。

そこでカイトは、前に屋敷でしたように、この街の家の一軒と、バルアの城門付近とをつなげたのである。

保安上、ここは開拓団通過後は、ふさぐ予定だ。

そんなわけで、俺たちは今、受け入れの最後の準備を推し進めていたのだが・・・・


「カイト様?  本当に大丈夫なのですか?  確かにお力添えさせていただくとは話しましたが、正直な話、ベアルへ至る道は、かなり・・・・」


「大丈夫です、心配ありません!!  だから、一定期間ごとに商隊を寄越しては来てくれませんか?」


バルアの屋敷に一室。

俺の前に座っている人物は、商人のハントさんだ。

彼には、ベアルへ時々、商隊を寄越してほしいと頼んだ。

このために、俺は今日までがんばってきたのだ。

商隊を誘致し、店が無いベアルでも、買い物が出来るようにする。

すべては、開拓団の人たちに、ベアルに定住してもらうためである。


最初こそ、渋ったハントさんであったが、俺の熱意に根負けし、しぶしぶといった感じだがこれを、了承してくれた。

よかった。

それでも断られたら、どうしようかと考えていたのだ。

ハントさんの懸念材料らしい街道は、ダリアさんの尽力もあり、昨日やっと全通(?)した。

その甲斐かいが、あったというものだ。


部屋を退出していくハントさんを横目に、今まで押し黙っていたアリアが、不安げな様子で、俺の顔をのぞいてくる。


「カイト様?  『今日のこうしょうは、任せてほしい』との事だったので、何も言わずにおきましたが、本当に大丈夫だったのですか?  あの商人も言っていたとおり、ベアルの街道は、大変な悪路です。  あなたもご存知でしょう??」


もちろん、ご存知です。

あのときの、馬車に受けた尻の痛みと、楽しい商隊との晩餐ばんさんは、忘れようったって忘れられない。


「もし、あの商人が『ベアルの街道は、領主が大丈夫と言ったのに、まったく整備されていない』と吹聴ふいちょうしたら、あの街は終わりなのですよ?」


今まで見せた事が無いくらい、不安げな表情を見せてくるアリア。

それくらい、この事は重要という事だ。

街道がボロくては、商隊は来ようとはあまりしないからな。

その上、俺は『大丈夫だ』と公言してしまったのだ。

アリアの不安は分かる。

だが、俺とダリアさんで整備した新街道は、伊達ではない。

・・・そういえば、アリアやノゾミたちにはまだ、整備が終わった新街道をまだ、見せていなかった。

もう、情報を解禁してもよかろう。

むふふと、下卑げびた笑いを見せるカイト。

それを引き金に、アリアの不安が一掃、増長する。


「アリア、今日はこの後、時間作れるかな?」


「え・・・?  まあ・・、街の最終点検も済みましたし、少しくらいであれば・・・・ いったい今度は、何をする気ですか??」


疑うような、何かを探るような目を、こちらへ向けてくるアリア。

ふふふ・・・・・びっくりしてくれるかな?

喜んでくれるかな??


カイトは、これから彼女が見せるであろう、驚き、そして歓喜の声を上げる姿を想像し、ほくそ笑んでいた。

アリアは、カイトのその一挙手一投足に、さらに不安を抱くのだった・・・・



◇◇◇



「あなたは、こんな事を今まで隠していたのですかーーーーーーーーーー!!!!!!!!」


「へぶう!!???」


谷には橋が架かり、崖にはトンネルが掘られているベアルの新街道を見せた瞬間、カイトはアリアに、盛大にぶっ飛ばされた。

アリアは、驚いて歓喜の声をあげる前に、カイトの右頬をひっぱたいてきたのだ。

・・・・結構、力強く。

カイトの楽観的で願望的な想像は、見事に打ち破られたのだ。


「カイト様?  いったいこの整備に、いくらかかったのですか? 怒りませんわ。 怒りませんから、正直にお答えください。」


ゴゴゴ・・・・と、背後に炎をたぎらせ、般若はんにゃのような顔でカイトに近づくアリア。

今、現在進行形で怒っているのは、火を見るより明らかだ。

だが、彼女が怒っている原因は分かった。

つまり、正直に言えば、文字通り怒られる事は無い。


「待ってくれアリア!!  お金はかかっていないんだ!!  全部ダリアと俺だけで、この数日だけで・・・」


「それでは、この街道は、整備にはびた一文、かかっていないと・・・?」


アリアの迫力を前に、ビクついて首を縦に振る事しかできないカイト。

だが、ウソはついていない。

何より、お金がかかっていないから、怒られるような部分も無いはずだ。

これで、一件落着である。


「そんな事が、出来るわけが無いからこうして問い詰めているのですわ!!  よろしい。  あなたが本当のことを言うまでは、決して、あなたからは離れませんわ。」


とたんに、顔が青ざめるカイト。

本当のことを言ったのに、怒られてしまった。

アホなカイトは、べアルの街道整備へ至る経緯を彼女に、話し忘れていたのに気がついていなかった。

これを話してさえいれば、アリアも納得したはずである。

ダリアさんの、ドラゴンである事を伏せるのはたぶんに、難しかっただろうが・・・・

ともかく、本当のことを言ったのに、カイトはアリアに、文字通り一日中、問い詰められる事になってしまった。

一件落着どころではなかった。


この後、アリアがこの事態を理解して、カイトの身を解放するのは、日付をまたいだ真夜中の事である・・・



◇◇◇



「バルカン様!!  大丈夫でございますか!?」


「ええい!  大声を出すな、バカ者!!  見つかってしまうではないか!!!」


ここは、ベアルの南に広がる開拓団用の団地の近く。

バルアの元領主、バルカンとその側近は、この街から逃げる方法を考えていた。

先日、この街の騎士たちに、隠れ家を発見されそうになったときにはヒヤッとしたが、幸いその隠れ家には通常出入りするものとは別に、隠し通路があった。

これのおかげで、彼らはお縄につかずに済んだのだった。


だが、明日には、この街には人間が沢山たくさん、来るらしい。

このまま、ここにいるのは危険だ。

そう、判断した彼らは、ここは捨て、このまま別の街へ落ち延びる算段をしていた。

むろん、街の見回りの騎士に見つかっては、元も子もない。

彼らは見つからないよう、慎重に歩を進めていた。

そのときに、大声を出したりなんかしたら見つかってしまう。


しかし、バルカンの腰に下げた袋からは、ジャラジャラとお金の音がした。

かなりの額の、お金が入っているようだ。

大声なんか関係なく、移動していた彼の腰からは、ジャラジャラと、そこそこ目立つ音がした。

これには、側近の男も、あきれるほか無かった。

これでは、街を出る前に、確実に見つかってしまう。

逃げるなら、その腰のお金を、どうにかしてほしかった。


側近の男は、見つからぬよう、周りによく気を配りながら、少しずつ、慎重に進んだ。


そこで彼は、違和感を感じた。

伝っていた壁に、不自然な布がかけられていたのだ。

もしかしたら、馬車でも入っているのかも・・・


そんなあわい期待から、布をめくった彼の前には、信じられない光景が広がっていた。


「ば・・・・バルカン様!!!!」


「バカ者!!  大声を出すでない!!  見つかってしまうでは・・・?」


布をめくったまま、固まっている側近の男をたしなめつつ、バルカンも、彼が見ている布の向こう側をのぞいてみた。


「・・・!?」


とたんに、側近の男同様に、言葉を失うバルカン。

彼らの目の前には、よく見慣れた街、バルアの市街が広がっていた・・・・



バルカンは、これからも、ちょくちょく出します。

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